第二章
沈んでいた意識がゆっくりと目覚めていく。重たい瞼をほんの少し持ち上げれば視界の中に光とぼやけた景色が映り、今にも落ちてしまいそうな目の蓋をそのまま上へと力を入れればさらに目路は鮮明になっていく。
「……まだ、夢なの……?」
全身がだるい。なぜこんなにも疲れているのか記憶を巡らせれば、ベリアルに与えられた強制アクメを思い出して恥辱に歯噛みし、頬を紅潮させた。
ああいうコトはまだ自分に縁のないことだと思っていたが、夢の中とはいえ初対面の男に辱めを受けるなんて。こんなこと誰にも言えない。一刻も早く脳のメモリーから抹消したい出来事だ。
「っ……」
男の舌が這いずった場所へと片手を忍ばせれば、下着はぐっしょりと濡れてすでに役割を放棄していた。さらには布が吸いきれなかった水分が性器や周りにべったりと付いており、溝にはたっぷりと愛蜜が残っている。
今すぐにでも下着を脱いでしまいたい気持ちを抑えながら壁に手をついて立ち上がれば、にゅるんっ♡ といやらしいヌメリが秘処を襲い、下着が肌に張り付く感覚に不快感を覚える。
(どのくらい気を失っていたのか分からないけど、やっぱり夢だからか時間の概念はないみたい)
窓から見える太陽は気を失う前と位置が変わっていないように思える。
「ぅ……っ……う……!」
不意に涙が溢れ、未来は両手で顔を覆う。年齢的にまだまだ子どもである彼女の精神はありえないことの連続に疲弊し、堰を切ったように感情が雫となって零れていく。
相手は人ならざる者。ただの人間がどうにかできるわけがない。人外が一方的に獲物を弄ぶ──彼にとっては遊び。最初から彼の手のひらの上で転がされているだけ。逃げる術など……ない。
彼に三回捕まったら処女を奪われてしまう。彼とセックスしなければいけないことは定められた運命に他ならないが、性格が悪いのは三回という猶予を与えてさらにこちらを追い詰める行為。
性行為の負担を軽減するためなどとは言ってるが、実質自分が楽しみたいだけなのだ。あの男は。逃げられないと分かっていながら逃げる相手を追いかけて捕まえるのはさぞ愉快だろう。
しくしくと声を殺しながらひとしきり泣くと、未来は乱暴に腕で涙を拭った。ここで泣いていてもなにも解決しない。
たとえ彼から逃げることができなくても、時間稼ぎくらいはできる。逃げている間にもしかしたら現実の自分が目覚めて夢の世界から解放されるかもしれない。
わずかな希望を胸に未来は大きな鏡を睨みつけると、踊り場をあとにした。
***
股間の不快感が気になりつつも音に気をつけながら歩き続ける。特に曲がり角は一度立ち止まり、顔だけ覗かせてベリアルがいないかを確認してから移動した。
人外相手に無駄なことかもしれないが、用心するに越したことはない。途中で小休憩を挟みながら行く宛もなくさまよう。
──どれくらいの時間が経ったか。ついにベリアルが未来の前に現れた。曲がり角を曲がるために顔だけをそっ、と出して確認すれば男の後ろ姿。
反射的に顔を引っ込めた未来は額からぶわりと冷や汗を流し、震えながら息を潜める。まるでホラー映画の主人公になった気分だ。こんな経験人生で一度あるかないか。
早くいなくなって……! そう念じながら気配を消していること数分。もう大丈夫かな……? と、小さく縮こまりながら確認すれば、誰もいない廊下が奥まで伸びていた。どうやら行ってしまったらしい。
安堵に胸を撫で下ろすものの、このまま通ったらベリアルを追いかける形になり、遭遇してしまうかもしれない。ならば別の道を……と、後ろを振り返った瞬間。
「前ばかりに気を取られるんじゃなくて後ろにも気を配った方がいいぜ? 未来ちゃん」
「ヒッ……!!」
あまりの驚きに心臓がギュッと締め付けられて酷く痛む。一体いつの間にと考え始めるが、それはすぐに止められる。なぜならこの男は鏡の中から現れるというこちらの常識が通じない相手。要するになんでもアリの人外なのだ。
全身がバイブレーターのように小刻みに震える。また身体を好き勝手にされてしまう。今度はなにをされるのか。これ以上強すぎる快楽を与えられたら本当におかしくなってしまうのでは? 全てが終わったら殺されてしまうかも……。
様々な考えが渦となって未来を混乱させていると、ベリアルが優しく抱擁してきた。密着する大人の男の身体はたくましいものの、盛り上がった胸部は女性の胸のように柔らかい。もしも彼が心を通わせる人であればこの身を大人しく預けるのだが、この男とはそういう関係ではない。狩る者と狩られる者。これが彼女とベリアルの関係だ。
「嫌っ! 放して、いやぁぁっ!! ……ぁ」
