姉ジータちゃんと姦淫しようとしたら逆に雌にされてしまった弟ベリアルくんの話

 ルシファーが所長を勤める研究所。その一室に桃色のヘアバンドをし、ピンク色のワンピースを着た少女の姿があった。窓から差し込む太陽の光を受け、三つ編みにされた黄金の髪が煌めく。
 彼女の名前はジータ。ルシファーに造られた星晶獣である。天司の前身として造られ、現在は彼の身の回りの世話をしていた。
 赤いベルベットでできたソファーの真ん中に座り、目の前のアンティーク調のローテーブルに置かれているカップに手を伸ばす。
 白い入れ物にはピンク色の薔薇の絵が散りばめられ、可愛らしい彼女にぴったりのティーカップだ。中身は淹れられたばかりなのか、温かな湯気が立ち上っている。
 ほんのりと甘い林檎の香りを楽しみながら、透き通るような飴色の飲料を口に含む。果物の爽やかな味の中に茶葉の味が感じられ、ホッと息をつく。
 静かで穏やかな時間が流れ、もう一度紅茶を飲もうとしたとき、部屋にノック音が響いた。
 自分の部屋を訪ねる者はそんなにいない。いったい誰だろうか。返事をし、入室を許可すればドアノブが回された。
「ベリアル? 珍しいね。あなたがくるなんて」
「フフ。コンニチハ」
 訪ねてきたのは天司長副官のベリアルだった。ダークブラウンの髪を持ち、肌は白すぎるほどに白い。ジータの後に造られた星晶獣で、天司と呼ばれていた。
 ルシファー付きの獣であるジータとはなかなか接点はないが、生まれたばかりの頃は色々教えたりしていた。そんな彼がなんの用だろうか。
 誰にでも向ける愛らしい笑みを浮かべながらベリアルに用件を聞けば、彼は人のよさそうな笑顔を貼り付けながら歩み寄ってきた。
 ソファーに座るかと思いきや、彼はジータの背後に周り、首に腕を回してくるではないか。
 男性の太い腕を巻きつかせ、甘えるように頬を擦り付けてくるベリアルに対し、ジータは特に動揺することなく、カップをソーサーに戻した。
 ジータにとって彼は自分よりだいぶ後に造られた存在。弟がじゃれてくる程度にしか感じないのだろう。慈しむようにベリアルの髪を撫でた。
「本当にどうしたの、ベリアル」
「なあ……さっき、星の民とナニしてたんだい?」
「なにって、ただ話をしていただけ」
「そうかい? キミの名前を呼びながら喘いでいたようだけど?」
 ベリアルが喉の奥で笑う。ジータは相変わらずベリアルの髪の感触を楽しみながら、数時間前のことを思い出していた。
 研究所の廊下。主に金銭面でルシファーの援助をしている星の民が話しかけてきて、そのまま鍵のかかる部屋へと一緒に向かった。
 ジータにとってはこの男の相手は慣れたものなので特になにか思うことなく、後をついていった。ベリアルが物陰からこちらを伺っていたのを承知の上で。
 部屋の中での行為を思い出す。たしかにあの男はうるさかった。椅子に座る自分に跨り、必死になって体を上下させていた。
 男と女。部屋から聞こえる声だけでは一般的な性行為と思われても仕方がない。だが、行われていた行為は通常の男女のそれとは違っていた。
 ベリアルの性質は理解している。人間や魔物相手に姦淫やらソドミーやら……。つまり、自分もあの男と同じことをしてほしいのだろう。
 ジータにとっては鴨が葱を背負って来たも同然。そもそも、自分自身もどこかでそれを期待していた。他の天司たちと違う感情を向ける相手をようやく、自分のモノにできるのだから。
 これから起こることに対してジータは生唾を飲み込む。興奮で頭がくらついてくる。
「聞いてたの? ふふっ、悪い子。いいよ。あなたにもしてあげる」
 ぽんぽん、と優しく撫でつけ、ジータは立ち上がるとベリアルの手を引いて寝室へと向かう。肝心のベリアルはあまりにも上手くコトが進みすぎているせいか、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
「じゃあ服、脱いじゃおっか♡」
