幼児化事件、その後

「ん、んぅ……。自分で搾るのも大変だな……」
 時刻は深夜に近い時間。一日の仕事を終えたジータは現在自室の浴室にいた。洗い場に両膝をついている彼女は腫れぼったい乳房を丸出しにし、桃色の乳首から滴る白い体液を見てため息を交えながらまろい脂肪に指を沈ませ、自ら母乳を搾っている。
 妊娠もしていないのになぜジータの胸から母乳が分泌されるのか。その理由は少し前にあったとある事件が関係していた。
 ベリアルと一緒に森を散策しているとき、幼児化能力を持つ星晶獣の攻撃を受けたのだが、ジータを庇ったベリアルがその攻撃を受けて幼児化してしまったのだ。
 幸い効力は早くに切れ、元の姿に戻ったのだが、ベリアルが幼児化している間にジータの乳房からは母乳が出るようになってしまい、それは未だに止まる気配がなかった。
 今までは赤子のベリアルに吸ってもらっていたが、元の姿に戻ってからは吸ってもらっていない。二人は夜ごとに愛を交えていた仲なのでベリアルに処理してもらうという方法もあるが、ここ最近は彼が忙しくてそれもままならない。なので自分でやるしかなかった。
 そもそも、赤子のときの記憶がないベリアルはジータから母乳が出るようになったこと自体知らない。
(はぁ、はぁ……ベリアルっ……)
 ジータが指に力を入れる度、ぴゅう、ぴゅう、と弧を描きながら母乳が噴射され、排水口へと流れていく。きっとベリアルが見たらもったいないと残念がるところだ。
 ベリアルのことを想像しながら搾っているジータだが、困ったことが一つ。それは変な気分になってしまうこと。彼を妄想しながら搾乳していると体が疼き、彼が欲しくて欲しくてたまらなくなってしまう。
 潤いに満ちた膣をその巨大な楔で塞がれたい。ナカを蹂躙されたい。膣内を満たす愛液をかき混ぜられたい。子宮に彼の子種を感じたい。
 ベリアルから性を教えてもらう前は、そういった知識が全くない清らかな乙女であったジータ。だが今の彼女はベリアル限定ではあるが、そんな過去があったのが嘘のように淫乱な雌になっていた。
「っ……駄目っ、駄目なのにぃ……!」
 母乳が出る前とは明らかに大きさの違う胸は母性を感じると同時にいやらしい媚肉と化していた。その肉に両手で触れていたのだが、片方の手がジータの考えとは裏腹に下へと向かい、ピンク色のスカートの中へと消えていく。
 湿った空気が満ちる内部。その原因は明らか。
 頭では“駄目”だと繰り返すのに、手は局部を守る布をずらして潤みの壺へ。赤い粘膜は絶えず蜜を垂れ流し、膣前庭を掬うように中指を動かすと、指にたっぷりと絡みつく淫汁をクリトリスにまぶすように塗りつける。
「ん、あっ……! ベリ、アルぅ……♡」
 今まではオナニーをする必要すらなかったのだが、ここ数日ベリアルに抱かれなかっただけでどうしようもないくらいに体が火照り、羞恥心を抱えながらもジータは一人快楽を貪る始末。
 自慰というものを始めたばかりの彼女はもっぱらクリトリス派。内部は自分するにはあまり気持ちよくなれなかった。これがベリアルの指だったら全然違うのだが。
 射乳しながら、一心不乱に陰核を弄り続ければ早くも頭が真っ白になる。ビリビリとした快楽電流が下半身を駆け巡り、肉芽を摘んだり弾いたりと自らを絶頂へと高めていく。
 茶色の瞳からは涙が溢れ、真っ赤に染まった頬を伝う。まさに獣の如く荒い呼吸をしながらセルフプレジャーに没頭しているジータの控えめな濡れ声が浴室に反響し、それがまた自分の快楽を煽るのだ。
「はっ……んんぅ……! べりあるっ……♡」
