女神堕つ

 神への反抗心から神界から堕天し、魔界の王となった男ルシファー。神を否定し、神の創りしこの世界を神々含めて全て滅ぼそうとするかの男と、その配下の魔の者たち、神界に住まう者の戦いは永きに渡り、攻防を繰り返していた。
 ──昏き深淵の世界。荒廃した景色が広がる魔の領域にて。石造りの壁や廊下に囲まれた通路を歩くのはひとりの男。逆立てたダークブラウンの髪。その頭部からは悪魔そのものの逞しい角が生え、片目の強膜は黒く染まっている。
 赤い瞳に真っ直ぐに伸びた鼻梁びりょう、絶世の美男子とも表現できる顔には邪悪な紋様が浮かび上がっている。
 上着を羽織っただけの、シミやくすみが一切見られない陶器のようになめらかな肌には顔と同じ紋が浮かぶ。
 胸から腹部にかけてはところどころ大きく隆起し、誰が見ても惚れぼれしてしまうくらいの肉体美を惜しげもなく晒していた。
 男の名前はベリアル。魔王ルシファーの右腕である悪魔。
 蹴られたらひとたまりもないであろう筋肉質な長い脚を彩る上質な革の靴が奏でる音を聞きながら向かう先にあったのは、何の変哲もない扉。鉄製のそれを開け、中に入れば四方を堅牢な石で囲まれた窓ひとつない部屋が広がる。
 ベリアルが入室すると、壁に設置されている魔力によって灯る松明が部屋を薄暗く照らす。
 室内にあるのは粗末なベッドと部屋の中心、天井から伸びる鎖によって両手首を吊られている少女がひとり。
「やあ女神サマ。ご機嫌いかが?」
「…………」
 つま先立ちをしてギリギリ地面に立てる位置で拘束されている金髪の少女は柳眉を逆立て、眉間に皺を寄せることで嫌悪の感情を顔に出す。
 きらびやかな装身具を身につける肌は清潔感溢れる純白の衣装によってその神聖さをより際立たせ、肩から胸にかけて伸びた生地はクロスするようにその先にある肌を包む。
 きめ細やかな脚から伸びる透け感のある衣服の丈は長く、裾は深い青色に金色のラインが施されており、女性らしいふっくらとした太ももやみずみずしい果実を連想させるハリのある臀部は、ため息が出てしまいそうなくらいに美しい。
 また、頭部にかけられているベールの内側には夜空が広がっており、小さな星々がまたたく。
 神々しい見た目は女神という名に遜色ない。
 ──彼女の名前はジータ。またの名を癒やしを司る女神・パナケイア。
 女神は天上にある神の国の住民。しかし神界と魔界の戦いの混乱に乗じてベリアルに囚われ、こうして監禁されていた。
 神聖な力も魔界では失われてしまい、ジータはベリアルから与えられる屈辱に耐え忍びながら、脱走の気を伺う日々が続いていた。
「一人で退屈だったろ? 二日も放置して悪かった。ファーさんってば人遣い荒くてさぁ……」
 軽快に語りながらベリアルはジータに歩み寄り、その最中に指を鳴らせば彼女の手首を封じていた枷が外れ、地面に足がつく。
 ここに閉じ込められてすぐは体が自由になった途端に攻撃を仕掛けていたが、魔界では本来の力を発揮できず簡単に抑え込まれてしまう……というのを何度も経験しているため、ジータは大人しくその場に立つ。
 彼女の名誉のために言っておくがこれがベリアル以下の力しか持たぬ誰かならば、弱体化したジータでも倒すことができる。魔界という悪魔に有利なフィールド、加えて魔王の右腕であるベリアルだからこそジータは屈していた。
「そんなキミにプレゼントを用意したんだ」
 はい。どうぞ。穏やかな声音で差し出されたのは中心に黒い宝石が付いた漆黒の首輪。宝珠の下辺りにはなにかを通せそうなリングもある。
 まるで奴隷の証のようだと、ジータは思う。
 人間界では地位のある者が弱者を虐げ、飼い主とペットの関係を強調するかのように首輪を嵌めることもあると、天上の世界から見て知ってはいた。
 まさか自分が下劣な悪魔に下る日が来るなんて。
 渡された首輪を手にベリアルを見上げれば、彼の目はこちらをあざ笑うように歪められていた。自分で着けろという無言の圧。