未来はベリアルの腕の中で一心不乱に暴れ、拘束が緩むと彼の頬に一発の平手打ちをかます。乾いた音と手のひらの痛みで我に返った未来は青ざめた顔で頬を打った手を見ると、じりじりと後退しながらベリアルへと恐怖が混じった双眸を向ける。
叩かれた本人はきょとんとした顔をして、手で頬に触れる。彼にとって未来のこの行動は意外だった様子。
「ご……ごめんなさいっ!」
謝る必要性が分からないが、口が勝手に動いてしまった。とにかく彼が呆けた顔をしている今しか逃げるチャンスはない。
もつれそうになる脚を必死に動かしながら走る、走る、走る。呼吸が苦しくても、脚が痛くても、止まるわけにはいかなかった。
***
「あうっ……」
──いったいどれほど逃げ続けただろうか。最後は疲労から倒れるようにして床に転んでしまった。冷たく、硬い床は鈍痛と心がひび割れていく感覚を与え、また泣きたくなった。
「っ……トイレ……?」
顔だけ上げて周囲を確認すればちょうど女子トイレの前。思い出すのは下半身の不快感。今もぐしょぐしょに濡れて非常に気持ちが悪い。
だるい体に鞭を打ち、壁にもたれながら立ち上がる。両脚がガクガクと震えてしまい、壁という支えがなければ簡単に倒れてしまう。どれだけの時間、距離を走ったのか想像するのも嫌になる。
息を深く吐き、ベリアルの姿がないかを確認する。こうして見てもあまり意味はないのは承知の上。彼は圧倒的上位存在。
少しだけなら……という考えからジータは体を滑り込ませられる程度にトイレの扉を開き、その隙間に入り込む。
内部は自分の知る内装と同じ。履き替える用のサンダルが置いてあるが夢の中で履き替える必要はない。上履きのまま段差を下り、一番手前の個室に入ると扉を閉めた。
あの男と自分しかいないのだから閉めても意味はないのだが、やはりそこは女の子。扉を閉めないで下着を下ろすのは恥ずかしかった。
扉にもたれかかり、疲れきった息を吐く。ずっとここに隠れてやり過ごすことができたらいいのに。そんなことを考えるが、そう都合よくはいかない。
(早く終わらせて出なくちゃ……)
心身を休ませるためにゆっくりしたいところだが、安寧の地などこの夢の世界には存在しないのだ。
スカートの中に手を突っ込むと自分の体液で濡れた下着を下ろす。全体的──特にクロッチ部分がずぶ濡れで、もう役には立たなくなってしまった布を肌から離すとだいぶ不快感が緩和された。
自分にできるのは少しの時間稼ぎで結局ベリアルからは逃げられない。どうせ脱がされてしまうのだ。と、未来は半ば諦めの表情とともに下着を小さく畳むとスカートのポケットにしまう。
あとは股を濡らす水分を取るだけ。トイレットペーパーを静かに手にすると何回か拭き、その残骸を便器の中に放り込み、蓋をした。ここは夢。流す必要はないし、そもそも流れるのかさえも分からない。
きっとこの先もあの男に大事なところを弄くり回され、今した濡れを拭く行為も無駄になってしまうだろう。
無意味な行為をするために逃げ場のない狭い空間にいる──客観的に考えればとても合理的な判断とは思えない。
それでもこの行為は恐怖や混乱を始めとする様々な負の感情を、ほんの僅かながら落ち着かせることができた。
(そろそろここを離れないと……。……ッ!?)
扉に手をかけたところだった。遠くから靴が響く音が聞こえたのは。全身の穴という穴からぶわりと汗が噴き出し、極度の緊張が身の自由を奪う。
(今すぐここから逃げればもしかしたら……!)
一瞬の思考も命取り。個室の扉を開けて一歩外に出たときには靴音がさらに近くなっていた。
このまま出たら鉢合わせてしまう。どうすれば、どうすればいいの!?
剣道部に入っており、普通の女の子より少しだけ強いとはいえ未来もたった十年と少し生きただけの人間。加えて普通の人生ならば絶対に経験することのない未知の体験。なにが正解かなんて分からない。
「み〜〜くちゃ〜〜ん? どこに隠れてるんだい? 出ておいで〜〜」
もう時間がない。ここから出て確実に捕まるよりかはトイレに隠れてやり過ごせるかもしれないという可能性にかけた。
窓側に設置されている一番奥の扉を開ければ、中央に設置されている大きなスロップシンクの周りにはデッキブラシなどの見慣れた掃除用具たち。
狭いものの、小柄な女子ひとりくらいならば入れるスペースがあり、未来は素早く入り込むと扉を閉め、その場で縮こまって息を殺し、存在を消す。
呼吸が浅くなり、心臓が口から飛び出てしまいそうなくらいに脈打つ。
お願い。こっちに来ないで、早く行って……! 今にも悲鳴を上げてしまいそうな口を両手で必死に押さえ、眉間に皺を刻みながら双眸を閉じて強く願う。
そうしている間にもどんどんトイレに近づく音。あまりの恐怖に自然と涙が溢れ、頬を伝っていく。
(ッう……!!)