 高まっていく性感。ここまでくるともうイクことしか考えられない。いつもはベリアルによって与えられ、焦らすようにタイミングがずらされたりするが、現在の主導権はジータ自身にある。
 ついこの間まで“性”というものを知らなかった存在とは思えないほどに、今のジータはだらしのない顔をしていた。
 舌を突き出し、大粒の涙をこぼしながら快楽のためだけに存在する淫らな器官への刺激を続けていると、ついにそのときがやってきた。
 バツン! となにかが切れるような音が聞こえた気がした瞬間、膣口が収縮し、触れていたクリトリスからも達したことを訴えるように脈動が感じられた。
 ぷるんとした白くて豊かな乳房からは母乳が噴射し、真っ白な液体が肌を伝っている様子は見た者の情動を刺激する。
 昇天したことにより、ジータの精神は多大な解放感を感じていた。何か悩みがあったとしたら、それすらも忘れられそうな……。
「はぁーっ♡ はぁーっ……♡ またシちゃったよぉ……」
 熱に浮かされたふわふわとした思考で呟き、ジータは懺悔するように浴槽のふちに腕を載せてそこに顔をうずめる。
 ベリアルをオカズにオナニー。本人が聞いたら嫌悪するどころか大喜びしそうな事実だが、自分でするほどに快楽に堕ちきっている現状にジータはうなだれる。
 くすぶる熱が徐々に引いていくほど“やってしまった”という後ろめたい気持ちが強くなり、ジータは大きく息を吐き出すと立ち上がった。
 乱れた衣服を元に戻しつつ、脱衣所で全裸になってからシャワーを浴びようと考え、一旦ここから出ようとスライド式の扉に手をかけて開けたときだった。目の前にいる人物にジータは思考停止。
「やあ、コンバンハ」
 白い壁に寄りかかり、手をひらひらとさせながら爽やかな笑顔を浮かべる黒衣の美しい男の姿にジータの脳内は真っ白になり、彼にかける言葉が浮かばなかったが、数秒後には噴火したように顔が紅潮し、アワアワと慌ててしまう。
 それもそうだ。ついさっきまで彼──ベリアルを思いながら一人でしていたのだから。
 いつから彼はここにいたのか。自分の痴態を扉越しに聞いていたのか。せき止められていた水が一気に溢れるように感情が流れ出し、顔を赤くしたり青くしたりと様々な表情をするジータを見てベリアルは一層笑みを深めると彼女に近づき、片手で頬を撫でた。
 大人の大きな手。好きな人の愛情表現に早くもジータはうっとりと夢見心地の瞳になり、コアも心臓のように鼓動を速める。
「一人でシちゃうほどオレが欲しかったんだ?」
「……うん」
「最近は忙しかったからな。悪かったよ。キミを欲求不満にさせてしまって」
 正直に白状するジータは愛玩動物のように愛おしく、ベリアルは自らの胸に抱き寄せる。優しい抱擁はジータの心をチョコレートのように溶かし、それは搾ったばかりの母乳を分泌させた。
 あっ、とジータが気づいたときにはもう遅い。ベリアルは漂い始めた甘い香りに一度ジータの体を離し、確認すれば胸──ちょうど乳首がある部分の布が濡れていた。
「これは……母乳?」
 赤い瞳が丸くなり、視線は“そこ”に釘付けになる。ジータはベリアルを見ていられなくなり、恥ずかしさに両手で顔を覆った。
 いつかはバレる、もしくは自分から教えることになる──とは思っていたが、いきなり過ぎて羞恥心の方が勝ってしまったようだ。
「ベリアルは自分が赤ちゃんの頃の記憶はないんだよね……?」
「ああ。残念なことに。もしかしてオレが赤ん坊になった影響でこれが?」
 ジータは控えめに首を縦に振ると、顔を隠していた手をベリアルによって外された。間近に見える緋色は楽しそうな三日月だ。
