武器脳妻を分からせるダーク・ラプチャー(HARD)さん

「お前の敗けだ。ジータ」
 肉体を捨てた深淵の色をしたルシファーが切り捨てるように呟くと、武器の顕現を解いた。
 彼の視線の先には戦闘不能状態のジータの姿。お馴染みのピンク色の少女らしい服はぼろぼろで激しい戦闘による創傷も多い。
 ここはルシファーが作り上げた異空間。存在するのはルシファーとジータのみ。今回一緒に戦ったメンバーはジータより先に負傷し、ルシファーによって空間から弾き出されていた。
 ──喪った家族を求めて輪廻転生を繰り返しながら様々な世界を旅してきたジータは、この空の世界にてようやく大切な家族を取り戻すことができ、幾許かの月日が流れた。
 夫であるルシファー。かつての世界でルシファーが造った人工生命体、今世では星晶獣であり、我が子同然の堕天司ベリアル。
 ルシファーは預言者、ベリアルはサンダルフォンや四大天司たちが両名の力を封印した上でグランサイファーに乗り、ジータと一緒にイスタルシアを目指して旅をしている最中。
 ルシファーとジータは夫婦ではあるが、模擬戦という名の本気の戦いを繰り広げるときがある。
 それは終末武器を作ったり、強化、武器スキルを変更するために彼の躰から零れ落ちるシャード・オブ・ダークネスやダークネス・マテリアル、終末の暗晶といった素材が必要だからだ。
 夫婦なのだからジータがルシファーに頼めばいいのでは? と誰もが思うが、肝心のルシファー本人がうんと言わない。この身をなんだと思っていると。
「いったた……。妻が孤軍奮闘しているんだから手加減してくれてもいいじゃない」
「フン。手加減状態の俺ではお前が望む素材はやれんがな? そもそも全力の俺を所望したのはお前だ。暗晶が欲しいのだろう?」
 荘厳な雰囲気漂う特殊な空間は景色からしてジータは浮いている状態だが、地面に座り込むような体勢を取っても落ちることはない。まるで目に見えない床があるように。
 模擬戦を行うにも艇の上でするわけにはいかない。なのでルシファーが周囲に影響が及ばぬ異空間を作り上げ、そこで戦闘を行っていた。
 外からの干渉はルシファーに並ぶ、もしくはそれ以上の力を持つ存在でなければできない。そんな存在はひと握り。
 つまり、今ここでは本当の意味で夫婦ふたりきりで、どんなことをしても外の者たちに知られることはない。
 ルシファーは自らの傷を瞬時に回復すると、次いでジータを回復してやる。傷はもちろん、力と力のぶつかり合いによってところどころ破れたお馴染みのピンクの装いも元通り。
 仲間たちが戦闘不能になるなか、最後に独り残ったジータはあと一歩というところまでルシファーを追い詰めたが、今回は討伐失敗。
 愛する妻がひとりで戦っているのだ。少しくらい手を抜いてくれたって、と口を尖らせる彼女をルシファーはばっさりと切り捨てると片手に持っているなにかを眼下にいるジータへと投げた。
 彼女が両手でキャッチすれば見ているだけで気を奪われそうなほどの力を秘める闇の輝きがひとつ。終末の暗晶。ジータが欲しかったものだ。
「敢闘賞だ。くれてやる」
「うぅ、他のアイテムよりかはマシだけどぉ……! でもありがと、ルシファー……」
 一個でも暗晶は暗晶。必要数には足りないが無いよりかはマシである。
 しかしジータからすれば最近は安定して勝てていたのに討伐時間を縮めたくて違う武器編成にしたところ、逆に倒せなかったことにその場に膝を抱えて座ると顔をしかめてブツブツと次はあれを抜く、これを入れてみると武器の話ばかり。
 空中に浮かんでいるルシファーは夫を放置して武器のことばかり考える妻に正直イラっとくるものがあったのか、現在の姿での顔は揺らめく炎にぼんやりと表情が読み取れる程度ながらも不機嫌と分かる面様をすると、ジータの元へと舞い降り、巨大な漆黒の十二枚羽の顕現を解いた。
 ある意味誰にも干渉されない空間にいるのだ。もう少し違う会話ができないものか。口には出さないがルシファーからのジータへの執着もなかなかのモノ。
