大丈夫?雄っぱい揉む?

「やぁ、特異点。コンバンハ」
「ベリアル……? なんの用……?」
 団長であるジータの部屋には小さいながらも浴室が備え付けられており、シャワーを浴び終わって部屋に戻ってきた彼女に軽快に声をかけたのは黒衣の男。
 ジータのベッドに腰を下ろして優雅に足を組む彼の名前はベリアル。堕天司であり、ジータたちの敵でもある男。なのだが、最近はジータにちょっかいをかけにこうして部屋を訪れることが多い。
 最初は警戒していたジータも回数を重ねる毎に態度を軟化させていき、今ではベリアルが部屋にいても特に反応をしなくなっていた。
 今日のジータはお疲れモード。目蓋は今にもくっつきそうなくらいに重い。その理由は古戦場にある。敵を斬って斬って斬りまくって肉集め。疲れないわけがない。
 肉集めが終わっても今度はそれを消費するために戦闘を重ねなければならない。なので正直ベリアルに構っている余裕はないのだ。
「相当お疲れのようだなぁ。大丈夫かい? おっぱい揉む?」
 チラッ、と片方の胸元をはだけさせて中身を見せてくるベリアルにジータは無言のまま近寄りベッドに上がると、そのままベリアルの背中に抱きついた。
 妖しい色をしたふわふわのファーが顔に当たってくすぐったいが、今は疲れているので気にならない。
 ジータは深く思考する前に癒やしを求めて両腕をベリアルの脇の下から通し、服のボタンを外すと無防備な膨らみに手を添えた。
 普段ならばこんなことはしないのだが、ベリアル自身が誘っていることと極度の疲れからまともな考えができないのだ。
 積極的なジータの行動にベリアルの呼吸に興奮の色が混じり始める。
「ふぅーん……? 結構柔らかいんだね……?」
「ンっ、フフ……。揉み心地いいだろ?」
 大きさを確かめるように下から持ち上げ何度か揉めば、手の中で軟肉はふよふよと形を変える。その感触が思いのほか気持ちよくて、ジータは夢中になって揉み始めた。
 体を乗り出し、ベリアルの肩に顎を乗せながらジータはむにゅむにゅと指の間に盛り上がる膨らみを見続ける。ただひたすらに揉んでいるだけなのだが、なぜか離し難い。ずっとこのままでもいいくらいに。
「揉み方に遠慮がないなァ。相当お疲れのようだ」
 ベリアルの片手が伸びてきたと思ったら頭を撫でられる。よしよしと甘やかす手はジータの疲弊した心身を癒やしていく。
 目を閉じて胸と頭部からもたらされる悦に浸っていると、揉む手の動きが徐々に緩慢になっていく。ジータの限界がきたのだ。
「おっとぉ……? なんだい特異点。このまま姦淫でもするかい? キミが望むなら喜んでお相手を務めようじゃないか」
 背後から引き寄せるようにしてベリアルをベッドへと押し倒し、彼の腹部に馬乗りになっているジータの眠そうな瞳には光がない。
 ベリアルはジータの行動に口元をカーブさせていやらしい手付きで腰を撫でてくるが、ジータからの反応はない。
「おやすみ……」
「はっ?」
 そのままぺたん、と倒れ込むジータの顔を受け止めたのは二つの丸い丘。ベリアルは無防備過ぎる行動に目を何回か瞬きさせたのちに、込み上げてくる笑いを押し殺す。
「極度の疲労だとしても気を許し過ぎなんじゃないか? 特異点。その気になればキミをこのまま犯すことだって簡単なんだぜ? キミの旅を終わらせることもね」
 まあ、その気はこうして削がれてしまったワケだが。
 言葉は胸に留め、ベリアルはジータを体に乗せたまま薄手の毛布をかける。
 今夜だけは、特異点専用の枕になろうじゃないか。

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