我が人生最高で最悪の日

 つまんねぇ。毎日が同じことの繰り返し。悪事を働き、得た金で酒を浴び、女を買う。ただぼんやりと生きているだけの俺。
 なにか、なにか刺激が欲しい。
 ──大きな街には光と闇がある。そしてここは闇の部分。光の世界に生きている真っ当な住民は近寄らない場所。
 周りを見れば俺と同じ悪人面のやつがゴロゴロいるし、扇情的な格好をした女たちが買われるのを待つように立ち、男を誘う目をしている。見慣れた光景だ。
「わぶっ!?」
「あ゛?」
 突如胸辺り感じる違和感。反射的にドスの利いた声を出せば、俺にぶつかってきたのは銀髪の女……というよりは十代のガキだった。
 全身黒で纏めていて、キャミソールの上にはオーバーサイズな上着を緩く羽織ってる。ミニスカートから伸びる白い脚は片方だけ網タイツという目を引く服装だ。風に吹かれて揺れる紫のファーを纏い、挑発的な格好をしているがオレと同じ闇の住民なのか?
 俺が怖いのか、ガキは赤い色をした目に涙の膜を張っている。今にも零れてきそうだ。
(あれ……?)
 いま一瞬だけ、目が光ったような……?
「おいガキ! いてぇじゃねぇか!」
「ご、ごめんなさい! 許してください!」
 ガキの腕を掴んで捻り上げる。
 どうしてなのか分からない。無性にイライラして、このガキを征服したい欲に駆られる。俺、ガキの趣味はなかったはずなのに……。
「やめろ!」
「なんだテメェは?」
 低い男の声。ガキから顔をそちらに向ければガキと同じような黒い服を着た男が駆けてきた。見た目二十代か。しかも男なのに妙な色気を放ってやがる。服装だって上はシャツ一枚で筋肉質な体を惜しげもなく晒してる。
 下もパツパツだし、俺、この男なら抱けそう──。
「娘になにをするんだ!」
「娘?」
「パ、パパぁ……!」
 親の登場に安心したのかガキは涙をほろりと流す。
 にしても、この男なん歳だ? ガキの年齢を考えると若すぎないか? まあいいか。そんなこと。
 俺は刺激を求めていたんだ。普通だったら得られない刺激。
 親子、親子なァ。考えるだけでぞくぞくと背中に電流が走る。
 そうだ。俺はこの親子を××××させるべきなんだ!
「なぁパパさんよ。あんたの娘が俺にぶつかってきてすげーいてぇんだ。責任とってくれるよな? 保護者なんだから」
「金か」
「金なんて要らねぇよ。……とりあえず、場所を移そうか」
「ッ……!」
「ぱ、パパ……!」
 懐から銃を取り出して男に向ける。男は綺麗な顔を歪ませ、ガキを見る。そうだよな。親なんだから娘が心配になるよな。
「大人しく俺の言うことを聞けば命は取らねえよ」
 後ろを向けと告げ、腰に銃口をピタリと当てる。他の奴らも見ちゃあいるが助けようなんて誰も思わない。逆に下卑た笑みでこの後の展開を妄想してる。
 闇の部分に迷い込んだほうが悪いのさ。ここはそういう場所だ。
「歩け」
 銃でつつけば男はゆっくりと歩き出す。俺もそれに合わせて脚を動かす。逃げられないように娘の腕をしっかりと掴みながら。
 娘のほうは絶望しているのか顔を伏せ、俺に引きずられるように歩いている。
 向かうはいつも使っている連れ込み宿。安い、粗末なベッドしかないような部屋から料金は高いが豪華な部屋まで揃っててなかなか使える。まあいつも女を買ってヤるときは一番安い部屋なんだけどな!
