織部を分からせる未来ちゃんの話

「……へぇ。驚いたな。キミの方が乗り気だなんて。もしかしてオレとこういうコトをしたくて自らが身代わりになることを言ってきたのかな?」
 一般的な部屋よりかも広さがある一室。置かれている家具からしてここは個人の部屋。その持ち主は現在ベッドに押し倒されている織部明彦。そんな彼を寝具に縫い付けているのは彼のクラスメイトである田尻未来だ。
 未来の幼馴染みである菊田蒼人が大切な物を返してもらう代わりに卒業まで織部や不破に従うという条件で毎日を過ごしていたのだが、蒼人に内緒で未来が身代わりになることを織部に申し出たのだ。
 蒼人に飽きてきていた織部は未来の願いを受け入れ、こうして自分の家へと連れ込んだ。その目的はただ一つ。未来と性行為をするため。
 しかし、未来をいざベッドに倒そうと手を伸ばした途端、織部の視界はぐるりと周り、今の状態へと至る。
 遊び慣れている織部は慌てることなく、逆に揶揄するように未来へと言の葉を投げかける。だが未来は答えることなく織部のネクタイを外すと、彼の腕を縛り上げた。
「なに? そういうプレイがお好み? まさか未来ちゃんにそんな趣味があったなんて驚きだ」
 処女臭い少女の大胆な行動にさすがの織部も目を丸くするが、抵抗する様子は見られない。未来は相変わらず沈黙を貫き、織部のベルトを緩めると──下着と一緒にボトムを一気に下ろした。
 緩く勃ち上がった赤黒い性器は本当に○学生なのかと疑いたくなるほどに大人。けれど未来はうろたえたりしない。
「ふぅん? 結構大きいね、織部君の。でも私よりかは小さいかな……」
「は……?」
 意味深な一言に織部はぽかん、と小さく口を開いたまま。男の尊厳を傷つけられたことに対する反応はどこへやら。後半の言葉のインパクトが大きすぎてそれどころではない。
 鈴を転がすように可愛らしく笑うと、未来は自らの股間を妖しく撫でてからスカートの中へ両手を忍ばせ、ショーツを脱ぐ。中身はまだ制服に隠されて分からないが、織部は未来の局部から目が離せない。
「ほら見て、私の。おっきいでしょ?」
「は……ぇ……? なんで……?」
 青空色のスカートの裾を上品に持ち上げる少女の股間には女の子であれば付いていないモノが鎮座していた。重たそうに持ち上げられた砲身。大きなきのこ傘の先端からはこの後の展開が待ちきれないとでも訴えるように透明な汁が滴り、点々とシーツを汚す。
 未来の脚の間に存在するモノ。それは男性器だった。こちらは織部以上に雄々しいもので、下手をすればそこら辺の成人男性顔負けの逸品。可憐な少女に付いていていいモノではない。
 にっこりと笑う未来は美少女の微笑みで魅了される者も多いだろうが、下半身にあるおぞましいモノのせいで不気味な笑みに変換されてしまう。
 織部も目の前で起きている異常事態に余裕が削られていく。
「ふたなり。聞いたことはあるでしょ?」
 女性器と男性器。両方を有する存在。存在自体は知られているが、数が少ないのでプレイボーイの織部も実際に見たことはないのだろう。未来の雄勃起を見つめ、絶句している。
 まさかあの織部がこの程度のことでここまで面白い反応をしてくれるとは思わず、未来のえくぼが自然と深くなっていく。
「こんなことしたら織部君の尊厳を傷つけちゃうかな? ふふ……」
 織部の脚の間に小柄な体を滑り込ませた未来は自分のペニスを織部のモノに押し付け、その巨大さを思い知らせてやる。
 腰を押し付ける度にふたなりちんぽの下敷きになる男根は確かに男の中では大きい部類だが、ふたなりの前では小さく見えた。
 不破と並んでヤバい奴と言われているあの織部の顔に若干の怯えの感情が現れる。いつでも己が優位に立つ存在だと信じて疑わなかった者が、その地位を自分よりも体が小さい女の子に脅かされている。
 これから己の身になにが起ころうとしているのかを感じ取っているのか、織部は自由な脚を動かして未来を遠ざけようとしたが、未来は両手で太ももを捕まえるとあっさりと身動きを封じた。