ついに女子トイレの前までやって来た靴音。しかしトイレの前で止まることはせず、そのまま通過して遠くへと音が小さくなっていく。
もしかして行ってくれた……? 小さな希望の芽が顔を出すが、油断はできない。もうしばらく隠れていよう。
深呼吸をし、息を整えながらあとちょっと、少しだけ、まだ早いかも。
そうしてどれほどの時間が経ったか。肉体・精神的にもそれなりに回復したところで未来はようやく動き出す。
用具入れから出て、トイレの出入り口を見つめる。外からの気配や音はなく、扉の一部にはめ込まれているすりガラスの向こう側に人影もない。
出るなら今しかないと心を決めると扉を押し、廊下へと出る。誰もおらず、静寂に包まれた場所には黒い影はなかった。
(よかった……。あの人はいないみたい)
安堵から俯き加減に息を吐き、ほっとする。彼の気まぐれで見逃してもらえたのか、本当に気づかれなかったのかは定かではないが、これでまた逃げることができる。
さあ動き出そう──。
「ばあ♡」
「…………!!!!」
顔を上げた瞬間に目の前に飛び込んでくる黒い男。空中に逆さまに立つ彼は振り子のように体を振って未来の目の前で止まったのだ。まさに人外がなせる技。
意表を突かれた未来は驚きすぎて声すら出せず、瞠目するとその場に腰から崩れ落ちた。
逃げなくちゃ……! そう思考はするものの、この身は鉛のように動かない。
そんな未来をよそにベリアルは逆さまに浮いた状態から優雅な動きで一回転。床に足をつくと未来の前にしゃがみ込む。
「もういないと思った? 残念。……フフッ。その“なんで”って顔、本当に愚かで──正直勃起モノだ。つかの間のかくれぼは楽しかったかい?」
「っ……!」
「鬼ごっこだってのに未来ちゃんはかくれんぼを始めちまってさぁ……しかも全然出てこないときた。だからちょっとだけお仕置きで驚かせようと思ったんだ。まさか腰を抜かすとは思わなかったが」
男の片手が頬を包む。幼い子を優しくたしなめる口調ながらも、未来の両目からは涙が流れ、止まらない。
トイレに踏み込み、無理やり捕まえることも可能だったのにそれをせず、安心したところに脅かし要素を混ぜつつの登場はショックの度合いが大きかった。
声を上げてみっともなく泣き叫びたいところだが、それをしたところで意味などない。むしろこの男の歪んだ欲を刺激してしまうだけかもしれないと、奥歯を噛みしめることで今にも心の器から溢れてしまいそうになる感情の水を抑える。
「さっきのように抵抗しないのかい? キミのビンタ、なかなかよかったよ」
言いながらベリアルはその場にあぐらを掻いて座ると、未来の脇の下を持ち、赤ちゃんを抱き上げるようにして自らの膝にのせた。
未来はされるがまま。彼の言うように抵抗する気力さえない。水に濡れた瞳を伏せがちにして、今からされるであろうコトに対して身を固くする。
「特異点と違って大人しいし、なによりオレのことを恐怖の対象として見てくれるのがイイ。彼女だったら……そうだな。まず、オレが身体を振ってキミの前に現れたとき──キミは腰を抜かしたけど……あぁ、別に気を悪くしないでくれ。当然の反応さ」
なにが嬉しいのか彼は上機嫌で特異点という別世界の未来の話を口にする。
「彼女だったら迷わずオレの顔面に強烈なストレートをお見舞いしただろうねぇ」
頬をほんのりと赤らめながら口にするその様子は、まるで恋人のことを語るかのよう。
今の自分にその特異点という人の力が少しでもあればいいのに。そう思わずにはいられない。
「最近だと魅了をかけて遊ぼうと思ってもマウント張って無効化したりさ、魅力がかかっても迷わず自分の体を傷つけて痛みで抗ったり……。本当にツレないんだよ。こっちは遊びたい年頃だってのに。だから未来ちゃんが魅了耐性ゼロで嬉しいよ」
「あ……っ……!?」
男の骨張った大きな手が少女の両頬を包む。目の前にある誘惑のまなこは視線を交差させるだけで身体の感覚が鋭敏になっていく。
魅了の話題が出たときから嫌な予感はしていたが、このままではあのときと同じように自分でも訳が分からないくらいに乱れることになってしまう。
けれど逃げることなんてできなくて。ベリアルはその美しい顔を未来へと寄せ、額をくっつけると、赤い瞳を輝かせた。
未来の目の前が鮮烈な赤一色に染まる。光はすぐに収まったが、妖光は思春期の身体に前回とは比べ物にならないほどの変化をもたらす。
「ぁ……あ……!」
人間にとって媚毒である魔力は全身を性感帯化させ、彼の手が顔に触れているだけでそこから熱が広がっていく。
顔だけではない。下半身も。彼のボトムに触れている生足、彼の股間の滾りと布越しキスしている乙女の秘肉。意識すればアソコはたくましい雄の気配にすでに歓喜の蜜をねっとりと流していた。
加えてこの男のことを──好きか嫌いかで言えば後者だというのに、好きという気持ちが止まらない。まるで恋人に対する感情。
「魅了の出力を抑えてもコレか……。即堕ち、ねぇ?」
「はーーっ……はーーっ……♡」
潤みに潤んだ榛色は奥にハートマークが幻視できるかのよう。
好きでもない男との性行為なんて苦痛以外のなにものでもないはずなのに。身体が、心が、ベリアルという人外を求める。彼に身体の隅々まで触れてほしくてたまらないのだ。
「嫌だ嫌だと叫ぶ相手を無理やり……というのもいいが、今回は即堕ちついでにあま〜い恋人の戯れはいかが?」
恋人。平時であれば嫌悪感が先走るというのに。魅了の魔に取り込まれた異常な精神は喜びを感じてしまう。
どうして? どうして? どうして?