 あ、これはよくないことを考えているな。そうジータが思った刹那、それは現実となった。
「ちょうどお腹が空いていたんだ。ご飯をくれるかい? マ〜マ♪」
 明らかな嘘。それでも待ちわびた誘惑にジータが抗うわけがなく。
 ゴクリ、と生唾を飲み込んだ。

   ***

 脱衣所にいた二人は寝室に移動し、ベッドの上に座り込むジータの膝にはベリアルが横たわっており、その顔は服から出された膨らんだ乳房に押し付けられている。
 チュウ、チュパッ、ジュゥッ。
 わざと水っぽい音を立て、母乳を飲んでいるベリアルの頭部はジータの片手に支えられている。赤ちゃんに授乳する姿と同じだが、二人から感じられるのは母と子ではなく、雌と雄。
 赤子のときとは明らかに違う舌の動きにジータは前屈みになり、声を抑えるも、その体は震えている。気持ちよさと愛おしさにどうにかなってしまいそうになりながら、ベリアルの好きにさせていると彼の胸が目に入った。
 ボタンが一つしかないシャツ。今はそのボタンが外され、前が大きく開いている。普段着ている軍服は露出が最低限だが、ベリアル自身はこちらの服の方が好みのようだ。プライベートはもっぱらこの服。
 乱れた衣服から覗く肌はきめ細やかで、触り心地もよさそうだ。そして胸自体も他の男性型天司と比べて明らかに大きい。
 何度も交わってきた仲だが、こうしてじっくり見る機会はなかったように思える。いつもはベリアルによって乱れるばかりで、彼の極上のカラダを見る余裕がないのだ。
 今は余裕たっぷり……ではないものの、それなりに心にゆとりがある。
(ベリアルのおっぱい……大きい……)
 思ったときには、自由な方の手で彼の胸を包んでいた。
「フフ……オレの胸に興味が?」
「ぇ!? あ、いや、その……大きいな、って」
 見上げてくる真紅から逃げるように目を泳がせるジータ。胸から手を離そうとしたが、ベリアルの手が重ねられ、逆に押し付けられる。
 ふにふにと柔らかさを確かめさせるような手つき。他人の胸に触ったことはないが、これは癖になりそうな感触だとジータの息は荒くなる。
「キミが触れられて気持ちいいと思うことを、そのままやってみて」
 誘惑するような囁きにジータは円を描くように揉む。女性と比べると薄いものの、手の中で形を変える膨らみに彼女の気分はより深く、淫らなものへと変化していく。
 手のひらに当たる乳首が徐々に硬くなってきたところで、人差し指でぷっくり乳首をつんつん、と下から突き上げれば、ベリアルから甘い声が漏れた。
 その声を聞いた瞬間、もっと聞きたいと思った。彼の嬌声はたまらなく情を煽る。口の中に唾液が溢れるのを自覚しながら、ジータは「気持ちいいの……?」とベリアルに伺う。
「男も女と同じようにそこは性感帯の一つなんだ。覚えておいて損はないぜ」
「ひゃんっ!? うっ、ンはぁっ……!♡」
「だいぶ溜まってるなあ」
 お返しと言わんばかりにベリアルの手がジータの乳房へと伸び、軽く揉めば何本もの線となって母乳が噴射する。
 自分の手でするときはなにも感じなかったのに、ベリアルの手でされると途端に快楽を拾うものだから、本当に現金な体だとジータは頭の片隅で思う。
 片方では吸われ、残りの片方は手で搾られ、ジータが素直に反応をすればベリアルはいい気分になったのか、口や手の動きをさらに激しくさせた。
「射乳は気持ちいいかい?」
「気持ちいいっ! 気持ちいいよぉ!♡」
