幻のひと、夏の日のあなたと。 - 1/6

プロローグ

 中学最後の夏休み。私は初めて恋をし、失恋をした。
 出会いは偶然。けど私があなたに恋をするのは必然だったのだと思う。
 今も出かける度にあなたの姿を探す日々。名前すら知らないしろがねの人。
 あなたは私の思い出の中にだけいる人。
 あなたは、夏が見せた幻影なのかもしれない──。