心の片隅では本来ならば感じるはずのない感情に疑問を投げかけるが、精神汚染に対しての抵抗力などただの人間にはなく。
その疑問すらも情欲に押し流され、はるか遠くに消えていった。
「なあ未来ちゃん。キスしたことは?」
ベリアルの問いに未来はふるふると首を横に振る。
「そう。なら練習しようか。キミだっていつかは誰かと愛を交わす関係になるかもしれないからねぇ。それにここは夢の世界。ノーカンだ」
己のことを拒絶していた少女の変わりように愉快だとベリアルは整った口の端を上げ、顔に触れていた手を後頭部へと回し、未来を引き寄せた。
触れる男の唇はかさつきとは無縁。手入れをしているのかは不明だが、みずみずしく張りのある唇は極上。
今まで誰ともキスをしたことがない未来だが、この先の人生で誰もこの男を超えることはできないのではないか。そう強く確信するほどにベリアルとの接吻は気持ちがいい。
最初は優しく重ねるだけ。ちゅっ、ちゅっ、と角度を変えながら少女の唇をベリアルは味わう。やがてその戯れは大人のモノへと変わり、彼の赤い舌が唇の隙間から口内へと侵入してきた。
当然未来は受け入れるだけ。それしか許されていないように。
口腔に入り込んだ舌は思わず逃げてしまう未来の舌を優しく絡ませながら歯列を舐めたり、舌先で硬口蓋をねぶる。特に硬口蓋を舌が這うとくすぐったくて、未来の腰がいやらしくくねった。
「ンーーッ! ン、ンッ……!!」
ベリアルの胸を未来が押したことによって唇同士は離れ、透明な吊り橋が掛かり、落ちた。初心者の未来にとってキスのとき鼻で呼吸するという考えがなく、息の限界がきたことで身体が反射的に動いたのだ。
はぁ、はぁ、と苦しそうに肩で呼吸する未来にベリアルは上位存在が小さくか弱い者を見て憐れむような微笑みを浮かべると、改めて呼吸の仕方を教え、今度は未来からキスをするように伝えた。
言われた未来は頷くと言われてもいないのに身体を密着させ、腕をベリアルの首へと回す。
同年代の子よりも大きい胸が男の豊満な胸と合わさり、むにゅん♡ と互いを押し合う柔い感触が心地よくて熱っぽい息を吐くと同時に、服を着ている状態でこれなら互いに半裸になって抱き合えばどうなってしまうのかという興味が湧いてきた。
魅了によって心身が堕落し切ってしまった今では自分が気持ちよくなることしか考えられず、また、これが異常なのだという認識すらない。
(すごくいい香り……。頭、くらくらする……)
香水なのか彼自身の香りなのかは分からないが、彼の匂いは今の未来にとっては馥郁たる香り。
今以上に思考を蕩けさせ、考える力を削り取っていく魔の香りだ。
「ンッ……ちゅるっ……ちゅ、ふぅ……ぅ、ん……。ン、ぁぁ……ちゅぅ……」
発情し切った未来は最初から舌をベリアルの口へと突っ込み、甘えるように彼の舌と絡み合う。にゅるにゅると蠢きながら、唾液が口から溢れることさえもいとわずに互いを貪る。
「んふぁ……ぁ……ン、ん…………」
舌愛撫の連続に未来の腰が揺れる。子宮も切なげに収縮し、胸の先端が痛みを感じるほどに凝り固まるのが分かった。
しばらく続いた優しい恋人キスが終わると、未来はぐったりとして顔をベリアルの首筋に埋めた。陶磁器のように美しく、なめらかな肌はずっと触れていたいほど。
「ほら未来ちゃん。起きて」
未来を緩く抱きながらベリアルはまるで恋人に話しかけるような声音で告げる。強制的に彼の虜にされた未来はゆっくりと体を起こし、再びベリアルと向かい合う。その目は虚ろで普段の快活さはなかった。
「服、脱げる? あぁ、上だけでいい」
問いに未来は従順に頷き、ご主人様の言うとおりに服に手を掛け、脱いでいく。空色のリボンを外しシャツのボタンを外していくと白い下着が見え始めた。そして程よく肉がついた健康的な印象の腹部の側面は綺麗にくびれていた。
恥じらいもなくシャツも脱ぎ、最後に残ったブラジャーも外すと布で守られていた実がたゆん♡ と揺れながら現れる。
弾力がありそうな乳房の桃色尖りはツン、と存在を主張し、痛いほどに勃起していた。
大人の男に肌を晒しているというのに羞恥心よりも、早く触ってほしいという欲が強まる。淫乱思考に陥った未来は溢れ出る生唾を音を立てて飲み込む。
「特異点もそうだがキミくらいの年齢のヒューマンと比べると大きいな。将来が楽しみだねぇ? フフ……」