 止めどなく襲い来る快楽の波にジータは飲み込まれ、一気に絶頂へと押し上げられて行く。無意識なのか、もっと、もっととねだるようにベリアルを自らの体に押し付け、ジータの体は大きく震える。
「ンっ、んぅぅぅぅ!」
 一気に性感が走り、背を反らせれば指で弄られている方の先端から噴水のように母乳が噴き出し、ベリアルやベッドを濡らす。
 はふはふと舌を垂らしながらだらしのない顔をしつつ、膣を貫かれるのとはまた違う強烈な快感にジータはまさか胸だけで……と、どんどん淫らになっていく己の体を恥ずかしく思うも、今は深くは考えられない。
 夢見心地の蕩けた目をしながら浅い呼吸を繰り返し、多大な法悦に身を委ねていると、胸元にいるベリアルが体を起こした。
 両手で頬を包まれ、重なる唇からは口の中に含んでいた母乳が流し込まれる。自分の母乳を飲んだことはなかったが、想像していたより甘く、正直美味しい。
 それと、心なしか疲れが回復するような……。
「自分のミルクの味はどう?」
「まずくはない……かも」
「フフッ。癖になる味だ。毎日飲みたいくらいだよ」
「毎日吸われたらいつまで経っても母乳が止まらないと思うんだけど……」
 ジータとしては痛みや搾る手間などを考えるともう止めたいところだが、ベリアルは意外そうに目を見開き、わざとらしく残念がる。それがどこか幼さを感じ、ジータの心はきゅっ、と反応してしまうのだ。
「ところで……オレの胸も吸ってみるかい?」
「な、なにを急に……!」
「えぇ〜? だってキミ、オレの胸を弄りながら物欲しそうな目をしてたぜ? 指だけじゃ足りないって」
 ジータは改めてベリアルの胸を見る。張りのある胸は一見すると硬そうだが、力を入れていないときは柔らかい。
 丸みを帯びた膨らみは見つめていると変な気分になってしまう。その中心に存在する薄紅色の乳首は彼の興奮度を示すように主張しており、ジータの口内に唾液が湧き出る。
「ほら、遠慮しないで」
「わわっ!?」
 物思いに耽っていると、視界が揺れた。ベリアルによってあっという間に体位を変えられたジータの体は現在ベリアルの膝の上。横抱きにされている状態は先ほど彼女がベリアルにしていたのと同じ。
 そして目の前には誘惑の種。ふわふわの胸と彼そのものの香りに頭がクラクラとしてしまいそう。
 する側でもそれなりに羞恥心はあったが、される側になるとそれ以上の恥ずかしさを感じるジータ。だが、それらを押し流す勢いで性熱が身を支配する。
 ベリアルはすっかりとその気になっているジータの様子を見て、慈愛に満ちた眼差しを向けると彼女の頭を支えている腕を動かし、口に乳首が当たるようにしてやれば、ジータの目が赤色と重なった。
「ウフフ……。ママのおっぱいをお飲み」
 それ、自分で言っていて恥ずかしくないの……? と、言いたいところだったが、ベリアルの表情や腕の動き、顔に当たる胸や乳頭の感触に全てがどうでもよくなり、ジータはアブノーマルなプレイを享受することに決めた。
 目を閉じ、唇で軽く食んでから口に含む。ちゅう、と吸ってみれば味はせず、分泌されるものもないが、安心感が湧き出てきた。
 乳蕾のコリコリとした感触を味わいながらジータは吸い続ける。ベリアルとは違い、本当にただ吸うだけ。そこにいやらしい舌の動きなどはない。
 ジータは星晶獣であり、人間の子のように赤子の時代はない。それなのに、ないはずの赤子時代を思い出すような懐かしさがあった。
 夢中になって乳輪ごと胸の飾りを吸っているジータに対して、ベリアルが大人しく見ているだけなわけがなく。ジータの頭部を支えている方とは逆の手を下半身へと伸ばし、ぐっしょりと湿っているショーツに手をかける。