 かつて研究者だった頃。前世の記憶を持ちながら星の民として転生したルシファーは自分の記憶の中にいるジータをこの手にと、忠実にジータを再現した星晶獣を何体も造ったがどんなに容姿や声、性格、記憶を彼女のものにしても“魂”だけはジータではない。
 記憶の中のジータと同じように自分の名前を呼ばせても重なることはなく、廃棄、廃棄、廃棄。やがては造らなくなった。
 それほどの執心を抱く相手が最愛と呼ぶ夫が目の前にいて、さらには好都合な空間にいるというのに夫婦らしい会話のひとつすらなく武器のことばかり。
 生前の彼女はここまで武器マニアではなかったはず。剣は得意だったが、今では様々な武器を軽々と使いこなしている。それは彼女が過酷な魂の旅で培ってきたものだが、ここまで武器に関して熱心になるとは。
「う〜ん。やっぱり終末武器のスキル変えてみようかな。それにまだ作ってない他の神器もあるし……。ねえ、ルシファー、しばらくドロップUPキャンペーンしない?」
 ルシファーが近くに降り立ったというのにお構いなしなジータは指を折りながら脳内会議をし、いいことを思いついたと立ち上がると片手の手の平にぽん、と片方の拳を押し付けて提案する内容にルシファーは固まる。
(ドロップUP……? ふざけるな……! 俺をただの素材扱いするだと……!)
「終末武器のスキル変えたいし、まだ作ってない神器もあるからダークネス・マテリアルや暗晶もっと頂戴! あとはヒヒイロカネ、バハムートの紫電角、虚ろなる鍵、オメガユニット、アスタロトのアニマ……。あぁ、手持ちの終末武器をもっと強くするためにもベリアルの角やベルゼバブの翅も欲しい。周回しないと……どんどん日課が増えていくよぉ……」
 どこかキマっている危ない目をしながら、ある意味では混乱状態に陥っているジータに対するルシファーの怒りは蓄積していくが、瞬間ふっ、とそのかんばせから力が抜ける。
「……そんなに欲しいのならくれてやる。呑まれても知らんがな」
「っ!?」
 武器頭を冷やすにはその身に分からせてやるのが一番だと、ルシファーは絶対零度の怒りを胸に宿す。すると彼の足元や背後から黒い粘性のある物体があふれ出し、大波となってジータに襲いかかる。
 彼女の全身に纏わり付く闇はルシファーの躰から零れ落ちたシャードやマテリアル。それぞれがまるで意思を持っているかのように蠢き、ジータの四肢を動けぬよう拘束した。
 慌てたジータは手足を動かそうとしてもビクともせず。手に装着しているガントレットが虚しく金属音を上げるのみ。
「ちょっ、ルシファーなにする、ひゃぁっ!?」
 シャードも集まった果てにダークネス・マテリアルになり、ジータを絡めとる闇は触手のように細かく分かれると彼女の衣服の内側へと無遠慮に侵入し、蠢くのに合わせて服の表面がぼこぼこと波打つ。
「あ……っ、やめ、そこはっ……! ん、んぅ……! あっぁ! なんなの、これぇっ、んぁっ、ルシファーっ……!」
 服に隠されたみずみずしく、形も整った乳果実に闇色触手が大量に群がり、明らかな性的接触にジータの顔が甘く歪む。
 全身を這いずるルシファーの一部ともいえる存在は雌声を誘い、いやらしく身体をくねらせて悶える彼女の視線の先には鎧に包まれた長い脚を組みながら優雅に宙に座る男の姿。
 腕を組み、ジータを見つめる目は肉体を捨てた状態では見えないはずなのに。まるで観察対象へと向ける“無”の視線が感じられ、ようやくジータは彼が怒っていることに気がついたが時すでに遅し。
「ごめんなさいルシファー、ごめんなさいっ……!」
「なにを謝る必要がある。お前は大量のダークネス・マテリアルを欲した。俺はそれに応えてやったまで。いい反応をすれば暗晶もくれてやってもいいぞ?」
 普段の声に加工を施したような、異形の者に似合う声がせせら笑う。
「んん〜〜! ぁ、や、やぁぁ……、マテリアルが、胸……をっ、ひっン」