「き、キミ、そんなに積極的なキャラだったかい……? そもそも逆じゃ……」
「いいから私に任せて。ベリアルは寝転がっているだけでいいからね?♡」
 一人で寝るには少しばかり大きいベッドにベリアルを押し倒し、自分も上がると、会話をしながら彼の服を剥ぎ取っていく。
 恥ずかしがることもなく、自分から動くジータにベリアルは驚くが、どんなふうにシてくれるのか気になるようで、すぐに大人しくなった。
 ベリアルを一糸纏わぬ姿へと変えると、ジータはその肉体美に熱い吐息を漏らす。なにもかもが完璧すぎて、彼に堕ちる人間が後を立たないのも頷ける。
 上半身へと向けていた視線を下半身へと移す。彼の象徴はへそまで反り返り、存在を主張していた。
 星晶獣についていても意味のない子宮が疼くが、受け入れるのはベリアルのほうなのでジータは窄まった場所へと目線を変える。
 使い込まれているだろうアヌス。早く塞いでしまいたい。けれど少しはほぐさなければ。
 人差し指と中指を己の唾液で濡らすと、遠慮なく沈めた。内部を探り、男が女のように気持ちよくなれる場所を見つけると、重点的に刺激し続ける。
「んっ……キミっ、星の民にそんなことまでしているのかい……?」
 頬をほんのりと赤く染め、言葉を紡ぐベリアルにジータは微笑む。男が尻穴を弄られているというのに騒がないのはさすがとしか言いようがない。
 口調から前立腺マッサージ的なことをしていると思っているようだが、実際は違う。受け入れる準備をしているのだと言ったら、彼はどんな顔をしてくれるだろうか。
「そろそろいいかな……」
 ちゅぷりと指を引き抜き、その手で服の裾を摘むと、見せつけるように捲った。注視していたベリアルはジータの股間にあるモノを見て目を見張る。なぜ、そんなモノが付いているのだ。
 ピンク色のショーツから覗くのはビクビクと震える男根。可愛らしい少女に付いているのが酷くいびつなモノ。
「うふふっ。これはね、あなたたち天司が造られるずっと前にお父さまの実験に巻き込まれて、できたモノなの。お父さまは取ろうとしたけどコアを弄っても消えなかったし、手術で物理的に切除しても再生してしまって」
「へぇ……そんなことが……。もしかしてソレをオレに挿れるつもり、」
「ご明察♡」
「ひ──オ、ぉ゛ッ♡」
 気持ちがいいほどの笑顔でジータはベリアルに剛直を穿つ。狭い穴を無理やり広げられる感覚にベリアルは白い喉を仰け反らせる。ジータも彼の締め付けに腰が砕けてしまいそうだった。
「ウフフフフッ……なるほどっ、キミが星の民を抱いていたというわけかッ……!」
「まさか。あの人は椅子に座る私の上に跨がって自分で腰を振っていただけ。私自身が触れたり、動いたことは一度もないよ。ベリアルだからだよ? こんなことをするのは」
「それでも相手をするのはファーさんのためかい……?」
「そう。彼は金銭面でお父さまを支援している星の民。その代わりに私の男の部分を貸してあげているだけ。お父さまに心酔しているベリアルなら、私の気持ちも分かってくれるよね?」
 そこに快楽なんてない。ましてや精神的な満足感なんて。
 ジータはベリアル相手に初めて性行為での気持ちよさを感じていた。自分の一部がベリアルのナカに包まれ、満たされている。彼の甘く、蕩けるような嬌声は耳障りがいい。
 もっと、もっと欲しい。彼を自分の雌にしてしまいたい。欲望に忠実になったジータはベリアルを堕とそうとがっしりとした腰を掴み、男の気持ちいいところを擦り上げる。
 そうすれば腰の動きに共鳴してジータの望む声が溢れた。言葉自体は濁点にまみれているが、それを音にする声は神をも魅了するのではないか。
 ジータは非童貞ではあるが、自分から動くのはこれが初めて。淫楽に駆られた彼女は乱暴とも言える腰つきでベリアルを蹂躙していく。
「あ゛っ、あぁ……♡ はぁっ、んん゛♡ オ゛、っひ、あは、ア゛っ♡♡」
「さすがだね。おちんちん挿れられても動じず、逆に享楽にふけってる♡ んっ、ナカに出すね……♡」