 穿いていても意味のない布を太もも辺りまで下げると、中心の熱源へと触れた。軽く指先で撫でるだけでも大量の蜜が絡みつき、十分すぎるほどに濡れているのが分かる。
「ンぁっ♡ だっ、駄目っ♡ 今はだめっっ♡ 敏感、あっ♡ に、なってるからぁ……♡♡」
「さっきイッたばかりなのにもうイケるのかい? さすがは淫婦。清楚ぶってはいるが、本当はセックスが大好きなイヤらしい女の子だもんな?」
 ベリアルの骨張った長い人差し指と中指が膣口に挿し入れられると、ジータはずっと欲しいと思っていた異物感に喘ぐ。だけど本当に欲しいモノは指じゃない。硬くて、太くて、長くて。腹を満たすベリアル自身が欲しい。
 それに貫かれたときのことを想像して、ジータの奥からはどんどん愛蜜が溢れだし、ベリアルの手をびしょ濡れにしていく。
 瞳の奥にハートを秘め、ベリアルから与えられる悦楽の虜になっているジータは少しでも長く快感を得ようと我慢をしながら乳嘴にゅうしに吸い付き、舌で愛撫をしたりすれば、ベリアル自身の頬も熱を帯びて呼吸が乱れてきた。
 ジータのスイッチを把握している指たちの動きに興奮を極め、鼻息荒くしながら男の胸にむしゃぶりついていると、ジータの動きが一瞬止まり、次の瞬間には外に聞こえるのではないかと心配になるほどの嬌声を上げながら、ベリアルの腕の中で体を痙攣させた。
「ひっ! いぃぃッ♡ お潮止まんない、止まんないよぉ♡♡」
 尿道から放水される透明な液体は勢いよく飛び、前兆を感じていたベリアルは引き抜いた手でスカートを捲り上げ、その様子をじっくりと観察していた。
 赤い道へと続く矮小な穴が収縮し、下半身の震えとともにピュッ! ピュッ! と噴き出す体液はベッドを濡らし、やがて勢いをなくして止まった。
「久しぶりで興奮し過ぎてるのかな? いいイキっぷりだったよ」
 ベリアルが言うも、ジータはぽう、っとしたままで反応はない。
 そんな彼女をベッドへと仰向けに寝かせ、服を脱がすと、ベリアルはジータに跨り、見せつけるように腰を突き出す。
 パンパンに腫れ上がった股間部分を撫で、まるでストリップショーのように焦らしながら前を寛げていく。
 観客は自分一人の卑猥な光景にジータは頭が沸騰していくような感覚に陥る。それは顔にも現れ、頬の赤さが増していく。
 視線は徐々に露わになる局部に釘付け。早く挿入してほしいと外気に触れている秘処が疼き、ジータは喉を鳴らした。
「あっ……♡」
 ようやく現れたベリアルの分身は天を仰ぎ、その雄々しさにジータは嬉しそうな声を漏らす。ベリアルもジータの様子からしてどうしてほしいのか分かっているはずなのだが、彼女の想像していることとは違う行動に出た。
 跨ったまま上へと移動し、胸元で止まると、横に流れている膨らみを両手で掬うように寄せる。その柔さを堪能するように揉んだり、母乳の滲む薄紅色の尖りを親指でグリグリとこねたりして遊んでいる彼に「あの……」と控えめな声をかけると、ベリアルの手は止まった。
「あぁ、ゴメンネ。ヤりたいことがあってね。これが終わったらココに挿入いれてあげるよ」
「んんっ♡」
 ベリアルの片手が後ろへと伸び、潤んだソコに軽く触れる。それだけでくちゅり、と粘着質な音が鳴って、ジータはもどかしさに腰を揺らした。
 今の彼女に理性はない。頭はベリアルのことばかり。ジータのどこか批難めいた目線を受け、ベリアルは一層笑みを深めるとジータの乳房を思い切り寄せ、その谷間に腰を突き入れた。
(あっ、熱い……!)