「おや、アンタかい。……珍しい組み合わせだねぇ。いつもの部屋?」
「いいや……今日はすごく気分がいいんだ。一番高い部屋で頼む」
「へぇ、珍しい。……ま、面倒ごとだけは起こすんじゃないよ」
「分かってるよ。──そうだ。弟に部屋に来るように伝言を頼めないか? その分上乗せするから」
「お得意様のアンタだ。いいよ。頼まれてやるさ」
 いつも行く連れ込み宿は街の奥まったところにある。建物は若干古いが中は綺麗なんだ。
 フロントにはこの店の女主人がいて気だるそうに煙草をふかしながら俺たちを見るが、特に詮索はしてこない。ここはそういう宿だ。助ける義理もクソもねぇ。
 弟への伝言を頼み、有り金をほぼ全部払って鍵を受けとる。でも不思議だな。流石に最安の部屋はベッドの大きさ的に無理だが、一番高い部屋を選ぶなんて……。それ以下のランクの部屋でも十分なはずなのに。
 アレか。今からすることに対して、今まで感じたことのない高揚感に酔ってるのか。
 まあいい。階段を上り、目的の部屋へと向かう。男の足取りが重くなるのはこれからナニが起こるか分かっているからだろう。でもその一般的な想像とは違うんだなこれが。あぁ……すごく興奮してきた。早く部屋に入って刺激に溺れたい。
 えらく長い時間に感じたが、やっと部屋に着いた。鍵を開けて中に入れば普段の生活じゃ絶対に見れない光景が広がっていた。
 赤い絨毯が敷き詰められ、扉の正面にどん! と置かれているキングサイズのベッド。シーツも上等なのか見ただけで違いが分かる。ま、この広さなら十分だろ。
 ベッドの近くには脚が長い丸テーブルが二つの椅子に挟まれるように置かれ、他にも大きなソファーやローテーブルなど豪華な調度品が置いてある。どこかの貴族の家かよ。高いのも頷ける。
 ちらり、と娘のほうを見る。泣き叫びたいのを我慢しているのか口を真一文字に結び、固い表情をしている。涙はもう止まっていた。
「さて、と。じゃあ始めるか」
「やめろ! オレはどうなってもいい! 娘には手を出すな!」
「ん? あぁ、俺は手を出さない。娘を抱くのはアンタだよ。パパさん」
「──は、」
 娘の純潔を守ろうと己の身を差し出す男は本当にいい親だ。愛されてるなぁ、娘ちゃん。
 でも駄目なんだ。俺が抱いたらテンプレ過ぎてつまらないだろう? 俺は刺激が欲しいんだ。考えてみろよ。近親相姦なんてそうそう見れないぜ? 父と娘が脅されて、互いを生かすためにまぐわう。──最高に興奮する!
「なにを、言って……」
「だ〜か〜らぁ〜! 死にたくなければ俺の目の前で近親相姦しろって言ってんだよ!」
「っ……!」
「ヤりかた知らねぇわけじゃねえだろ? 娘ちゃんを作るためにヤッたのと同じことをするだけさ」
 お綺麗な顔は苦悶に歪み、紅い目は究極の選択に揺れている。イイ顔するじゃねえかパパさんよ。
 けどこのままじゃ埒が明かない。男のほうは諦めて娘に揺さぶりをかけることにした。
「なぁ娘ちゃん。俺みたいな汚いオッサンに抱かれるより綺麗で格好いいパパに抱かれるほうがイイよな?」
 掴んでいた腕を解放し、顔をのぞき込む。ガキとはいえ流石にどういう意味かは分かるのか、娘は一瞬だけ迷い、力強い目で頷いた。物分りがよくていい。
「そう、それでいい。なに、終わったらちゃぁんと解放してやるさ」
 娘から離れ、椅子をベッドのそばに置いてドカッ! と座る。最高の特等席。じっくりショーを見ないとな。
 娘に向けた銃を振ってベッドに行けと合図すると、男も諦めたのか目を閉じ、娘を深く抱きしめた。娘からも抱きしめ返される。綺麗な綺麗な親子愛。それを蹂躙するのはたまらない。
「すまない、すまないっ……!」
「いいよ、パパ。私、パパのこと世界で一番大好きだから」
 その顔にはまだ迷いがあるが、男は娘をベッドに優しく寝かせ、覆い被さった。互いの息遣いが感じられるほどの至近距離。先に動いたのは娘のほうだった。
「パパぁ……」
 甘い声を上げながら男の首に腕を回し、引き寄せる。唇を合わせ、男の唾液を奪うかのように深く、深く繋がる。時折見える赤い舌同士の触れ合いがとても背徳的だ。
 ちゅっ、ちゅ、ちゅるっ。
 濃厚な体液の交換。にしても積極的な娘だな。未だに躊躇っている男と違って蕩け顔だし、案外パパとこういう関係になるのを望んでいたのかもしれない。分かるよ、その気持ち。正直人間離れした美しさだもんな。君のパパ。
 顔も、声も、肉体も、全てレベルが違う。いいや、人間と比べるのもおこがましい。完成された美。実子といえど狂うのは当たり前だ。
 第三者の手によって行為を強制される。悪いのは強制したほうだし、命を脅かされた状態なら“仕方がなかった”で済まされる。
 娘にとってはまたとない好機……。だからすぐに俺の提案を受け入れたんだろう。そう、きっとそうだ。この子は父親を愛している!