 実際織部の脚の力は強い。しかしそれ以上に未来の腕力が上。大きく開脚された陰部、陰嚢の下には小さな穴が口を閉しているのが見え、未来はふっ、と笑うと完全に勃起した怒張を──織部の菊門へとねじ込んだ。
「ぁ゛ッ……! ア゛ァ゛ぁぁぁぁーーーーッッ!!」
 閉ざされた門を剛直で無理やりにこじ開ける衝撃はとても言い表すことのできない痛み。喉は反り返り、情けなく織部は叫ぶ。
 普段は余裕たっぷりで他人をからかう態度を崩さない織部だが、今の彼はただの少年。
 牙を隠していた狼に食べられる哀れな生贄。
「これが他の人だったらじっくりお尻をほぐしてあげるんだけど、織部君は蒼人に酷いことをしたからいきなり突っ込んじゃった。ねえ、自分より下に見ていた存在……しかも女の子にレイプされるのってどんな気持ち?」
 出すための穴に慣らしもせずに挿入された痛みは凄まじく、これでもかと見開かれた双眸からは自然と涙が溢れて織部の肌を伝う。
 本来は心優しい性格の未来ではあるが、大切な幼馴染みを脅して従わせた織部にはもう容赦しない。徹底的に分からせる必要があると、本来織部がするはずだった余裕たっぷりの笑顔を向けながら下半身をぶつけ始める。
「ぁ゛っ、ぃ、いだぁ゛……! ぬ゛い゛てっ゛! ア゛ぁ゛! や、め゛っ……!!」
「織部君ってオジサン相手に援交してそうだからてっきりお尻も経験済みと思っていたけど、処女だったんだ? 本当は不破君に捧げたかったそのハジメテ。私が貰っちゃった」
 あざ笑う未来のブラウンの瞳には仄暗い光が宿り、形のいい唇は口の端を吊り上げてとてもサディスティックな印象。蒼人や櫂が見たら驚くことは間違いなしだ。
「とりあえず一回射精すね」
「ッ゛!? う゛ぅ゛〜〜〜〜ッッ!?」
 ふたなり魔羅を挿入され、無理やり開通させられたアヌスは正直気持ちよくない。なのでローション代わりにするため、せり上がってきたザーメンを躊躇なく吐き出す。
 織部は熱と痛みで支配された下半身に灼熱の体液が流し込まれ、自分の胎内に他人の、しかもふたなりの性液が満ち、粘膜を犯していく様子がありありと感じられるのか、目を見開くとその美しい相貌を引きつらせた。
 奥歯を噛み締め、抑えきれない未知への恐怖に形の整った唇を真一文字に結び、わななかせる。
 誰も見たことのない織部の姿が、そこにはあった。
「織部君って自分が絶対主導権を握っているって思っているタイプでしょ。だからね、分からせてあげる」
「ふう゛ぅ゛ぅっっ……! ぐっ、あ゛ぁぁ……!」
 一度達してもまだまだ硬い未来のペニスは腸粘膜をじっくりと蹂躙していく。再開される抽送。ザーメンゼリーが摩擦を和らげ、先ほどはあまり感じられなかった快感を感じ始め、未来の頬はほんのりと血色がよくなる。
 根本までみっちりと飲み込む穴。身を引けば離したくないように肉が絡みつき、肉縁の締め付けを楽しみつつ雄膣肉を押し込むことを続けながら、様々な角度から織部を責めていく。
「ほっ、おぉ゛っ゛……! あ゛ッ……っ゛ひ!? やめ、そごぉ……! あ゛っっ、あぁ゛、ア゛ぁ゛ぁっ……!!」
「あぁ、ここが気持ちいいんだ? 確か……“前立腺”だっけ。ほらほら」
「っう!? ッ゛〜〜!! た、じり……! オレに、ひぅぅっ! こんなことしてッ、タダで済むと、んぐぅ……! 思う、なよッ……!?」
「あははっ。まさか織部君からそんなテンプレ発言が出てくるとは思わなかった。いつもの弁舌も形無しだね? 余裕が全然ない」
 揶揄するように口にすれば涙を流し潤む目が鋭く睨みつけてくるが、正直まったく怖くない。
 凝り固まっている器官を粘膜越しに押し潰すように先端で抉り続けると、織部の悲鳴に甘い声が混じり始める。
 未来に羞恥心を煽られたからか、感じたことのない快楽からなのか、顔を真っ赤にして震える織部の男性器はすっかりと勃ち上がっていた。
 口では嫌がっているというのに身体は正直なものだと未来は不気味に微笑み、片手を織部の分身へと伸ばす。少女の手では一周も難しい長大は決して小さくはないのだが、未来と比べると……。