 胸の間にむにゅう、と侵入してきた肉棒。その硬さと熱にジータの意識は谷間から顔を出す亀頭に集中してしまう。
 ジータが動くことでのパイズリは何回かしたことがあるが、ベリアルが動く側のこの行為は初めてかもしれないと茹だった思考で思い、唇をノックしてくる先端を口内に迎え入れた。
 ここ最近はご無沙汰だったため、久しぶりの肉の感触にジータは目を閉じて味わう。エグみのある体液も、口の中を満たす肉も、なにもかもが愛おしい。
 敏感な先端を舌で舐め回し、軽く吸い付いたりしてご奉仕していると、ベリアルが腰を引いてしまった。ジータとしてはもう少しおしゃぶりしていたい気分であったが……。
「ベリアル、気持ちいい……?」
「あっ♡ はぁぁ……♡♡ イイよ、すごくイイ」
 ペニスを包み込む乳圧や熱が気持ちいいのか、腰を振る度にベリアルが喘ぐものだから、ジータの不満の気持ちが吹き飛ぶ。
 普段ベリアルは余裕たっぷりであまり喘いでくれないのだが、彼の声は極上。そんな彼の濡れ声は聞いていて飽きることなどない。逆にもっと聞きたくなる。
 今度から声を出してとお願いしてみようかな。いや、ベリアルは自分が責められるのも好きだからこちらから責めてみようかな。など、淫らな妄想を繰り広げていると、胸の中で脈打つ肉塊の様子から射精の気配を感じ取ったジータはさっそく動いてみることに。
「ッ、あ、ぁあ……♡ それヤバいっ……♡」
 ベリアルのまろい尻を両手で掴むと引き寄せ、唾液がたっぷりと満ちる口内へと猛りを迎え入れると、射精に導くように舌で責め立てる。
 ちゅるちゅると小さな舌で裏筋や亀頭に絡みつきながら、ベリアルのザーメンを得ようと吸い出すように口を窄めれば、ジータを誘惑する声がのべつ幕無しに上がり、彼女の気分をどこまでも上昇させていく。
 年下であるベリアルが自分の手で乱れる様子に、これは癖になりそうだと思いつつ、口に入らない部分を愛するために手を追加。
「あッ、んっ♡ ううっ……! っ……イクっ……♡♡」
 ジータの目線の先に映るのは、真っ白な雪肌に赤みが差し、目を閉じて素直に快楽に身を任せている男の姿。
 美しい男の妖艶な姿にジータの女の子の部分が甘く疼き、無意識のうちに足を擦り合わせてしまう。
 そんなことをしながらも、ジータはご奉仕に身を捧げ、敏感な場所を襲うぬめり快楽にベリアルはついに白濁をジータの喉奥に向かって吐き出した。
 どろりと粘った灼熱の体液をジータは嬉しそうに飲み込む。決して美味しいと言えるものではないが、愛する人のモノだと考えるとたまらなく欲しくなる。
 最終的には吸収され、自分の体と一つになるのだから。
「っ、ッ♡ あはァ♡ 今日のキミは積極的だねぇ♡♡ アっ♡」
 吐き出された白濁を全て胃に収めたジータだが、それで終わることはなかった。鋭敏になっている鈴口を先を尖らせた舌でほじくり、雌声で喘ぐベリアルを見上げながら尿道に残っている精液を吸い出そうと不意打ちのように強く吸引すれば、一際高い声が上がる。
「んっ、ん、ん……」
 双眸を閉じ、最後の一滴まで搾り取ると、ジータはベリアルを解放した。その口周りはいやらしく光り、ベタベタとしている。
 頬を火照らせたベリアルは柔らかな表情をすると、なにを思ったのか体を少し下へとずらす。
 上体を屈め、ジータの口に向かって舌を伸ばすと犬のように舐め始めた。
 濡れた舌が肌の上をペロペロと這いずり回る感覚にくすぐったいと小さく笑うと、ジータはベリアルの頭部を両手で固定し、自ら舌を伸ばす。