 粘った音を立てながら抽送を繰り返していると早くも限界が訪れた。自分の汚濁でベリアルにマーキングしたい。今だけは、この子は自分のモノなのだという印をつけたい。
 みんなに平等の愛を与える姉のような存在なのに、このときだけはベリアルにのみ己の持つ全ての愛を注ぎたいと、ジータの本能は訴えかけていた。
 激しく突き上げながら、ジータも喘ぐ。二人の声が絡み合って、小さいながらも官能的な音楽祭を開く。
「いくイクイクッ! ベリアルっ♡ 私のザーメン受け止めてっ!!」
「ッあ゛♡ んあ゛ぁあ゛あぁ……♡ んお゛ッ、い゛……ッぐ♡」
 雪肌をベリアルは自分の精液で汚し、体をがくがくと振動させる。雄膣も痙攣し、その震えがジータの精液を搾り取るような動作に思えた。
「体位を変えようか……」
 額から汗を流しながらジータは呟き、抜かずのままベリアルの腕を引っ張り起こし、それを自分の首に回す。次いで太ももに腕を回すとそのまま持ち上げた。
 見た目は子供でも中身は星晶獣。成人男性の体を持ち上げることなど容易い。
 ベリアルを抱っこし、ベッドから下りると、その際の衝撃で肉棒が最奥に突き刺さり、ベリアルは声を詰まらせた。
「ふ、ぐぅ……! ぁ゛、オ、ォ゛ぐぅっ、気持ち、い゛、い……♡」
「うんうん。知ってるよ。ベリアルは気持ちイイこと、大好きだもんね♡」
 自分より大きな体を軽々と抱えながらジータは微笑む。己の肩に顔を乗せ、快楽のカケラを流し続ける弟が可愛らしくて、愛おしくて。
 体を密着させ、コアの熱と脈動を感じながら腰を振り続ける。ベリアルは自分の体重でジータの熱塊が奥の奥まで刺さり、もう訳が分からなかった。
 ベッドの上では感じられない刺激に濡れた啼き声がひっきりなしに漏れ、ジータを興奮させる。
 普段から余裕たっぷりのベリアルしか知らないジータは彼の梳き心地のいい柔らかな髪を何度も撫で、媚肉を堪能するように穿ち続ける。
 いびつな交接は星の民相手に幾度としてきたが、一度も興奮はしなかった。体は生理現象なので最後は射精していたが、精神は満たされないまま。
 ルシファーのためになんの興味もない相手に男性器だけを貸している状態なのだから。
 だが、ベリアルは違う。ルシファーから生み出され、自分と同じように造物主を慕う彼は。完璧なる黄金比を持つ彼は。
 姉として弟を愛しく思い、雌として彼に欲情していた。
 強い締め付けに耐えながらジータはベリアルを求める。彼のナカはとても居心地がよく、ずっと挿入していたい気分だ。
「ひ、っぁ゛、姦淫には慣れてるのに、こん゛、なぁ……!」
「私のおちんちん、気に入ってくれたようで嬉しいよベリアル。女に攻められるのも悪くないでしょう?」
 聞いていると頭が痺れてくるような声をもっと聞きたくて、ジータは無我夢中でベリアルを突き上げる。求める存在とのセックスはこんなにも気持ちがいいものなのか。
 中毒になってしまいそうだと自嘲しながらベリアルを啼かせ続ける。すると……。
「ん? 誰か来た。この気配は──ミカエル?」
 寝室の扉の向こうからノックが数回。気配を探ればベリアルを慕っているミカエルだった。
 大方ベリアルを探しにきたのだろう。おそらくは招集で。普段のジータならば一旦ベリアルをベッドに寝かせて対応するのだが、夢見心地で抱きついてくる男に対してほんの少しだけ意地悪をしたくなった。
「ぁ……? だ、駄目だジータ! 今はッ……!?」
「シー……。声を抑えないと聞こえちゃうよ……?」
 喉の奥で笑いながらジータは寝室を出ると、私室の出入り口である扉へと向かう。筋肉質で重い男性の体を腕の力だけで抱く少女の姿は異様だ。これも中身が星晶獣だからできる芸当。
 ジータの楔を根本まで咥えるベリアルは下りることさえできない。性能は彼のほうが上なのだが、今、この場では逆転していた。
「ごめんねミカエル。いま服を着替えているからそこで喋ってもらっていい?」