「パパ……触って……」
 自分で上着から腕を抜き、続いて胸を隠す服の紐を肩から落として腹辺りまで下ろすと誘うように可愛い膨らみを男の厚い胸板に押し付けた。
「オレは……」
「パパ。これはしょうがないコトなの。私たちが生きて帰るためにはこうするしかないの。誰もパパを責めたりしないよ。私も……」
「──分かった。なるべく痛くならないようにするが……痛かったらすぐに言うんだ」
「うん……」
 娘の瞳には目の前のパパしか映ってないようだった。それでいい。俺はただの傍観者。二人で情を交してくれ。
 決意した男は一旦起き上がり、服を脱ぐと娘とお揃いのファーと一緒に横に放った。ふわりと舞い、大きなベッドがそれを受け止める。
 上半身裸になった男の体に俺は目を奪われた。膨らんだ胸、はっきり分かるくらいに割れた腹筋。一般的な男より筋肉があるが、その肉には一切の無駄がない。
 肌の色も日焼けなどとは無縁な白い肌。見ているだけで魅了されそうだ。横から見る俺でさえこうなんだ。正面から見る娘の顔は……。
 あぁ、やっぱりそうだ。思ったとおりの顔。
 熱く滾る血潮のような目は細められ、眼前の肉体へと釘付けになる。呼吸は浅くなり、顔は紅潮する。
 “パパ”と呼び、早く触れてほしいかのように体をくねらせれば男は小ぶりながらも形のいい二つの膨らみの一つに片手を置いた。
 大きな手の指の間から見える頂は硬く尖り、天を仰いでいる。娘に男として見られ、欲情されている気分はどうなんだろうなぁ。
「あんッ……」
 男の手にすっぽりと包まれた胸。柔く揉まれれば歓喜に体が微弱に震え、鼻にかかった声が部屋に広まっていく。痛いほどに腫れた真っ赤な先端をくりくり弄られれば、たまらないのか娘の喘ぎ声が大きくなる。
「ん、ぁ……おっぱい気持ちいいよぉ……!」
 大好きなパパに触れられて嬉し涙が娘の目尻から流れ、頬を伝って真っ白なシーツに幾つもの染みを作った。男も屈み込み、娘の首筋に顔を近づけると唾液でぬめった舌を這わせた。肉厚な部分で舐め上げ、先端部分を肌に付けたままツツ──、と下へと移動する。
 パパに愛されるのを健気に待ってるもう片方の赤い蕾を舌先でチロチロと細かく刺激し押しつぶす。くぐもった声が娘から漏れ、もっとシて欲しいとねだるように男の頭部を抱き、甘えた。
 大事な娘を自分の手で一人のオンナに変える。普通に生きていたら絶対にあり得ないイベントさぁ。その役目は自分以外の誰かなんだから。
 快楽を素直に受け取る娘の顔をちらりと見た男は目を伏せた。男なのにまつ毛はそこら辺の女より豊かで、こんな美丈夫を産んだ親の顔が気になるところだ。
 舌で可愛がっていた蕾を口内に閉じ込めると、口周りの筋肉が激しく動き、娘の濡れ声が大きくなった。それに合わせてしなやかな脚も揺れる。本当は擦り合わせたいんだろうが男の体が股の間にあるからできないでいる。
「んはぅっ! パパがぁ、パパが私のおっぱい吸ってるよぉ……♡」
「大好きなパパに愛されてよかったな! 娘ちゃん! ハハッ! 俺キューピッドじゃん!」
 絶対に交わることのない二人を俺という名のキューピッドが結んでやったと思うと気分がいい。ま、パパのほうは最悪だろうけどな。今すぐ死にたいくらいに。けどそれはできない。我が子を大切に思うからこそ、生かすために奉仕を続けなければならない。
 最後に楔を受け入れる娘のため、体の隅々を男は丹念に舐めていく。上から下へとそれはそれは丁寧に。
「ふぁぁぁっ♡ あッ、ん、やぁっ……♡」
 じっくりと焦らした果てに男は娘の股を隠すものを脱がせ、割れ目に顔を近づけて唇で触れた。娘のソコは男に触れられた影響で大量の愛液を分泌させ、なにもしなくても父親を受け入れられるだろう。それほどに濡れていた。
 無意識なのか曲げた膝の内側に力を込め、男の顔を挟み込む。男も娘の太ももを抱え、舌で幼い性器をなぶる。敏感なクリトリスを弄るのも忘れない。
 娘ちゃん、本当に嬉しいんだろうなぁ。目はトロトロだし、閉じることを忘れた口からは唾液が垂れている。
 ピチャクチャと粘っこい音を鳴らしながら時折強く吸引すると娘の下半身が反応するように揺らぐ。
「おい、そろそろ指挿れてほぐしてやれよ。娘ちゃん待ってるぜ?」
 揶揄すれば血の色をした目に睨まれたが、男は股から少し顔を離し中指をゆっくりと沈めた。男の指だというのに容易く飲み込まれ、美味しそうにキュウキュウ咥えている。
「痛くないか?」
「だ、大丈夫、だよっ。だからもっとゆびっ、増やして、パパ。……ァあ♡」
 娘の希望どおりに追加される人差し指は難なく飲み込まれ、探るように手が動くとそれに合わせて娘も啼いた。
「あぅ、あ……っ、そこっ、気持ちいいよぉパパぁ♡」
「ここか?」
「きひっ!? ア、だめっ! ふぁ♡ ああッ♡」