 ベリアルも同じように伸ばすと舌先が絡み合い、舌同士の濃厚な触れ合いに変わる。くちゅ、くちゃと音を奏でながら互いに求め合う。
 なにもかもが卑猥で、熱くて、おかしくなってしまいそうだとジータの手はベリアルの後頭部へと周り、激しく求める。
 いつもの情事と比べると、信じられないくらいにジータは積極的だった。
「ねえベリアル……そろそろ……」
 腹に乗っているベリアルのペニスを下から撫で上げ、脚をもじもじさせておねだりする。ジータの秘処は濡れに濡れ、大洪水状態。指で慣らしたりせずとも受け入れる準備は万端。
 ベリアルはジータから下りると正座をするように座り、彼女の脚を掴むと恥部同士が重なるように引き寄せた。ベリアルの熱源が触れ、ジータの瞳は期待に揺れる。
 だがベリアルは腰を軽く振り、ペニスを割れ目に擦り付ける行為しかしない。たくさん我慢させられたというのに、まだ。
 ジータはもう限界だった。お腹の奥がキュンと疼いて仕方がない。むぅ……! と少しばかり頬を膨らませ、その欲求は行動となって現れる。
 悪戯をするばかりの肉塊を片手で捉え、ぬかるんだ穴へとあてがうと、ベリアルの腰を抱くように両脚をクロスさせて自らの方へと引き寄せた。そうすれば、肉棒は矮小な入口にずぶりと飲み込まれ、ベリアルは内部の温かさや肉襞、愛液のぬるりとした感覚に熱っぽい息を吐き出す。
 ジータも待ち望んだベリアルの感触に満ち足りた表情を浮かべ、腕を広げた。言葉にはしないが、彼女がなにを求めているのかは明白。
 ベリアルは繋がったまま屈み込むと、ジータの腕が彼の背中へと回され、強く抱きしめられる。それは彼を離したくないと訴える両脚も同じ。
「あっ、んふぁぁ……! あっ、おっぱいぃ、くりくりしちゃやだぁっ……♡」
 深く繋がり、緩い動きで突かれながら乳頭を抓られ、先端からは何本もの線になってジータの純白母乳が噴き出す。
 至近距離でじっくりと見つめられて恥ずかしいのに、ベリアルに搾乳行為をされると気持ちよすぎて、ジータはもっととねだるように胸を突き出す。
「やだやだって言ってるけど、母乳搾られて随分気持ちよさそうじゃないか。なあ? ジータ」
「んぁぁっ、あっ、あう……!」
 性愛器官同士が擦れ合い、触れている部分が張り詰めていくような感覚がジータを襲う。膣肉に包まれたベリアル自身を優しく抱きしめるように内部が収縮し、好きという感情が溢れる。
「ほら。言ってみて。どうされたい?」
 真っ白に濡れた乳首を吸われ、舌で舐め転がされながら聞かれてジータはもういっぱいいっぱい。上下から与えられる快楽絶頂は彼女を淫乱女へと変貌させ、言い淀むように開閉させていた口からは、ようやく奥底に秘めていた願いを言葉にする。
「もっと、もっとぉ、おっぱい搾ってっ! 気持ちいいの、いっぱいちょうだい♡ んはぁぁっ♡」
 ジータの答えを聞いたベリアルは満足したのか、ニィと口角を上げると口と手を使ってジータのミルクを体外に放出させ、互いの肌が白く染まっていく。
 繋がっている場所も抽送を激しくさせ、下りてきた子宮口と亀頭がキスを繰り返す衝撃にジータは舌を伸ばし、首を反らせながら雌アクメに喘ぐ。
 頻繁に交わっていたのが、仕方がないとはいえ途切れた。そのぽっかりと空いた穴を埋めるように激しく求め合い、二人は快楽の坩堝へと沈んでいく。
「ひぅぅっ! 同時にそんなっ、ンッ♡ あッ、あぁっ! もうだめぇッ!」
 手と口を使って淫乳を責められていたのが、両手で膨らみを寄せたと思ったら両乳首を口に含まれ、下品な音を立てながら吸引される。