 屹立し始めている桃色乳頭を細長い棒状の軟体生物と化した闇の力がまるで乳搾りをするかのように乳房ごと巻き付き、絶妙な力加減で締め付けてきてジータを苛む。
 痛いのと同時に気持ちがよくて、ルシファーの手や口で愛撫されるのとはまた違った快感が駆け巡り、彼から与えられる快楽が弱点であるジータは簡単に陥落してしまう。
 目尻からは艶やかな涙が滲み、顔は火照り、口からは唾液が滴り落ちる。ルシファーは乱れ狂う妻の痴態に氷の眼差しを向け、黙ったまま。かなりお冠のようだ。
「うあぁぁ……! ひゃぁ!? ひっ、やだぁ!」
 ジータの身体に絡みつく、触手の形をとる大量のダークネス・マテリアルは彼女の服を乱すと胸を丸出しにする。
 たゆん、と柔らかな音が聞こえてきそうな白い双丘にはすでに細い紐状の触手が支配しており、乳首が引っ張られ、なにも出ないというのに搾られてジータは痛みやら気持ちよさやらで悲鳴のように嬌声を上げる。
 ──胸を這っていたマテリアルの一部が姿を変えていく。触手の先端が口を開くように上下に割れ、闇一色の内部を見せながら乳蕾に吸い付いた。
「ひぐぅぅっ!? ン、ひぃ、ひぁぁぁぁっ!! やぁっ、おっぱい吸っちゃだめぇぇッ……!!」
 鋭敏化している乳種が強弱をつけながら激しく吸引され、舌や手とは違う感覚に悲鳴を上げながら身体をよじるも効果はなし。
 こうしている間にも先端だけではなく、乳肉を、いいや、少女の白い肉体を触手がそれぞれ思うがままに蠢くのだからたまらない。
 全身から脳へと叩きつけられる性の電撃は空の危機を救ってきた勇敢な少女を一匹の雌へと貶めるが、無理やりの──常識を逸脱した行為に対して身体は喜ぶような反応を示す。
 その証拠に触手によって開脚をさせられ、ルシファーにさらけ出されている桃色ショーツの中心に濃い染みが広がっていき、柔らかな脂肪の割れ目に沿って布が張り付き卑猥な光景が広がってるが、ジータは気づかないし、そちらに気を向ける余裕もない。
「お願いルシファー……もう許してっ……」
「許しを乞う割りには、発情しているようだが?」
 ルシファーが軽く片手を振るうと触手の一部がジータの秘処に集中し、下着は無残にも破かれシロップでてらてらと妖しく光る美味しそうな水密桃が露わになる。
 雄を誘う甘い雌の香りを振り撒く発情性器。触手によって宙に浮いたまま、開脚状態の太ももを腹側へと折り畳まれ、よりソコを強調される形になると必然的に中心が開く。
 とても男性器を受け入れられるとは思えぬ小さな穴は欲望を隠すことなく口を開閉させて誘惑し、それに応えるように触手の形をしたダークネス・マテリアルたちが膣口へとその身をねじ込んでいく。
「ひ、ぎッ……! うそ、そんな……! あああぁ゛ぁあ゛ぁっ!! お腹くるし……っ、壊れちゃう、からぁあああ!」
 ずぶっ! ずぶっ! と、次々に挿入される触手。矮小な入り口に我先にと突撃する異物は温かな膣に包まれると、愛液で満たされた海を気持ちよさそうに泳ぐが如く身をくねらせる。
 その動きが淫粘膜を犯し、ぞわわっ! と股間から脳へと重い快楽が弾ける。淫穴の隙間からは牝汁があふれ、絶え間なく繰り返される抽送に合わせて粘性の雫が押し出され、ダークネス・マテリアルの表面を淫猥に輝かせると同時に蜜が異空間へと滴り落ちていく。
(こんな……のォ゛ッ♡ っひ、ん゛ぁあぁ゛んッ! 耐えられ、ない……♡♡)
 明らかにペニスより質量の多い暗黒物質によって内臓が満たされていく苦しさに叫ぶも、本当に壊れることはないとは片隅で思う。
 しかし、どこまで肉体が許容するのかテストしている節は感じられた。どんなに強大な力を得ても研究者である彼。特異点の肉体に興味があるかと聞かれれば、間違いなく肯定するだろう。
 下腹部が膨れ、触手が内部で暴れているために表面が不自然に波打つ。見た目は気持ち悪いのに、体の中は異物が様々な角度から肉壁をこすり、淫らな熱で満たしていく。
「ぁあッ……! 触手、いっぱいはいって、あばれてるぅ……ッ♡♡ ……あ゛ッ……♡ う、ッく、ふぅう……っ♡♡ ん、ぅうっ……!!」