 娘の声が変わったところをピンポイントに責め始めると腰が浮き始めてきた。体全体もほんのり赤くなり始め、呼吸も荒くなる。きっとすぐにでもイくだろう。想像に難しくない。
 うわ言のようにパパと呼び、片手が男へと伸ばされる。その手を男も握り返し、娘を絶頂に追いやろうと内部を犯す指の動きを激しくすると割れ目の上部に吸い付いた。
 声にならない悲鳴を上げ、ビクンッ! ビクンッ! と娘の体が痙攣する。幸福に満ちた顔からは大粒の涙が流れ、頬を濡らした。
「色々言いながら勃ってんじゃん。パパさんよぉ。ま、この痴態で勃たないほうが無理か。さあ次は挿入だ」
 起き上がった男の下腹部を見れば痛いほどに勃っていた。布が邪魔だと言わんばかりの怒張。まあ勃起してよかったよ。メインなんだから。父親が娘の純潔を奪う。はぁ……早くその瞬間が見たい。
「早くブチ込んでやれよ。穴が収縮を繰り返してパパのが欲しいって泣いてるぜ?」
 男は娘を見て諦めの表情をするとベルトを外し、革のパンツをくつろげる。するとはち切れんばかりの凶悪な勃起ちんぽが姿を現す。顔に似合わず物騒なモン持ってんじゃねえか! にしても……下着を穿いてないなんてこの男変態かよ。
「オレも結構デカいほうだが……それ以上だ。娘ちゃん壊れちまうかもな〜」
「大丈夫だ。ゆっくりするから……」
「うん……。きて、パパ」
 二人して無視かよ。いいけどよ。
 娘が両手を伸ばし、男はそれを受け入れながら慎重に腰を進める。愛液で潤った穴は意外なほどすんなりと父親を迎え入れる。痛がっている様子もないし、破瓜もしていない。
「なんだよ娘ちゃん処女じゃねえのかよ! パパ以外を経験済みか? それともパパを思ってオモチャで破ったか?」
 囃し立てれば娘の顔に力が入り、唇は一直線に結ばれる。どちらの意味かは知らねぇが当たっているのか? 処女じゃないのはつまらないが、それだけ。父親と娘の交接を間近で見れるんだ。マイナスにさえならない。
「ぁ……ァあ♡ お腹の中っ、パパでいっぱい……♡」
 男にしがみつきながら恍惚とした顔で熱い吐息を漏らす。緩慢な動きで揺さぶられ、突かれる度に短い喘ぎが発せられ、俺の心を満たす。でも駄目だ。もっと獣みたいにガツガツ責めてもらわないと。そのために俺は椅子から立って男の背後に回るようにベッドに上がった。
 なんでだろうな。今まで男を抱こうとなんて思わなかったのに目の前のこの男は抱いてみたいと思う。傍観者に徹するつもりだったがやめた。
「な、なにを……!」
「はぁ……いいケツしてんじゃねぇか」
 俺に後ろを取られ、動揺する男を無視してズボンを一気に下げると肌と同じ色をした尻が現れた。男だからゴツゴツしてるのかと思いきや柔らかな曲線を描き、ふっくらと肉付きがいい。
「っぐ……!」
 腕を振り上げ、思い切りブッ叩けばいい音と共に肉が振動し、白い肌に手の形をした赤が浮かび上がる。嗜虐心が刺激され、思わず舌なめずりをしちまう。
 目的の場所をほぐすために指に唾液をつけ、試しに人差し指を挿れてみた。するとどうだ。男のケツは抵抗なく俺の指を受け入れるじゃないか!
「おいおい、すんなり入っちまう! もしかして日頃からケツを使うコトでもしてるのか? ははっ! 娘ちゃんよぉ、キミのパパは本当に変態だなあ!」
 指を引き抜き、ゲラゲラと下品に笑いながら手のひらに唾を吐くとガチガチに勃起したちんぽを扱いて濡らす。この部屋のどこかにローションがあるとは思うが探すのが面倒だった。
「ォあ゛っ!?」
「お゛っ……ふぅぅ……! やばい、締め付けられるッ……!」
「ぐぅっ、くっ……!」
「前は娘に咥えられ、後ろは俺のちんぽを咥えて……贅沢だなぁ? パパさんよぉ〜。娘ちゃんもアンタの弱い突きじゃ満足できないだろうから俺が手伝ってやるよ」
 男の決して細くはない腰を掴み、思い切り突き上げる。そうすれば衝撃で娘ちゃんももっと気持ち良くなれるはずさ。
「あ゛っ、あ! パパのがぁ……! 奥までごつごつくりゅううッ♡」
「それはよかった! 待ってろよ〜子宮にパパの子種をいーっぱい注いでやるからな! パパの子を孕むんだぞ〜!」
「やめろ、それだけは……!」
「いいじゃんかよ。娘ちゃんはパパの子供を欲しがってるぜ? ハハッ!」
 粘っこい音と肌がぶつかる音、男と少女の心地よいハーモニーを聞いていると自分でも信じられないくらいに興奮する。
 限界まで引き、内部をえぐるように一気に串刺しにすれば男の背がしなる。ナカも俺のザーメンを寄越せと締め付けてくる。コレ、相当使い込まれてるな。
「ハァ……はぁっ、イグぅ! もうイ゛ッちゃうよぉ♡ パパのせーし、いっぱいちょうだい♡」
 娘のほうが限界みたいだな。俺もそろそろイキたいしみんなで仲良くイこうじゃねぇか!