 裸のベリアルを抱えたまま扉の前に立ち、訪問者に話しかける。ベリアルの肉筒が緊張し、ジータを締め上げるが、彼女は涼しい顔をしたまま。これではどちらが狡知なのか。
 ここでまた一つ、ジータの中に意地悪な考えが浮かんだ。ベリアルを支えていた腕のうち、右腕を彼の背中へと伸ばし──そのまま沈めた。
「ひぎッ……!?」
 彼のコアを守る肉と骨を魔法ですり抜け、彼そのものと言える球体に触れれば、ベリアルの声が漏れてしまう。
 ジータは気にせず、コアを撫でたり握ったりと弄くり回す。ベリアルは己自身を直接犯されている感覚に自分の力だけではどうしても声が抑えられず、ジータの肩に噛み付いた。
 皮膚が破ける痛みにジータは顔を歪めるが、それも一瞬だけ。彼に与えられる痛みは快楽へと変換され、ジータを満足させる。
「実は招集時間なのだが、副官が現れず……」
「ベリアル? ごめんね、私もどこにいるのか分からなくて。あとで探してみるね」
「ああ。よろしく頼む」
 短い会話を終えるとミカエルはなにも不審に思わず、去っていった。小さくなる気配。完全に遠ざかると、ジータは褒めるようにコツンコツンと軽く揺すった。
「行ったよ、ミカエル。ふふっ、見られちゃうかもしれないって思って、興奮しちゃったんだ。かわいい♡」
 汗を滲ませながらベリアルを見る。肉欲を咥えさせられ、コアも弄られ、誰にも見せられないような顔は、狡知を司っているとは思えないほどに情けないモノだ。
 口ではベリアルだけが興奮しているようなことを言っているが、ジータも同じように昂ぶっていた。非日常的な出来事。ベリアルのナカを満たす凶器は膨張し、アヌスの拡張を図る。
「ッ……ふっ……! 部屋にっ、戻ろっか……」
 下半身の奥から込み上げてくる感覚を堪えると、ジータは眉をひそめた。ベリアルを抱え、密着するこの体位は好きだが、ベッドに寝かせて思い切り腰を打ち付けたい。
 彼の背中にねじ込んでいた腕を引き抜くと寝室に戻り、ベッドに下ろそうとしたが、寸前でジータは我慢ができなくなってしまった。うねる肉襞に精液を搾り取られ、下肢がぶるりと震える。
 ベリアルも出されている感覚に小さく呻き、ジータに縋る。その力の強さに少しばかり痛みを感じるが、それさえも愛おしい。もし仮にこれがあの星の民ならば不愉快極まりないのだが、ベリアルは別。
 もっと、もっと欲しくなる。欲望は膨れ上がるばかり。
 大量の精は粘膜の隙間から漏れ出し、ワンピースを汚す。そろそろベリアルを直に感じたいと思っていたジータは彼を優しくベッドに下ろすと躊躇いなく服を脱ぎ捨てた。
 交接のときに裸になったことはない。相手の星の民に脱げとも言われなかったし、そもそもの話、脱ぎたいとも思わなかった。
 けれど彼に対しては違う。肌と肌を触れ合わせ、彼を感じていたい。
 脱いだ際にふるりと乳房が揺れ、その先端は尖っていた。熱い滾りを放出したばかりだというのに、ジータの怒張は勃起状態を保ったまま。陰部を覆う布から飛び出したままだ。
 ショーツも脱ぎ、ワンピースと同じように床に放る。
 ベリアルが挿れたいと思っていた秘処もしとどに濡れ、ジータの興奮具合を表していた。
「あーー……勃起が治まらないよ。いつもなら一回で萎えるのに、あなた相手だと萎えることさえしない」
「む゛……りっ……尻、ごわ゛れる……!」
「そう簡単に壊れないし、壊れても再生するから大丈夫」
 ベリアルの片脚の上に跨り、残りを担ぐと白濁にまみれた孔がぱっくりと口を開いていた。塞ぐモノを求めるかのようなそれにジータは笑みを零すと、先端をあてがう。
 これ以上されたら、とベリアルは彼らしくない拒否を口にするが、ジータがやめるわけがない。大丈夫と口にすると、一気に腰を進めた。
 咥えるモノを見つけた肉の壁はジータを歓迎し、ベリアルは自分の腹を新たな汚濁で白く染める。あまりの快楽に挿れられた瞬間に達してしまったようだ。