「あッ……!?」
「さっきはごめんよ。傷は痛むかい?」
「ぃ……いたく……ない……」
「そう。よかった」
ベリアルは未来の首筋に顔を寄せると、自分が付けた咬傷を癒やすように舐める。ぬめった舌が肌に触れた瞬間、首から脳天へと快感が貫き、未来の身体がビクッ! と跳ねた。
「は……ぁっ……! 胸、あっぁ、変……変なの……!」
「どんなふうに?」
片手で乳房のひとつを包み、その感触を確かめるように指を這わせ、揉み込みながら突起を爪先で弾いたり、腹で押したり。弾力のある勃起乳首を男の手に弄ばれる度に若干の痛みとそれを軽く超える肉悦、さらには胸の奥からなにかが出てしまいそうになる感覚に未来は雄を誘う雌声で喘ぐ。
ベリアルは首筋にうずめていた顔を耳元へ移動させ、未来の耳の穴へ熱い息とともに疑問を口にする。耳を揺らす風と胎にズン……と響く低音ボイスに未来の背中は戦慄く。
「おっぱいの奥からなにか、んっ、んぅぅ〜〜! はぁ、ッ……出ちゃう、ような……!」
「なるほどねぇ?」
未来からの申告にベリアルは面白そうに笑うと、胸に顔を寄せて乳頭を口の中へと含んだ。
そのまま激しく吸引する様子は未来の胸から“なにか”を出させようとしており、残りの乳蕾は親指・人差し指・中指で摘み、扱き上げる。
「ふぁぁぁんっ!? ひゃぅっ、だめ、吸っちゃ、はぁぁんっっ!! 乳首ぃっ、こりこり、ひぅぅぅっ! 出る……出ちゃう、なにかぁ……! ひッ──あぁァァぁぁぁッッ!!!!」
快楽に抗えない身体になってしまった未来はいきなりの強い胸愛撫に泣き叫びながら自分の状態を訴え、一線を超えた瞬間。甲高い嬌声と一緒に胸からは真っ白な体液が噴き出す。
弧を描きながら何本もの線になってベリアルへと注がれるそれは紛れもなく母乳。妊娠──ましてや挿入行為すらしてないのに出てしまった体液はベリアルによって強制付与された魅了の効果。
「赤ちゃんいないのになんでぇ……!? あッあぁぁ……! 母乳、出てっ、おっぱいぃぃ、気持ちっ、いいよぉぉ……!!」
ベリアルは未来の乱れる様子をじっくりと見ながら、口の中を満たしていくミルクを味わい、飲んでいく。チュウチュウとわざと大きな音を立てながら。
男の手の中でぐにゃぐにゃと形を変える白桃は自身の体液で白に染まり、さらには母乳が滑りを助ける効果となって未来を追い詰めていく。
片方は吸われ、もう片方はやや乱暴な手つきで揉みしだかれて。それでも彼女の口からは嬌声が溢れ、胸は肉快楽に歓喜の淫母乳を噴き出す。
「ちゅぱっ……。ゴチソウサマ。なかなかイイ味だったよ」
「ふぅ……うぅっ……」
口を離す際も大きな水音を立て、ベリアルはようやく未来の胸から顔を上げた。
母乳のように白い彼の顔も興奮によってほんのりと紅潮しており、情欲を煽る。軽く口を開き、真っ赤な舌を見せながらの舌なめずりはどこまでも妖艶だ。
一方の未来は淫乳快楽によって一気に体力を消費してしまい、熱を孕みながらも疲れた顔をしていた。
虚ろな目が見つめる先は男の胸。服を押し上げて主張する丸み。その先端には自分と同じモノが付いているはず。
キスをしたときのことを回顧する。服を着ている状態だというのにそのソフトな感触がたまらなくて……。半裸になり、さらに感覚鋭敏になっている今。彼と胸を合わせたらどれだけ気持ちがいいのだろうか。
(気持ちよくなりたい……もっと、もっと……)
本来であれば健全な少女である未来も今では淫魔的思考に支配された哀れな人間。快楽を求める本能に従ってベリアルの服のボタンを外し、前を開く。当のベリアルは未来が自分から求める姿をじっくりと鑑賞している。
(男の人なのにおっきい……)
巨乳。そんな単語が脳裏をよぎる。卵のようにつるりとした肌の中心には綺麗な薄紅色の乳突起。彼のも未来と同じように硬く膨らんでいた。
男の胸なので見た目は硬そうだが、実際に触れてみると力が入っていないからか、とても柔らかい。まるでマシュマロのようだ。自分の両手の指の間に盛り上がる肉から未来は目を離せない。
むにゅむにゅと手の中で形を変える極上の膨らみ。触れていると自分の胸の飾りがなんだか切なくなってきた。
我慢することなどできない未来は胸に触れていた手をベリアルの首へと回し、身体──特に胸を突き出して深く抱きしめる。