 馬鹿になったみたいに力任せに腰を振れば獣じみた声を上げながら娘は喜び、最後に思い切り穿てば体を痙攣させて絶頂した。男も呻き、ベッドに両手をついて体を支えている。
 正直俺も限界だ。このままナカに出すのもいいが、男の整った顔を欲望で穢すのもまた一興。射精したいのを我慢し、引き抜くと男の横へと移動し、その綺麗な顔に欲望を吐き出した。
 いきなりの顔射に男は反射的に目を閉じ、心底嫌そうに睨みつけてきた。駄目だ。そんな目で見られたらまた勃っちまう。というか勃った。
「パパ……顔に出されちゃったの……?」
 だるそうに起き上がった娘が男の顔を両手で包み込み、舌で俺の出したモノをぺろりと舐めたがすぐに顔をくしゃりと歪めた。唇を引きつらせ、なにかに耐えるように目を強くつむる。
「にっが……」
 顔をそむけ、舌を出して味の感想を吐き出す。けど君のパパの味だって同じさ。ああでも大好きなパパのだったら喜んで飲み下しそうだなこの子は。
 ──さて。近親相姦は達成されたがこのまま解放するのは惜しい。もう少し遊びたい。というわけで再び俺は男の背後に回り込み、脇の下から腕を通して抱え込むようにして座ると男のアナルへと侵入した。
 喘ぎとともに容易く受け入れる尻の穴は奥へと俺を導き、肉襞がうねる。いわゆる背面座位というヤツだ。
「娘ちゃん。パパの上に乗っかって気持ちよくしてやんな」
 せっかく前があいているんだ。使ってやらないとな。俺の言葉を聞いた娘ちゃんはナニをさせようとしているのか理解したようで、涙や汗、唾液で汚れた顔を嬉しそうに歪ませた。
「だ、駄目だ、やめるんだ」
「大丈夫だよパパ……♡ いっぱい気持ちよくなろうね?」
 未だに拒否する男を無視し、娘は男の肩に両手を置くと腰を下ろした。ぬぷりと入ってくるモノに目を閉じながら喜び熱い吐息を漏らす。
「あ……っ、ハ……!」
「ぐっ、うぅ……!」
 よし。これで準備オーケー。下から二人分の体重を突き上げるのは大変だが俺も興奮しているせいか力がみなぎってる。素早くは動けないが、一定の速度で一撃いちげきを男の腸内を破る勢いで打ち付ければ二人ともイイ声で啼いた。
 その声を聞いているとどうしようもなく血がたぎり、馬鹿になったみたいに背後から男を突き上げていると娘も揺れる。高い声と低い声。それぞれが甘く混ざって興奮が治まらない。
 ギュウゥッ……! とケツの穴も締まり、オレのザーメンを搾り取ろうとしてくる。
「ほらイけっ! イっちまえ! アヘ顔晒して無様にイけ! 雌犬ども!」
「あ゛っ♡ ゃ゛はっ、パパぁっ゛! ん、んぅう゛♡」
 男の顔は見えないが、喘ぎかたからして娘と同じような顔をしてるだろ。肝心の娘の目はハートマークが見えるくらい蕩け、真っ赤な顔は涙と唾液を垂れ流して可愛い顔が台無しだ。だがそれがイイ。ギャップってやつだ。
 そろそろ限界なのか娘は男の頭を抱きしめると荒々しく唇を貪った。フーッ! フーッ! と鼻息を乱暴に繰り返し、ひたすらに父親を求めている。どんだけパパのことが好きなんだよ。と、こっちが呆れるくらいだ。
 さあラストスパートだ! と、意気込んだところで熱気を冷ますノック音が聞こえた。
「兄貴〜俺だよ。呼ばれて来たんだけど〜」
 間延びした声は弟のものだった。すっかり忘れていたがいいタイミングで来てくれた。入るように返事をするとすぐに扉が開き、広がる光景に目を見開いて驚きながらも呼ばれた理由を察した弟は、下卑た笑みを浮かべると後ろ手に扉を閉めた。
「楽しそうなことしてんじゃん兄貴! 俺も混ざっていい?」
「そのために呼んだんだ。だが今は待て、もう少しで、ウウッ……!」
 少し気を緩ませたら呆気なく出しちまった。この男、今まで抱いたどの女より具合がいいっ……! 男なのにこんなにも気持ちいいとか反則だろっ!