 棒を握れば脈動と熱が感じられ、指の腹で押すようにバラバラに動かせば、鈴口からはとぷとぷとカウパーが流れ出てくる。
 ヌメつく砲身はガチガチに硬くなり、敏感な亀頭を手のひらの中に閉じ込め、ジャム瓶の蓋を取るように手を動かしたりと織部の肉槍をオモチャのように弄んでいると、太ももに触れている手から分かりやすく振動が伝わってくる。
「処女だったのにお尻で気持ちよくなって勃起するなんて、織部君ってコッチの才能があるのかも?」
「っっ……! 触るなっ、っぐぅぅ……!!」
 茹だったように頬を染め、涙目での抗議は相手を煽るだけというのをこの男は知らないのだろうか? 熱せられる空気に反して冷静なままの未来は刹那思い、手コキをしながら淫穴を掘削していく。
「お゛ぅ゛ぅぅ……! あぐっ、おっ……お゛ぉッ……!」
 男よりも男らしい熱杭にメスイキボタンが内部から何度も押されると、織部の身体はその度に波打つ。開いたままの口の端からは唾液が漏れ、舌は天井に向かって突き出され、低音はセイレーンの如く魅力的な声で嬌声を奏でる。
 鼓膜を犯す粘着質な音を立てながら外とナカから織部を陵辱していけば、彼の顔が一層苦しげなものに変わっていく。──そろそろか。
 絶頂の気配を感じ取った未来は手と腰の動きを速める。織部がふたなりの前ではただの雌に過ぎないことを分からせてやるため、犯し尽くす。
「イキそう? 織部君はどっちでイクのかな。ふふっ」
「んぎぃッ……! ほっ、おぉ゛っ……!! だれ、がっ、っひ、はっ……ハァッ……!」
「強がっても織部君は私に絶頂させられるの。……もしかして怖い? 自分の意思じゃない快楽に溺れるのは」
 せせら笑えば、分かりやすく織部は怒りを露わにするも強すぎる肉快楽に負けてすぐにその感情は霧散してしまう。
 女の下で乱れ狂う織部はただの雌犬。周りの人間は彼を恐れるが、結局はふたなりちんぽには勝てない男の一人に過ぎない。
「ほら、聞こえる? 織部君のお尻。くちゅっ、くちゅっ、ってまるでおま○こみたいにエッチな音を出してる。私のおちんちんを咥えて離さなくて、もっと頂戴ってうねってる。……男の子なのに恥ずかしいね?」
「ッ゛っ〜〜〜〜っ゛!!」
 赤みが広がる身体が釣られた魚のようにビクンッ! ビクンッ! と跳ね上がる。背を何回もしならせ、強制絶頂に震える織部の面様は今まで知ることのなかった快楽に驚愕し、大きな衝撃を受けているようだった。
「あははっ! すごいね、やっぱり織部君は才能あるよ。ねえ、気づいてる? 自分が射精してないの。……初めてなのに女の子の方で気持ちよくなっちゃうんだもん。ね、女の子は男の子よりも気持ちいいでしょ? 人によっては病みつきになって戻れないんだって。織部君もそうなっちゃうかも?」
「はぁ……はぁ……」
 未来の言葉で視線だけ下半身にやる織部。彼の見る景色には勃起はしているものの、先端からは透明な汁だけを流す分身の姿。男が達したのだ。射精していると思っていたが、していない。
 俗に言う“メスイキ”をしたのだと理解はしたが、余韻が冷めない思考では漠然と思うだけ。
 ベッドに沈み込む織部は未来から顔を逸らし、その様子はまるで行為が終わったかのよう。一体なにを勘違いしているのか。
「……もしかして終わったと思ってる? そんなわけないでしょ。こう見えて私すごく怒っているんだから。織部君が泣いて喚いてもやめてなんてあげない。徹底的に分からせてあげる。どんなに人から恐れられても、あなたはただの淫乱男子○学生なんだって」
 絶望の一言に織部の目は見開かれ、濡れた瞳でこちらを見つめる彼は周囲から恐怖の存在として認識されているのが嘘のように思えるくらいに、ただの“男の子”。
 今までは織部が自らの欲望を満たしたら終わりにしていたのか、行為の主導権が未だに自分にあるという認識を改めさせるために未来は再び彼を陵辱し始める。
 普段は心優しい者が一度本気でキレたらどうなるのか、骨の髄まで分からせてやる必要がある。

   ***

「あっ、来てくれたんだ?」