「ああッ……! 乳首っ、硬いのが合さって……! ひッ、んんっ……!」
生乳同士が合わさった際に硬い乳首たちが触れ合い、甘美な快感が走った。じっくりと弱火で炙るような、決して強い快楽ではないが、弱めだからこそ癖になってしまう。
ベリアルにしがみつき、夢中になって半身を振る。母乳がローション代わりになって摩擦を軽減し、いやらしい水の音を立てながらヌチュヌチャと肉果実たちが互いを求め合う。
「そんなに気持ちいいのかい? 自分から腰を揺らしてるぜ?」
「そっ、そんな、あっ……ぁあ……! おっぱい、擦り付けるのっ、止められないよぉぉ……!」
「ウフフッ。強すぎる快楽よりかもソフトなエクスタシーを好むか……。うんうん。その調子。ほら、見てごらんよ。オレとキミの乳首がまるでキスしているみたいだ。可愛いねぇ〜」
言われて未来は視線を胸元へと送る。互いを押し合う乳房の先同士が絡み合い、彼の表現どおりキスしているかのよう。なんて淫猥な光景。
練乳が掛かったさくらんぼがお互いに塗り広げる姿は視覚的な興奮を増長させ、さらに母乳の出がよくなった。
「頑張って擦り付けるのもいいが、これだけでイクのは少し大変だろう? オレが手伝ってあげるよ」
「なに……? あ……んっ、おっぱい、搾っちゃだめぇぇ……」
魅了に掛かっているといっても乳首で達するのは未開発である未来には少し難しい。なのでベリアルは母親が赤ちゃんに授乳するときのように未来を横に抱くと、ミルクタンクと化した彼女の乳搾りを開始した。
片手で未来を抱き寄せ、残りの手で優しく指を沈ませれば、噴水のように白いサラサラ液が噴き出て未来の肌やベリアル自身の手を濡らす。
射精ならぬ射乳は未来に毒のように甘美な快楽を与え、全身を震わせて感じていることを雄へと知らせた。
「ほら、オレの胸に興味があるんだろう? キミの好きにしていいんだ」
「ぁ……!」
むにゅぅぅ♡ と頬に押し付けられる雄乳。唇にはミルクの甘い香りが漂う白い種。
(吸いたい……吸いたい、吸いたい吸いたい!)
「ンッ……。そんなにがっつかなくても……フフッ、ママのおっぱいは美味しいかい?」
「んっ……ちゅぱっ、ん、ん〜〜……!」
魔性の男の乳頭は未来にとって魅惑の種。両目を閉じると吸いたいという欲望のままに乳輪ごと吸い付き、出ない母乳をねだる赤子のように吸い上げる。
赤ちゃんと違うのは吸引だけでなく、胸の飾りの感触を確かめるように舌で弄び、時折歯を立てる。
一生懸命に吸う未来にベリアルは慈愛の眼差しを向けながら搾乳行為をしていた手を下腹部へと移動させ、スカートの中に忍ばせた。
軽く指先が触れただけでねっとりと絡みつく愛蜜。ぐっしょりと濡れた肌に下着がないことに気づいたが、穿いていない理由など簡単に想像がつくのか特に触れることはない。
濡れそぼつ肉花の上部には硬く膨らんだ肉芽が顔を覗かせており、ベリアルは甘露がたっぷりと溜まっている溝へ指を沈ませる。
緩く指を曲げるだけで絡みつく蜜を掬い取ると、そのままクリトリスへと指の先で触れた。
大げさなほどに跳ねる小さな身体。無防備な快楽の種のもたらす刺激は強いというのに、さらにベリアルは指で敏感な蕾を上下に扱き始める。男根を手コキする要領で。
「やぁっ、ひょれっ……ちゅぷっ、ンんぅぅ! あッ、ダメぇっ! んぁぁああっ!!」
雄肉と違って短いのでヌルついて滑りそうなものだが、ベリアルは指を巧みに動かしていく。未来は彼の腕の中で腰を反らせ、雌嬌声を上げることしか許されない。
「おっと、まだイクなよ……?」
「っあ……?」
「ナカもちゃぁんと慣らしておかないとな」
あと少しで絶頂というところで止む快楽。未来がぼんやりとした表情でベリアルを見つめれば、彼は艶やかに微笑み、人差し指と中指を膣へと潜り込ませた。
柔らかくなっているナカは指を拒絶することなく受け入れ、みっちりと男の指を咥え込む。
「はぅぅっ……! 苦しい、はぁンっ……ぁ……んぅぅ……ちゅ、ちゅっ、ンッ……」
眉間に寄る皺。痛みはないものの、舌よりも質量のある指たちに対して内部の圧迫感を感じ、未来は呻く。
それを紛らわせるようにベリアルの綺麗な色をした硬い乳種に吸い付き、乳暈のすべすべ感や中心のコリコリ感、授乳による安心感に溺れる。