 苦しい、気持ち悪いと思ってもなお、やはりこれはルシファーの一部。一度でもその事実を正しく認識すると生まれるのは人外快楽地獄。
 悦楽による涙。だらしなく開けられた口から漏れる卑猥な嬌声や唾液。全身性感帯になってしまったジータに膣と乳房から強烈な快楽が叩き込まれる。
「そこやらああぁっ♡ おっぱい吸っても、んっ♡ なにもでない、のにぃ♡ ちゅうちゅうされるの……はぅぅっ♡ 気持ちいいよぉっっ♡♡」
 発育のいい胸。その飾りは相変わらず吸引されたまま。母乳なんて出ないのに、白濁ミルクを求めるような動きにじんじんと先っぽが疼き、先ほどまで乳房に巻き付いていた触手は全方向から揉むように無数の闇が覆う。
「まさか素材で善がる姿を見ることになるとはな。そんなにいいなら……試してみるか」
 最初は嫌がっていたのに今ではすっかりと自分だけの雌に堕ちている妻の姿を見てルシファーは独りごちると、触手に新たな命令を下す。
 無言の命を受けたダークネス・マテリアルの一部がジータの股間へと向かう。現在進行系で膣を犯され、隙間から滴る蜜はすぐ下にあるもうひとつの穴、アヌスをも濡らしていた。
 未だ使ったことのない場所。前世でもこちらを使うことはなかったが、興味から使用するという考えに至ったのだ。
 触手の太さは変えることが可能。極細にした触手の数本が尻穴の縁を撫でれば、むず痒い感覚にジータは叫ぶ。
「そ、そんなところに挿入いれないでっ♡ おしりっ、おひりは駄目なのっ! 挿入ちゃいけない、ふみゅぅぅぅ!?!?」
 彼女の懇願虚しく、極細の触手の形をとる闇の力は彼女の吐淫をその身に纏うと不浄の穴に先っぽを忍ばせる。
 濡れ花を襲う本数に比べればさすがに手加減してやろうという気持ちがあるのか、本数は控えめ。
 それでも集まる触手のサイズは一般の男性器よりやや小ぶり。閉ざされた扉に押し入るように徐々に力が強まっていくにつれ、ジータは腸を満たしていく物体に苦悶の表情を浮かべるものの、それはすぐに霧散する。
「ふぁ、あぁ゛……ンぁ゛ッ!?  あ゛っ やっ、 そこぉ、まっあぁ゛っ!?♡」
 腸内が刺激され、触手がその身を引けば膣とはまた違う悦楽がジータを支配する。内股に力が入り、ぶるぶると震えながら足の指も丸まり、背徳淫乱感覚に脳が沸騰して背筋がわななく。こんなの初めて。
 この快楽に慣れてしまうのに恐怖し、ジータは身体をくねらせるが逃げられるわけもなく。卑猥なダンスを夫の前で披露する形になっているのを彼女は知らない。
「っは、ふぅ、う゛っ♡ ゃめ、や゛、ぐり、ってしな、っ〜〜〜〜♡♡」
「…………」
 泣きながら善がるジータを見てルシファーは思案すると、脚を組んで浮かぶ体勢を解いた。
 自らの躰から零れ落ちた力に包まれ、触手快楽に悲鳴を上げるジータを救うかと思いきや、御開帳されている陰部の前に立つとおもむろに手のひらから終末の暗晶を出現させる。
 丸みを帯びたひし形。捻じれた小さな物体。小さな姿とは裏腹に巨大な力を秘めた結晶。
 そんなものを出してなにをするのか。未だルシフェルの肉体を暴走させたままのルシファーから、ジータは目を離すことができないでいた。
「ぇ……? ……ま、まってルシファー、まさか……、ッ゛うう゛っ!?」
 暗晶を持つ指先が近づく先はぐちょぐちょに濡れた女陰。
 触手はルシファーの動きに合わせて次々と内部からその身を抜くと、膣口を広げるように左右に開く。
 身体のナカが丸見え状態。外気と暗晶の放つ存在感を下半身で感じながら息を呑むと──ルシファーの指から暗晶が離れ、吸い込まれるようにしてジータのナカへと消えていく。
「っひ、そ、そんな……ぁ゛う、んぁ゛ぁぁああッ!♡♡」
 痛そうな見た目をしているが、薄い膜が暗晶を包んでいるような感覚で、想像していた痛みはなかった。
 それよりかも。近くにいるだけで気を奪われそうなほどの力を秘めている素材だというのに、まさか胎内に挿入られるなんて!