 織部に力の差と雄としての格を見せつけてやった日から数日後。彼は今までと変わらず学校を休んでいた。しかし今日は珍しく不破が登校したため、織部も一緒に……という流れだ。
 ようやく姿を現した織部だが、未来や──当然ながら蒼人にも接触はせず、大人しくしていた彼。だが未来は織部に用事があったので廊下のすれ違いざまに放課後、裏の林に来るように言い、今に至る。
 木に寄りかかり、視線を自らの靴に向けて待っていた未来は前方からの足音に顔を上げる。そこには不機嫌そうな織部。様々な出来事が彼のまだまだ未熟な精神をがんじがらめにし、自分の思い通りにいかないことに対しての不満を露わにする。
「…………」
「そうやって普段から黙っていればいいのに。顔だけはいいんだから」
「……なんの用だ」
「これ、なんだと思う?」
 寄りかかっていた姿勢を直し、スカートのポケットから取り出したのは白くて丸みを帯びた小さなボトル。中にはカメラのフィルムが入っていた。
「このフィルムにはあなたの恥ずかしい写真がい〜っぱい入ってるの」
 イタズラを思いついた小さな子どものように無邪気な顔で告げれば織部は一瞬だけ苦虫を潰すような表情をしたが、すぐに不機嫌顔に戻るとこちらを挑発するように不敵に笑う。
「それがなに? オレがそんな物で動じるとでも?」
「うん。分かってる。仮に町中にあなたの恥ずかしい写真が貼られてもあなたは大したダメージを受けない。……ところで私、織部君も許せないんだけど、元凶の不破君も許せないんだよね」
 ここまで言えばなにを言いたいのか分かったようで、さすがの織部も額から汗が流れる。余裕などない焦った顔。やはり彼はまだ中学生なのだ。
「──田尻ッ……!」
 このままでは大切な人、不破になにかをされるのではという焦燥だろう。織部が殴りかかってきたが、未来は木に立てかけていた竹刀袋を素早く手にすると正面から拳を受け止め、隙だらけの腹部を踏みつけるようにして織部を蹴り飛ばす。
「げほっ!? ぁ……ぐッ……!」
 腹を蹴られたダメージは重く、地面に四つん這いになる織部の片手は腹を押さえていた。
 伏せられた顔。額に浮き出る脂雫。秀麗な顔はギュッと眉が寄せられ、食いしばった歯の隙間からは痛苦の呼吸が漏れている。
 だいぶ体格差のある男が苦しむ姿に未来は不自然なくらいににっこりと笑うと、織部のそばにしゃがみ込みさらに追い込む。
「織部君。私と契約をしましょう。私の言うことには絶対服従すること。期間は卒業まで。簡単でしょ?」
「……分かった。キミの言うとおりにするからさぁ……。だから、ファーさんを巻き込むのはやめてくれないか」
 目の前の未来は普通の女の子ではない。なにか底知れぬものを感じる。ここで下手に逆らえば不破も自分にされたことと同じ──もっと酷いことをされるかもしれない。
 さすがの織部も観念し、未来に下ったが、その言葉遣いが少々癇に障った。
「身の程を弁えなよ、織部君。あなた、私に指図できる立場?」
 顔を伏せたままの織部の髪をまるでペットにするような手つきで撫でる。不破のためなのか、見た目に気を遣っている彼の髪は非常に触り心地がいい。
 無表情での言葉の冷徹さとは裏腹に髪を撫でる手は優しい。それがさらに不気味さと恐怖を煽り、織部の体は分かりやすく固まる。
「……お願い、します」
「うん。いいよ。交渉成立ってことで」
 不破のためならば自分のちっぽけなプライドなど捨てた織部の哀願に、未来は微笑む。
「これで他人の──蒼人の痛みが少しでも分かってくれたかな? ふふっ……それじゃあ、織部君。卒業まで仲良くしようね?」
 俯いたままの織部の顔を両手で包み込み、持ち上げれば怒りと憎しみで顔を歪ませ、未来を睨み付ける双眸。
 今にも暴れ出しそうな体を抑えるように震える体。握り締められる拳。それでも不破を守るためには従うしかなくて。
 こうして、織部の自由だった最後の中学生活は、突如終わりを告げられたのだった。

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