 顔を真っ赤にし、あらゆる分泌液で濡らすベリアルはただの雌だった。おかしい。こんなはずでは、と目尻から涙を流しながらジータを見つめてくる。
 ぐちゃぐちゃになった彼の熱い視線にジータのコアが酷く疼く。星晶獣として上位の存在を思うがままに蹂躙することに悦を感じている。己にこんな欲望があったのかと、口を歪ませた。
「ごめんねっ! 本当はシャワー浴びせて服を着せて、招集場所に行かせるべきなんだけどっ! あなたを放してあげられないのぉっ!!」
「ん゛、ぅ゛うぅ、ゃ゛はっ……♡ お゛ッ、ま、待て、イッでる゛! ぁあ゛、う、うぅ゛♡」
 肌触りのいい、なめらかな脚に舌を這わせながら何度も何度も串刺しにする。内蔵を抉る勢いで最奥を穿ち、ベリアルは矢継ぎ早に与えられる衝撃にひたすら喘ぐだけ。
 雌に屈服する雄へとなり果てていた。
 平時の彼ならばたとえ挿れられるほうでも自分が主導権を握っていた。それなのにジータ相手には握ることさえできない。
 純粋な力も彼のほうが上なのだが、どうしても抗えない。体がジータの雄の部分を欲していた。
「あとでルシフェルには言っておくからっ、私の用事に付き合ってもらってたって!」
 しなやかな筋肉を持つ脚を支えにしながら揺さぶり続ければ、敏感な部分を刺激されるたびにベリアルはジータの望む声を上げ、彼女を満たす。
 彼に極上の声帯を与えてくれたルシファーに感謝しながら、灼熱の感情のままにベリアルの体を貪り尽くしていく。
 結合部からは粘着質な音が溢れ、真っ白な体液を内部で撹拌し続ける。
(おちんちんなんてお父さまのためにしか役に立たないと思ってたっ、でもっ、ベリアルをコレで気持ちよくできて嬉しいっ! 幸せ過ぎて死んじゃいそう……!)
 極度の興奮からなのか、それとも嬉し涙なのか。ジータの双眸からは涙が流れ、汗と同化して滴り落ちる。
「うぅっ、出るっ! 射精ちゃぅぅっ! ベリアルのっ、雄子宮でッ、全部受け止めて──ねっ♡」
 目を閉じ、ベリアルの嬌声と脚の感触を楽しみながら男の絶頂を味わう。脳髄が痺れ、なにも考えられなくなる。
「──ッお゛、あ、ッひ♡ ィ゛いっ……おぐ、い゛っぱい♡ でっ……ひぃ゛いぃ♡」
 内部で精子を爆発させられたベリアルは白目をむいて体をしならせ、震わせた。開いたままの口からは唾液が流れ落ち、シーツを濡らす。
 ジータは自分の形を覚えきった内壁に塗りつけるように腰を緩く動かし、ようやく萎えた陰茎を抜いた。
 ぽっかりと空いた穴からは熱くてくどい液が溢れ、ベッドを汚す。
 担いでいたベリアルの脚を下ろすと、ジータは乱れた呼吸を整える。それはベリアルも同じ。
 飛ばしていた意識を取り戻し、ジータの股間のモノが柔くなっているのを薄目で見ると、ようやく終わったと胸を撫で下ろす。
 当初の予定としては自分が優位で女の快楽をイヤというほど叩き込むはずだったのに、蓋を開けてみれば……。
 だが、女性の体に生えている男性器で女にされる……というのも倒錯的で非常にヨカッタとベリアルは心の中で笑む。
 するとジータが倒れ込んできた。頭部を優しく包み込まれ、口を塞がれると唾液を送り込まれる。さらに彼女の膨らみがベリアルの胸と合わさり、勃起した乳首同士がこすれ、独特の快楽を生み出す。
 口内を舐め回され、優しい甘さに浸っていると、ジータは顔を離した。二人を繋いでいた架け橋が落ち、ベリアルの口元を濡らす。
「ごめんね。まだ興奮が治まらないの」
 ピシリ、と彼の端正な顔にヒビが入る。まだ? まだ終わらない? 性欲が強すぎるのではないか?
「いや、オレ仕事あるし、もう……」
「本当にごめん。もう少しだけ、私の女の子でいて……ね?」
 魅了なんてかけてないのに、ドロドロに蕩けた欲望の瞳をしたジータに見つめられ、ベリアルは諦めるように目を閉じる。
 ──結局この日は、真夜中になってもベリアルはジータの部屋から出ることは叶わなかった。

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