「はっはっ、これ……っ♡ 本当に、だめ、やだ怖いの、にぃ……! はいって、るぅ゛……ッ♡ ……お゛ッ……♡♡ う、ッく、ふぅ゛う……♡ ん゛、ぅうっ……!!」
 一個入ればまた一個。ルシファーはパーツの喪失した顔でジータを見つめながら暗晶を挿入していく。
 アブノーマルな行為だというのに恐怖と同時に下腹部から広がる圧が少女の脳を支配し、強制的に快楽物質を誘発させ、今では蕩けた顔で身体を顫動せんどうさせていた。
「お前の腹に収まった分、暗晶をやる。お前の大好きな武器に使うとなると大量に必要だろう。精々耐えるんだな」
 言いながらも暗晶を造り出し、挿入する行為は止まることはない。
 ダークネス・マテリアルよりかも上位の素材はジータの身体にすでに十個以上存在し、さらには胸や腸も犯されている状態。心身ともに与えられる肉快楽に首を反らせ、白い喉を晒しながら激しくジータは乱れていく。
「も、もぉやら゛ぁ……♡ お゛ッ、お゛ぉ゛ッ♡♡ も゛、やぇッ、やぇへッ♡♡ ぉぐッ、ごぁれひゃッ♡ こわれ゛ひゃぁ゛ッ♡♡」
 白い胸に映える漆黒。ずっと吸引されているせいか、このままだと出ないはずの母乳すら出そうな錯覚に陥る。
 肉の輪は触手が束ねられ、一本の太めの陰茎の形をとなってズボズボと腸壁を蹂躙しながら挿入と抜去を繰り返す。
 そして淫穴には大量の暗晶。薄っすらと腹部が膨れている辺り、かなりの量が入っていると見て分かる。
 単純な苦しさや暗晶が齎すルシファーの力が手や男性器とは違う、脳へ直接作用する恍惚感によってビクビクと振動しながら痴態を晒し、普段ならば出さない汚い喘ぎが止められない。
「ふっ、ぐっう゛うぅ♡♡ やらぁ゛っ! みないで、っひ、ごめ、ごぇ、なひゃ、もっ、いれ、ないで……っ♡♡」
「挿入るのをやめていいのか? お前が俺に所望したんだろう。ここでギブアップか? フフ……」
 ようやく終末の暗晶を挿入する手を止め、人の姿を捨てたルシファーは鎧に包まれた腕をジータの背中に回し、抱き上げればジータの動きを封じていた触手たちは熟れ花に這う触手と一体化して消えた。
 燃えている身体に触れることで熱を感じるかと刹那身構えたジータではあるが、それは杞憂に終わった。見た目に反して熱くない。
 胸を攻め抜いていた触手は離れ、たわわに実った肉果実が深淵色に揺らめく胸板にむにゅりと潰される。
 背中と臀部にルシファーの腕が添えられ、彼に抱えられる形になると、自然と腕が彼の首へと回る。そうするのが当然のように。
 ルシファーのこの姿を見るときは常に戦闘中。それ以外で見るのはこれが初めて。肉体を暴走させ、一時的に元の姿を喪失している彼の顔はじっくりと見るとなんとなく顔の面影が感じられ、視界に映し続けていると闇に呑まれそうになる。
 あぁ、どんな姿の彼も好きだ。だってこんなにも気持ちが抑えられない。
 身体に触れる鎧の冷たさが火照った肉にはちょうどいいと感じながらも、ジータは顔を寄せる。
(は……ぅ、ん゛……んん゛ぅっ♡ あ゛ぁ、う゛っ♡♡ ん、ぐぅ……ふっ、うぁあ゛っ!♡ くち、なんれぇ゛……ッ♡♡)
 現在の彼には美しい青も、整った鼻筋も、どこか可愛らしい小さな口も、なにもない。
 それだというのに本来の彼の唇があるであろう場所と重ね、口を開いていやらしく舌で舐めるだけで普段のキスとは違う──口の中に快楽そのものが流れ込んでくる。
 どういった原理なのかは不明。そもそもさらに力を引き出すために肉体を暴走させ、原型を捨てているという状態が不可思議なのだ。もう、ありのままを受け入れるしかない。