 甘いミルクが腫れた先端から吸われる度に、雷に打たれたような鮮烈な快感がジータを串刺しにし、背を弓なりに反らしながらガクガクと愛おしく震えた。
「ぁ……あぅ……」
 下半身の方も胎内に熱い白濁が流し込まれ、ジータを満たす。アクメを決め、その虚脱感に息を荒げながら見る先には、未だに母乳を飲み続けるベリアルがいた。
 彼の行動に無性に愛おしさを感じて、ベリアルの髪をジータは優しく梳く。
「そんなに美味しい?」
「そうだな……。どうもやめられない。それにキミのミルクを飲むと全然萎える気配がないんだよねぇ」
 最後により強く母乳を吸うと、ベリアルはそのままジータに口の中身を口移し。ジータもこくこくと喉を上下させながら飲み込むと、疲れが癒える感覚。ベリアルが言った言葉も納得だ。
「このまま朝までどう? たまにはハメを外すのも一興だぜ?」
「あなたが望むのなら」

   ***

「おい。胸を出せ」
「え……」
 それはとある昼下がり。執務室で仕事をしているルシファーにジータが珈琲を持ってきたときのこと。
 カップが載ったソーサーをルシファーの前に置いたところで掛けられた言葉に、ジータは固まってしまう。
 いま、この人はなんと言った?
「なんだ。もう母乳は出ないのか?」
「まだ出るけど……。一体どうしたっていうの。お父さま」
 聞き間違いではなさそうだ。ジータは苦笑いしながら言葉足らずの主に理由を聞けば、あからさまに顔を顰められる。彼は無駄なやり取りを好まない。
「言ってなかったか? お前の母乳には疲労回復効果が認められた。だから飲ませろと言っている」
 ベリアルならばまだしも、性欲が薄いルシファーは別の理由がなければこんなことは言わない。なのでこの返答はジータにとって納得がいくものだったが、出せと言われてこの場で出すほど、ジータは痴女ではない。
「えーと、じゃあ自分の部屋で搾ってくるから。この珈琲に入れればいいかな……?」
 どんな内容であれ、主であるルシファーの命令は絶対。母乳自体を差し出さないという選択肢は彼女には許されない。
 それでも、さすがにこの場で直接吸われるのは困ってしまう。なので代替案として持ってきたばかりの珈琲に自分の部屋で母乳を搾り、ミルクとして入れようとするジータにルシファーは舌打ちを一つ。
「直接摂取した方が効率がいい」
「わぁっ!?」
 ルシファーの手が伸びてきたと思った瞬間、無遠慮にぐい、と胸元の布が下げられ、片方の乳房が露出させられた。
 それに驚いている暇はない。腰を引き寄せられたことで、飲んで欲しそうに白い雫を滴らせる尖りはルシファーの口の中。
 幸いなことにベリアルと違って性的な舌の動きはせず、純粋に飲むことだけに専念しているので、そこまで変な気分にならないでいられるのが救いだった。
(なんだか猫ちゃんみたい……)
 目の前に広がるふわふわとした銀髪を見て、ジータは密かに思う。猫を想像してしまったのは、彼の周りに猫が寄ってきているのをたまに見かけるせいか。
 髪を優しく撫でたい気持ちが湧いてきたが、怒られそうなので脳内妄想にとどめるジータの口元は緩んでいる。
 ちらりと上目遣いでこちらを見るルシファーに「なにを笑っている」と低い声で詰められたが、ジータは静かに微笑み、目を閉じると「なんでもない」と答える。
 ベリアルの幼児化事件によって出るようになってしまった母乳は、まだまだ止められそうにない。

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