身体のナカを蠢く指。未来自身、まともに触れない場所を男に弄られているというのに腹側の肉壁を集中してこすられ、女陰は悦びに甘い汁を滴らせる。
「一生懸命に吸って……キミの本当のママになった気分だよ」
未来の身体を抱きかかえている方の手で髪の毛を優しく撫で、柔和に満ちた面様を浮かべる。まさに闇の聖母。
目を細め、未来の様子をじっくりと見つめながらベリアルは内部の拡張作業として指を閉じたり開いたり。
ぐぽっ、ぐじゅぅぅ、くちゅん、ぐちゅ。
「ンんんっ! ふ……ぁぁっ……!! らめぇっ……! も、いくっ、イクぅぅぅ……!!!!」
鼓膜を犯す淫水音楽と指の繊細な動きに、下腹部が切なくなる。迫りくる快感の波に乳尖りをしゃぶることさえできなくなり、ベリアルの豊かな胸に未来は顔を押し付けた。
目の前に星が散り、胸と秘処の熱がどんどん上昇していく。ベリアルから与えられる強制絶頂だというのに、彼に思考すら支配された今ではこの快楽に至上の喜びさえ感じていた。
一度お預けされている未来は耐えることなく、ひたすらにベリアルの指によがる。甘い声で啼きながら肢体をくねらせ、胸の紅飾りからは母乳を噴き出す。
「ほら…………イけ」
「ッ……! ぁ……ああああアァァぁあ……ッ!!」
子宮に溜まっていた淀みが弾け、下半身から脳天へと貫く雌絶頂に未来の身体は痙攣し、ベリアルの指を咥えたままの膣は収縮し、彼に心地よい肉圧を与える。
何度も背をしならせアクメを決める未来の胸からは、下からの潮吹きの代わりに何回かに分けてミルクシャワーが噴出し、周囲に甘い香りが漂う。
口からはだらしなく唾液を垂らし、光を失った虚ろな目はどこを見ているのか分からない。
「いいねぇ、その顔。キミにはソッチの才能があるよ。……それにしても、少し喉が乾いたな。またキミのミルクを貰ってもいいかい?」
自分の腕の中で息を荒げながら震えている可愛いかわいい獲物。その胸から泉のように湧き続ける乳汁を見て嘘が本当か分からぬ言葉を口にすれば、未来は拒否するように首を横に振る。
「いやっ……まだおっぱい吸いたいのっ……!」
「おやおや。赤ちゃん返りかい? ハイハイ、ならこうしようか」
両目に大粒の涙を浮かばせ、嫌だ嫌だと駄々をこねる様子は小さな子ども。
行き過ぎた魅了は未来を混乱状態へと陥れ、普段の彼女ならば絶対に言わない言葉を引き出したのだ。
ベリアルもプレイの一環として楽しんでいるので、未来の要望を無下にせず、素直に聞くと一旦彼女を膝から下ろして自らはそのまま仰向けに倒れた。
「この体勢ならキミとオレ、双方の欲を満たせるというワケだ。さあ、オレの頭側に回って……。ほら、吸いたいんだろう? ママのおっぱい」
最後の一言は強調するように低音声で誘い、両手で胸を寄せる。丸みを帯びた丘の間には谷間がくっきりと浮かび、間になにかを挟めそうなくらいに深い溝を生み出していた。
本能で快楽を求めるだけの獣に成り下がってしまった未来は男の誘惑に抗うという考えすらない。四つん這いになってよろよろと動くと彼の頭側へと移動する。
今の未来の目の前には彼女を虜にしてやまない乳房がある。その白い山と紅の山頂を見ているだけで口の中には唾液が溢れて止まらない。
ベリアルが次の指示を言う前に未来は動いていた。のそのそとした緩慢な動きで這い、屈むと頬を白い膨らみに当てる。
すると自然とベリアルの顔には未来の乳房がくる体勢になり、ピンク色の蕾から滴る白い雫が彼の顔を点々と濡らした。
ミルク色に濡れた腫れぼったい乳をベリアルは両手で寄せると、二つの先端に大口を開けて吸い付く。
音でも未来を犯すつもりなのか、ジュパジュパと下品な音をこれでもかと鳴らしながら忙しなく喉を動かす。
純白母乳を授乳する快楽を感じながら、未来も今まで吸っていた方は反対の突起にしゃぶりつく。舌で細かく弄りながら吸い上げれば先刻、胸を合わせたときについた淫母乳が彼の胸に残っており、舐める度にほどよい甘さを感じる。
残りの胸は手で触れ、そのふわふわ触感を楽しむ。少女の小さな手では覆いきれない豊かな丸み。手のひらで乳首の硬さを感じながら円を描くように揉めば、ただ揉むだけの行為だというのに興奮を煽り、脚の間が切なくなっていく。
(うぅっ……! アソコがムズムズする……!)