 男の奥にブチ撒け、数回腰を送った後に引き抜いた。俺という支えを失った男は娘と繋がったままベッドに倒れる。いま奴がどんな顔をしているかは娘が頭部を胸に抱きしめているから分からない。
 声がなかったから気づかなかったが娘も絶頂したのか下半身は電流を流されたようにビクついてるし、父親を咥えて離さない穴の隙間からは白い体液が滲み出ている。
 男のほうもぽっかり空いた穴からトロリと白濁が漏れ、出したばかりだというのにまた男のナカに入りたいと思っちまう。
 股間がむくむくと欲望を体現する。気づけば俺は男を後ろから引き寄せて娘から離し、四つん這いになって尻を差し出す体勢に変えていた。
 ──征服したい。娘に会ったあのとき感じた狂熱をいま、俺はこの男に向けている。
「なぁ兄貴、女の子のほう貰ってもいい?」
「あぁいいぜ」
「あぅ……」
 ベッドに上がってきた弟が俺と同じように娘を組み敷くと親子は向き合う形になる。
 意識を別世界にトばしていた娘も新たな参加者に気づいたのかこっちに戻ってきたようだ。
「うわ……すっげー中出しされてんじゃん。えっろ……」
「やだっ……! そこに挿れないで……! そこはダメなの!」
 弟の手が娘の股間に触れると、これからされることを予知した娘は首だけ振り返り、細い声で懇願した。そうだ。この子はパパとの赤ちゃんが欲しいんだ。そこに余計な雄は要らない。胎に注がれるのは愛する父親のものだけ。
 どこまでも父親を求める娘の偏り具合に俺の胸は熱くなる。見た目もどこか危うい雰囲気だが、中身はとんでもないほどに歪んだ愛を抱えている。最高じゃないか!
「前は駄目だ。後ろにしろ」
「え〜! 俺アナル初めてなんだけど……」
「俺の言うことが聞けないのか?」
「分かったよ……」
 凄めば、弟は諦めたのか白濁が混じった娘の愛液を自分のに塗りたくり、数回しごくと濡れた手で娘のアナルに指を突っ込んだ。ぬぷりと人差し指が容易く飲み込まれる。もしかして後ろもナニかやってたのか?
「んっ、ん……!」
 シーツに顔を押し付ける娘からくぐもった声が聞こえる。弟の指の動きに合わせて啼いているのを見ると弟が音楽家にでもなったような錯覚に陥った。
 俺も同じになりたくて男のアナルに指を突っ込めば甘い毒のような声が響く。もっと聞きたくて指を追加し、掻き回せば娘の声と合さって規模は小さいながらも官能的な音楽祭が開かれる。
「兄貴……なんだか俺、頭がくらくらしてきた……。早くイれたい……」
「俺もだ。じゃあいち、にの、さん、で挿れるぞ」
「ああ」
 いち。腰を掴み、引き寄せる。
 にの。狙いを定めるように穴に先端を添える。
 そして──さん!
「ひぎィっ♡」
「んお゛ッ♡」
 同時に杭をブチ込めば両名とも体を引きつらせ、獣のような喘ぎ声を吐き出した。ガチガチに硬くなったちんぽを引き抜いては奥を突き破るように一気に挿入する。テクなんてねぇが腰が止まらない。
 それは弟も同じようだった。娘の細い腰を思い切り掴み、ゴツンゴツンと抽送を繰り返している。激しく揺さぶられ、娘の声が上ずっていた。
「お゛っ♡ あ゛、パ……パ♡」
「ぅ゛ぐ……んむ♡ んぶっ、」
 下半身から突き抜ける快楽に悶えながら娘は顔を上げ、眼前の男に向かって顔を近づけた。重なる唇同士。互いの口内に興奮の声を吐き出し、視覚的に俺を昂ぶらせる。
「ぁハ♡ パパぁ゛っ、気持ちよさそうな顔っ、シてる♡ ぶっとぉいおちんちん、ハメられてぇ♡」
「ン、想像、っひ♡ 以上のヨさだ♡ んッ、ヒューマンにっ、してはッ♡」
 娘と男が話している内容が聞こえてくるがそれを理解することができなかった。頭の中は馬鹿になっちまったかのように男のケツを掘ることしか考えられない。
 全身の血が一箇所に集まって意識が焼き切れそうになるのを必死で繋ぎ止めながら腰を振り続ける。脳が命令するんだ。この男を気持ちよくしろって。
「いギッ、ッあ゛♡ クる……くりゅうッ♡ 漏れひゃう──ひっ♡ ひぃっ、ひぃ゛いいッ♡」
「ベッドの上で粗相するなんてっ、ッふ、イケナイ子だ♡」