「あ゛っ!?  お、く……っ ごん、ってぇ……っ♡♡ あ゛ぇっ 、ひ、い゛ぃっ、おなかっ゛、ごりゅごりゅっ、しゅるっう゛ぅぅ゛♡」
 涎を垂らす雌穴がちょうどルシファーの陰部辺りに重なっており、どう見てもなにもないはずなのにナカに向かって“なにか”が入り込む。
 より苦しさを増す胎内。ただ触れているだけでルシファーが腰を動かしているわけでもないのに、なにかは別の意思を持っているかのように内部を撹拌し、腹が膨れるまで詰まった暗晶がびっしりと連なった襞や、陰核の裏側を刺激してくる。
 後ろの穴も最初の控えめが嘘のように激しい肛虐が繰り広げられており、極太触手が腸を蹂躙していた。
 特に一気に奥まで押し込まれると脳天を突き抜けるかと思うほどの刺激が脳を直撃し、愛液は大洪水。
 襲い来るとてつもない快感電撃にジータはルシファーにしがみつく。
 足もクロスして彼の下半身を抱き、より密着すると性愛器官がまるで媚薬を塗られたかのようにジンジンと激しく疼いてジータを苛む。
「フ……。空を終末から救った勇敢な団長も今はただの女……いいや、雌か」
「あ゛っ!?♡ や゛らッ、そこや゛あ゛ぁ♡♡ あ゛かぢゃんのへや、なにかはぃ゛って♡♡ ん゛ん、ん゛ぁあ゛あッ!♡♡」
 深い闇そのものの顔に至近距離で観察されながら、ジータはひとりでアクメ地獄に乱れ狂う。優しくて快活な少女が嘘のような甘く崩れたアヘ顔を晒し、泣きながら自分の身に起こっていることを叫ぶ。
 産道は暗晶が激しく動いて突き上げる熱快楽を叩き込み、子宮の入り口になにかがキスをするようにめり込む感覚のあと、閉じられたリングを押し開きながら侵入してくる。
 感じるのは脳を直接揺さぶられるような悦のみ。ヒト同士のセックスでは得られぬ人外快感。
 神秘の部屋の侵入者は存在するだけで多大な幸福感を齎し、性器と化したアヌスは触手ペニスに変化したダークネス・マテリアルが絶え間なく犯し尽くす。
(ぉ゛おお゛ぉっ♡ ぜんぶ、ぜんぶ、るしふぁーで、わだ、し……!!♡♡)
 肉体を捨てた彼に見つめられながら、ふたつの穴を彼の躰から生み出された素材で犯されて、満たされて。
「…………ジータ」
「ふ、あぁ……っ? ん、るし、ふぁ、すき、だいすき……♡ ぁ……♡ も、もぉ゛……むり゛ぃ…………♡♡ く、くりゅ♡ ひ、っ♡ ぁ、ら、え、あ゛、あ゛ぁああぁ゛あ゛っ!!!!♡♡♡♡」
 刹那、優しい声で囁かれ、後頭部に手を回されるとゼロ距離になる顔と顔。彼の唇と重なるとたまらなく愛おしいという感情が溢れて止まらない。
 身体の奥底からの激情は心身にも作用し、すでにイキっぱなし状態であったジータに特大の雌絶頂を与え、あられもない声を上げながら激しく身体を痙攣させながら果てた。
 ぷしゃぷしゃと淫裂からは体液が水鉄砲のように噴き出し、卵を産む要領で暗晶が数個体外に顔を出してそのまま落ちる。
「……気を失ったか。一般的な空の民のヒューマンならば早々に気絶しているであろうのをここまで耐えるとは。空の命運を担う特異点ゆえか、俺と生命のリンクで繋がっている影響か。今後も精察する必要があるな。……………………覗き見とは中々いい趣味をしている。──預言者」
 気を失い、ぐったりとしているジータの汗と涙で濡れた頬を親指でひと撫ですると、場の空気が一変する。
 ルシファーは即座に黒の十二枚羽を展開するとジータの姿を隠すように覆い、地獄の底から出したような声で背後、離れた場所に現れた存在に殺気を向けた。