ベリアルの指や舌で愛された記憶。彼の巧みなテクニックを少し想起しただけでスカートに隠された性愛器官は恥蜜を垂らし、太ももを伝う。
ヒクつく牝穴は咥えるモノを欲しがるように口を開閉し、いやらしい熱を蓄積していく。
「ふぁ……ッ、んぁぁぁ……! はぁ……あッン、おっぱい吸われるのっ、気持ちいい……!!」
激しい吸引により強制的に胸の奥からミルクを吸い出され、未来はベリアルの乳種から口を離して喘ぐ。
吸われること自体に快楽があるのだが、それに加えて母乳が胸の中を通っていくことにさえゾクゾクとした快感を未来は感じていた。
淫乳快楽は少女を容赦なく襲い、軽く気を遣ってしまった未来の綺麗な桜色をした割れ目からは溜まっていた桃蜜が噴き出し、自らの肌や床を濡らす。
(はぁ……はぁ……アソコが切ないよぉ……!)
「ふぅ……キミのミルクは癖になる味をしているね。……おっと。悪い悪い。そろそろキミも我慢の限界だろう? どうやらオレの胸が大層お気に入りのようだから、胸を使った遊びを教えてあげるよ」
切ないと涙を零す場所に未来が手を伸ばそうと考えていたとき、ようやくベリアルが薄紅色の飾りから口を離した。
彼は未来に自分の胸に跨るように指示し、快楽奴隷の少女はそれに大人しく従う。
一旦起き上がり、ベリアルと向き合う形で彼の胸に腰を下ろす。骨の硬さと肉の柔らかさを同時に感じている未来の顔は目からは光が失われながらも恍惚としており、紅潮しながら息を荒げている。まさに獣。
「そうそう、上手だね。そのままクリトリスをオレの乳首に擦り付けるように腰を振って」
ベリアルは片手の親指で紅珠を数回撫で、場所を示してやると未来は中心に乗っていた体勢をずらし、彼の言うとおりに淫突起をツンッと尖っているところに密着させ、身体を揺り動かす。
「ぁ……! やっ……! これ、はっ、んはぁぅ……!! ちくびっ、こすれて、あぅぅ……!」
未来の肉花から分泌される膣粘液がローションとなり、摩擦を軽減し、尖端同士の絡み合いに小さい快楽を生み出す。
その快感にアブノーマルな体位、魅了などなど……各要素が濃厚に綯い交ぜとなり、大きな快楽へと昇華され、未来を肉欲の坩堝へと叩き落とす。
なめらかな男の胸肌は瞬く間に蜜でべっとりと淫猥に輝き、押し付けられている大・小陰唇や膣前庭もこすり付けるという単純な行為でも多大な──幸福感にも似た悦楽を得ていた。
「はぅぅぅっ!! いっぱい気持ちよくなってるのにっ、おっぱい揉まれたら、んぁっ……また、母乳……でちゃう……!」
自らの胸に乗り、大層気持ちよさそうに蕩けた顔をして腰を振る未来を見てベリアルが大人しくしているわけがなく。
彼の片手は激しい動きに呼応して重たそうに揺れる乳房へと伸びる。強弱をつけて揉めば溜まっていた母乳が弧を描きながら噴き出し、未来は背徳的な情欲や射乳快感に絶頂の兆しを急激に感じ始めた。
残りの手は未来の片手を握り、支えになってやる。まるで恋人同士の戯れに、自分たちの本来の関係を思い出せなくなっている未来は甘えるように自らもその手を握り返す。
止まぬ嬌声に下半身から発せられる灼熱の淫火。それは血管を駆け巡り、全身へとその熱を広げていく。
腰の動きは過激になっていき、完全に己の自慰のためにベリアルの胸を使っている未来。彼の柔い乳房の上で堕ちた顔で雌犬のように暴れる彼女も最後はあまりの解放感に声すらも出せず、ただひたすらに身体を震わせるのみ。
「ヴァージンとは思えないイキっぷりに感動すら覚えるよ。オレの胸は気持ちよかったかい? 未来ちゃん」
身体を起こし、未来を膝に座らせるとベリアルは彼女の頬を包み、未だに熱がくすぶる瞳の奥を覗き込みながら話しかけるも、返ってくるのは乱れた呼吸だけ。
「本当はこのままヤッちまうのもいいが……メインディッシュは最後まで大切に取っておく性分でね?」
痛いほどに布を押し上げ、張り詰めている肉棒で軽く突き上げる動作をすれば無防備な雌器官はイキり勃った雄の気配に口から濃厚な甘露を垂れ流す。
「いっぱい……気持ちよくなったのにっ、まだ……からだ、熱い……」
「ならご希望どおりもっと遊ぼうか。キミが満足するまで付き合ってあげるよ。優しいだろ? オレ」
未来の頬を包んだままベリアルは口づけを送り、同意なのか、彼女から積極的に舌を絡ませて男を喜ばせる。
性欲に支配された哀れな獣。可愛い小動物を見るような眼差しを向けながら、ベリアルは異世界の特異点の痴態をじっくりと記憶していく。
淫らな悪夢は未だ覚めず──。