「アっ♡ や、止まんないよぉ……パパぁ、ごめんなさいぃぃ♡」
 ぷしゃぁぁ、と股の間から黄金水が溢れてベッドを汚す。排泄行為も快楽に変換されるのか娘は蕩けきった目で涎を垂らしながら男に言葉だけの謝罪をするが男のほうも別に娘の粗相をたしなめている、というわけじゃなさそうだった。ただ単に揶揄しただけ。
 竿奴隷になってしまったようにひたすらに体を動かしながら、同じように娘を犯している弟を見る。血走った目をして呼吸を荒げ、どこからどう見ても極度の興奮状態。意識をどうにか繋いでいる俺と違ってもう焼き切れてしまったんじゃないかって思うくらいだ。
「あゥ゛っ、も、あ゛っ♡ イグ、イキそうなのぉっ! パパ、いっしょ、一緒にイこう……?」
「ふ、フフ、もうイッちまうのか? まあいい、オレもそろそろ、ンっ♡ ほら、おいで」
「パパぁ♡ パパとのキスしゅきぃ♡」
 男が娘の顎を片手で掴むと噛み付くように唇を塞ぎ、深く繋がる。あんなに拒否していたのにこの変わりようはなんだ? 自分から娘を愛している。
 この異様な雰囲気に飲まれちまったのか? いいや、それも違う気がする。でもこれ以上は思考できない。娘に言ったとおり男もイクのか、肉筒がうねって考える力を奪っていくのだから。
 部屋に四人分の喘ぎ声が響き、俺と弟が射精に唸ると娘は盛大に潮を吹き、男はベッドをドロドロの液体で汚した。ようやく俺も冷静になり、ケツを突き出したままの体勢でベッドに顔をうずめて下半身を震わせている男の中からちんぽを引き抜く。
 開ききった穴から俺のザーメンが流れ落ちてそれが情欲をそそるが、もう出し切ったせいか勃起はしなかった。とにかく疲れた。こんなに激しいセックス初めてだ。
「おい、大丈夫か?」
 弟に声をかける。萎えたものは異物として外に締め出されているが、未だに娘の背後に膝立ちになって放心している。何回か声をかけるとようやく意識を現実に戻したようではっ、として辺りを見渡し、状況を把握した。
 俺と違って弟は行為にそこまで慣れていないからな。きっと娘の具合の良さにああなってしまったんだろう。
「そろそろ帰るぞ。今日は最高の日だった。ああ、間違いなく今までの人生で一番な」
「う、うん……」
 服を整え、ベッドから下りる。この二人は放っておいてもいいだろう。部屋代はすでに払っているから目覚めたらここから出るだけだ。
 弟も俺に続いてきて、さあ扉を開けるぞとドアノブに手を掛けたとき、背後からベッドのスプリングが鳴いた。誘われるがままに振り向けば娘のほうが起き上がり、男の太ももに馬乗りになっていた。どんな表情をしているかは背中を向けているせいで見えないが、片手が独特の動きをしていることからナニをしているかは分かる。
「まだまだ足りないよパパ……もっと一緒にキモチよくなろうね」
 腰を上げたことで手に握っているモノが半勃ち状態なのが見えた。手で固定しながら白く濡れた膣へと挿入し、抜けないようにしながら腰を動かす。
「ん……、ぁ♡ さすがパパ。すぐ元気になったね♡」
 嬉しそうに声を出し、今度は激しく腰を動かす。上下運動だけでなく、深く食い込ませたのちにグラインドさせたりして己の自慰に父親を使っている。肝心の父親は低くて甘い声で喘ぐが、さっきのような獣じみた喘ぎではない。
「んっ、ぁ……パパのっ♡ またおっきくなったね♡ やっぱりパパとの姦淫じゃないと楽しくないや♡」
「──おい、お前……」
 焦点が娘へ絞られていた視界の端で弟が動いた。娘を求めるかのように片手を前へ出し、ふらつきながら歩く。俺が声をかけても聞こえていないのか反応はない。
 ベッドに上ると娘の残りの穴──尻に向かって手を伸ばすが、その手が目的の場所に触れることはなかった。
「ちょっと……今パパと楽しんでるんだけど? ギャラリーは大人しく一人遊びでもシててくれる?」
 男の腹の上で狂ったように腰を動かし、喘いでいた娘がピタリと動きをやめ、弟の手首を掴んだ。なんだ、この威圧感。ただのガキのはずなのに、なんで俺はこんなにも恐怖している……?