「そろそろ彼女を解放してはくれませんか。ルシファー」
 ルシファーが創り出した空間に干渉してきた人物は団の中では“ルシオ”で通っている人物。本名はヘレル・ベン・サハル。ルシファーの元となった存在。
 普段はルシフェルとそっくりの姿形をしているが、今は清らかな白いローブを身に纏った神々しい男の姿だ。
 ジータを迎えに来たのは明白。だがこの男に渡すのだけは唾棄すべきことだと、ルシファーはさらに殺気を高める。
 ジータの存在がなければ今にも戦闘が始まっている頃だ。
「貴方と彼女の絆は私が口を挟む余地がないほどに深く、強い。ですがあまり彼女に無理をさせぬよう……。皆が心配を、」
「お前には関係ない。俺がお前の写身だろうが、この女はお前のモノではない。…………時間切れだ。心配したお仲間とやらに伝えておけ。ジータは時間制限最後まで奮闘していたとでもな」
 吐き捨てるように呟くと、ルシファーの身体から闇が広がり、空間も闇一色に変わり、全てが黒で塗り潰された。

   ***

「ぅ……ううん……」
 真っ暗な場所から引き上げられるように意識が表層へと現れる。重たい瞼に力を入れて持ち上げれば、見えるのは自室の天井。
 あれ? 寝ていた……?
「ようやく目覚めたか。だが常人に比べると回復が早い、か」
「んぅ……? ルシファー?」
 心地よい低音が聞こえた方を向けば、ベッドの傍らには椅子に腰掛けたルシファーの姿が。現在の彼は星の民時代の衣装を身に纏っており、露出は最低限のものとなっている。
 それよりも、だ。なぜルシファーが部屋に? 普段は自室という名の研究室にこもっているというのに。
「んー……なんか記憶が……」
「お前は素材集めのために俺と戦って敗北した。今はそれから数時間経過している。……体調に変化はあるか」
「……ぁ、ああああ……!」
 そうだ! そうだった! あと一歩のところで負けて、敢闘報酬として終末の暗晶をひとつ手に入れて、それで……!
 ジータは肉体を捨てたルシファーに口ではとても言えないことをされ、自分でも信じられないくらいに気持ちがよくて、恥ずかしい声をいっぱい出して。
 あまりの羞恥心に慌てて頭まで掛け布団を掛けると、外からルシファーが「その様子なら問題なさそうだな」と短く告げるのが聞こえ、そのまま気配が消えた。
 そぉっと目元だけ布団から覗かせると、すでに彼の姿はなく。おそらく魔法を使って移動したのだろうと推測する。
(もしかして心配してくれたのかな……)
 上半身を起こし、腹部に触れる。意識すれば違和感が残っており、あの現実とは思えない体験は実際に起きたことだという証拠。
 無理をさせた、という認識が彼の中にあったのならばそれは素直に嬉しい。ほっこりと顔を綻ばせると、いくらなんでも酷いことを言ってしまったと反省する。
 半分冗談ではあったが彼を素材扱いして怒らせてしまった。彼の怒りはごもっとも。あとで手作りお菓子を持っていって謝ろう。
 脳内で予定を組み立てていき、ジータはその場で伸びをひとつ。今日は依頼を受けた島に向かう途中であるために特に予定がないのが幸いした。
 こうして寝て過ごしても問題ないし、たまにはゆっくりと過ごすのもいい。
 窓から見える空はいつもと変わらぬ平穏に包まれており、ジータはベッドを下りた。
 ────今後しばらくは数に困らないであろうくらいにダークネス・マテリアルや、終末の暗晶が爆増していることにジータが気づくのは、数時間後のこと。