 監禁されて今に至るまで誰にも言えないような酷い行為をたくさん受けてきた。自分だけのものであるはずの聖域を穢らわしい悪魔に何度も犯され、身体を好き勝手に弄ばれた。
 女神とはいえ、ジータは人間と同じように“心”を持つ。人としての尊厳を土足で踏みにじられる毎日だというのに、まだ。
 奥歯に力が入り、軋む。それでも自分にある選択肢は“着ける”ことだけ。せめてここが地上だったなら。あのときは戦場が混乱を極めており、隙を突かれた形で連れ去られたが、今は違う。力が発揮できさえすれば、悪魔を滅する……まではいかなくとも、この男から逃げるくらいはできる。
 自らの力のなさを悔恨し、ベリアルからの贈り物を持つ手を首に近づける。その手が震えてしまうのは、身に着けてしまったら大事ななにかを失ってしまうのでは……? という不安から。
 首に輪を嵌める。上等な素材を使っているのか肌触りはそこまで悪くはない。ただ、自分がこの男のモノになってしまったような不愉快な錯覚を除いて。
「ッ……!? ぁ、こ、これは……!? ち、力が抜けて……!?」
 身に着けた瞬間。ブラックジェムが怪しい光を放ち、身体から血液が流れ出してしまうような感覚に陥る。立っていられなくなったジータは膝から崩れるもベリアルによって抱きかかえられたため、倒れることはなかった。
 ガクガクと嫌な震えが止まらない。寒さなど感じたことがないのに、内側から急速に冷えていくようだ。
 水が並々と入った入れ物に穴が開き、そこから中身が流れ出てしまうように神の力が流出する。止めたくても流れは止まらない。水を掴めないように。
「あっ、ああ……だめ、やめて……!」
「プレゼントはお気に召してくれたかな? 神聖な力を吸収・蓄積する特殊な鉱石。魔界にだけ存在するコレは触れている間だけ対象の力を奪う特殊な石さ。その特異性と希少性からして戦闘では使えないが……キミのためだけに採ってきたんだ。気に入ってくれると嬉しいな」
「ぅああ……ぁ、そんな……くぅっ……!」
 耳元で囁かれる言葉に全身が粟立つ。なんとか外そうと片手で首輪に触れるも、ますます力の流出が速まるばかり。
 ジータは外見こそ人間だが、中身は違う。神なのだ。人のように呼吸をする必要はなく、その身も神力によって重さを感じたことはない。
 だが今はどうだ。呼吸をせねば苦しく、身体は重く冷たい。天から堕ち、人の枠におとしめられた女神にとって人の肉体は脆弱ほかならないのだ。
 ベリアルはジータの様子を観察しつつも横抱きにすると、ベッドへと向かう。一人で使うには大きいベッド。睡眠を必要としないジータにとっての使用用途はここでは一つしかない。
 ああ、また蹂躙される……。
 寝台に寝かせられる身体。疲弊した思考で巡らせるのは淫虐の数々。神の力を使うことで感覚をできるだけ遮断したり、悪戯に付与される魅了効果を防いでいたが、今は……。
「汗びっしょりじゃないか。肌に服が張り付いて気持ち悪いだろう?」
 皺を刻みながら柔肌に吸い付く胸の布を、男の大きな手が谷間に引っ掛けるようにして外す。乳房を丸出しにされるのは何回経験しても慣れるものではない。
 露出した桃色の尖りをねっとりと、舐め回すように這う視線に寒かったはずの身体が今度は熱くなってくる。
 大き過ぎず、かといって小さいわけでもない美乳の先端は綺麗なピンク色の乳輪に囲まれつつ、小さく存在を主張している。
 もう処女でもないのに、見る度に生娘なのではと思ってしまうほどの初心な尖端にベッドの端に腰掛けるベリアルは緩やかな笑みを浮かべると、片方の手のひらを上に向けて黒い羽根を出した。
 根本部分を親指と人差し指で摘み、ジータの目の前で揺らせば、柔らかな羽根は軽やかな様子で揺蕩たゆたう。
「ひゃぁぁぁんっ!?」
 ふわり。羽根の先が乳首をかすめた瞬間、淫らな電撃が全身に走る。鋭くて、それでいて甘い。どこか心地よさを感じてしまう未知の刺激に、ジータは大げさなくらいに背をしならせて悲鳴を上げた。
 この感覚はなに? どうしてこんなにも気持ちがいいの?