「おいお前! 自分の立場が分かってんのか!? 殺すぞ!」
 ブチ切れた弟が銃を出し、娘に向けるが眉一つ動かさない。もっと言えばあんなに娘を守ろうとしていた父親もなにも言わない。その顔は娘が騎乗位しているせいで分からないが、なんとなく──なんとなく、笑っているような気がした。
 娘は冷めきった目で弟を見つめ大げさにため息をつく。
「そんなに気持ちよくなりたいのなら、イキっぱなしにシてあげる」
 口元に手を当てながら言う言葉は下品だが、それを発する表情はどこか気品が感じられる。と思った瞬間、娘の目が強く発光した。
「っ!? う、う゛ぁぁぁ゛ぁ゛っ!」
 至近距離で赤い光を受けた弟はベッドから転がり落ち、床に仰向けに倒れた。体が激しく痙攣し、口からは泡を吹いている。血管が浮き上がるほどガチガチに勃ったモノからは射精が止まらず、弟の腹を汚す。やがて吐き出すものがなくなり、透明な体液を撒き散らし始めた。
 やめろ! このままじゃ死んじまう! そう声に出したいのに出せない。光を見てしまった影響なのか体に力が入らず、壁に寄りかかるように崩れた。指一本も動かせない。できることはただこの場の音を聞くだけ。
「ん、はぁっ……♡」
 男のモノを咥えたままの娘が少し震えると、甘ったるい声とともに腰を上げた。ずるり、と萎えたモノが抜かれ、何度も中出しされた精液が小さな穴からごぽごぽと溢れた。
 男の体から下りた娘は横に寝転ぶと甘えるように男の胸に顔を寄せた。男も腕を娘の肩に回して抱き寄せる。そうするのが当然だ、とでもいうように。あんなに最初、娘とのセックスを拒否していた姿はどこにもない。
「はぁ……ジータ。キミは興奮し過ぎだ」
「だって乱れるベリアルが可愛くて可愛くて……ついつい♡ 今度は私があなたを貫くのもイイなぁ〜」
「淫乱どころの話じゃないなキミ。まあそういうふうに教育したのはオレなんだけどさ」
(ジータ……?)
 どこかで聞いたことのある名前だ。確か……有名な騎空団の団長をしていて、数ヶ月前から行方不明。尋ね人として貼り出されていた紙を見たことがある……!
 今まですっかりと忘れていたが顔もそっくりだ。だが……本当にこの子がその団長なのか?
「で、どうだった? ハジメテの乱交の感想は」
「ん〜期待外れかな。前にあなたが楽しそうにシてたから興味を持って魅了と暗示魔法の練習ついでにやってみたけど……。やっぱりベリアルじゃないと色々満足できない」
「くはははっ、それは光栄だ」
「あぁでも、シチュエーション的には満足したよ。悪党に脅されてセックスするパパと娘……。背徳感がすごいし、見られながらするのも結構楽しかったし」
「フフ……。いい演技だったよ、ジータ」
「ベリアルこそ。私、笑いをこらえるの大変だったんだから。顔に力を入れて、唇を真一文字に結んで」
 娘の言葉で俺はハッ、とした。該当する表情を二回見たが、それはどれも笑いそうなのを堪えていただけだったのか。すっかり騙された。
「ね、帰って一緒にお風呂入ろう? ベリアルの顔、精液で酷いことになってるよ。本当は舐め取ろうとしたんだけど苦すぎて無理だったし。あなたのは甘いからてっきりみんなそうだと思ったら……」
 おもむろに起き上がり、娘はベッドの上に散らばった衣服を身に着け始めた。その間、俺たち兄弟に視線すらくれなかった。遊び終わったオモチャには興味がないように。最後はパチン、と指を鳴らすとなにもない空間が裂け、真っ黒な口が開いた。
「ベリアル? 帰らないの?」
「先に帰っててくれ。まだヤることがある」
「はーい♡ お風呂の準備してるから早く帰ってきてね♡」
 言葉を交わすと娘はベリアルという男を置いて闇の中に消えていった。
 自然と俺の視線はベッドの男へと移る。するといつ服を着たのか、上下ともに黒の布に包まれた男がベッドの下側の端に座り、長い脚を組んで俺を見下ろしていた。顔も顔射前の綺麗な肌に戻っている。
 底冷えするかのような真っ赤な瞳。本能がヤバいと警告する。だが娘の術を受けた俺はこの場から一歩も動けない。視界の隅にいた弟は事切れたのかもう動かなかった。
「キミには感謝している。あの子のお遊びに付き合ってくれたからね。ただ──本当に申し訳ないんだがもう用済みだ」
「ヒィッ……! なんなんだ……なんなんだよお前ッ!」
「理由ならさっきイッただろう? 我が子のお遊びに付き合っただけさ。まったくお転婆で困るよ」
 本当にしょうがない子だとでも言うように男は腕を軽く広げると肩を竦ませ、慈愛に満ちた微笑みをたたえる。この状況に似つかわしくない表情に底知れぬ恐怖を感じ、歯がガチガチと音を鳴らして噛み合わない。
「あ、遊び……!」
「さて。オレもそろそろ帰らせてもらうよ。……キミも十分楽しんだだろう? 子供が散らかしたオモチャは親が片さないとね。では──サヨウナラ」
 両目を閉じ、不気味なほどににっこり笑いながら男が空間に向かって片手を横に振る。その動きが酷くゆっくりに見えながら、さっき弟に言った言葉に心の中で一言付け足した。
 今日は最高の日だった。ああ、間違いなく今までの人生で一番な。そして同時に、最悪な日だ──。

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