 羽根でくすぐられるのも経験済み。しかし今までは神の力で自分を守っていたために少々こそばゆく感じる程度だった。しかし。
「オレの羽根には魅了の魔力が宿る。人間の身に堕ちたキミには刺激が強すぎたかな?」
 ベリアルはケラケラと笑いながら小刻みに羽根を揺らし、一番柔らかな先端で乳蕾を刺激する。さすればその動きに合わせて小さな身体が揺れ、形のいい乳房もぷるぷると踊り狂う。
 それは雄を誘う踊りに他ならないのだが、自分の意思では止められない。
「ひぅうぅっ……! ふぁぁっ、なにこれ、んぁ、ああああ……! やらぁっ! おっぱい熱い、なにか、出ちゃうぅ……!!」
 身体に力が入らず、羽根から逃げることもできない。
 基本は胸。時折思い出したかのように他の場所を羽根が這うと、どうしようもなく脚の間が疼いてしまう。
 人間が生み出した叡智の一つである下着も、神界にはない。素肌に服を纏っただけのジータの秘裂からは愛液がじっとりと溢れ、肌を濡らす。
 刺激に反応して揺れる度に濡れた肉貝が切なげに涙を流し、直接触りたいという欲求までも生まれてしまう。
 神界にいたときはもちろん、ベリアルに汚染されても快楽を求めるようなことはなかった。彼が胎内に侵入しても“なにかが入っている”という違和感や不快感しか感じなかった。それが人間の感覚に堕とされただけでこれとは。
 両方の肉突起を念入りにくすぐられていくと、与えられる悦楽に乳首が大きく膨らみ、その先からは白い液体が滲み出てくる。
 絶え間なく続く行為に淫らな尖りは熱を孕み、液体の分泌量をさらに増やす。──乳房の奥が熱い。込み上げてくるものを放出したい。甘く蕩けた頭で考えた刹那。
「ダメぇっ! ん、ン……ぁっ、ああぁぁンっ!」
 まるで噴水のように噴き出す白い体液はまさしく“母乳”。女神の聖水はいくつもの線を描きながら肌や服を濡らしていく。
 母乳が出るのは癒やしの女神ゆえなのか。ジータの母乳を初めて見たベリアルは興味のままベッドへと上がり、彼女の脚を大きく開くとその間に身体を滑り込ませ、覆い被さると、大口を開けて乳輪ごと乳首を口の中に含む。
「いやっ! やめてぇっ!! おっぱい飲んじゃいやぁ……!」
 心すらも人間の枠に抑えられてしまったのか。気丈に振る舞っていたジータの両目からは容易く涙が溢れ、男に懇願する。だが、この程度でやめてくれるほど、ベリアルは優しくない。
 絶え間なく溢れ出る乳汁を激しく吸引しながら、ベリアルはジータの開かれた脚の間と、自らの硬くて大きな膨らみを合わせる。そのまま軽く腰を振れば密着した布同士が摩擦熱でさらに熱くなり、すっかりと硬くなった女神の種が布越しのペニスによって何度も押し潰される。
「あ……あァァ……! ああっ、あっ、いやっ、ごりごり、ってぇ……!」
 ジータの上げる悲鳴に今までとは違う声が混ざり始める。それはいやらしく雄に甘える雌の媚びた声。甘ったるい声で嫌と言われてももっとしてほしいと言っているように聞こえるだけだ。
「ン〜……」
 最後にちゅぽっ、と音を立ててベリアルは乳頭を解放した。だいぶ吸われ、量は減ったものの未だに母乳は出ており、無尽蔵にも思える。
 口の中の母乳を溜めたまま、ベリアルはジータに口付ける。薄く開かれた唇は容易く男を受け入れ、女神の血液が注ぎ込まれた。
 口内を余すことなく満たす自らの体液はほのかに甘く、癖のない優しい味でもっと欲しくなってしまう。加えて失った体力が少し戻ってきたのか、身体が軽くなる。
 まさか自分の乳から母乳が出るなんて初めて知った。しかも回復効果まであるとは。
 力がほとんど流れてしまい、自分の力で回復もままならなかったジータにとっては嬉しい効果だ。
「キミから母乳が出るとは驚いた。で、どうだい? 自分のミルクの味は」
「…………」
「……ハァ。ダンマリか。つまらないな。まあいい。お楽しみはまだまだこれからさ。オレを癒やしておくれよ。女神サマ」
「なに、を……! ぁ……!」
「ゼロ距離のアナゲンネーシスだ。よぉく味わってくれよ?」
 至近距離で会話をするも、ジータは目を合わせようともしない。けんもほろろな態度にベリアルは嘆息し、女神の頬を両手で包んで固定するとその目から怪しい光を放つ。
 ジータの目の前が赤一色に染まる。アナゲンネーシス──ベリアルが得意とする魅了の魔力。今までは神聖な力によって弱体効果を受け付けなかったが、人間の身では……。
 光が収まり、見えたジータの瞳は奥にハートが見えるような桃色の光が宿り、呼吸も浅く速くなる。全身が熱くなり、下腹部が収縮して切なさを訴えてくる。
(なに……これは……? 身体が疼いてさっき以上に変な気分に……!)
 魅了の魔力を直接叩き込まれたジータの身体は分かりやすく反応を示す。おかしいくらいの発汗。淫らな桃の種は凝り固まり、しっかりと勃ち上がり、先端の極小の穴からだらだらと甘い涙を流す様はまるで女のペニス。
 特にベリアルの下半身が押し付けられている股間は逞しい雄の気配が間近にあるという事実にキュンキュンと子宮を喜ばせ、肉竿を咥え込む味を知っている肉穴は腹が減ったと言わんばかりに涎を流して蠢き、そのはち切れんばかりの異形の槍に貫かれることを望む。
(なんでっ、私……ベリアルのおちんちんのことしか考えられないの……!? あんなおぞましいモノを、どうしてっ……!)
「物欲しそうな目で見つめちゃってまあ……。神の力を無くした途端にこれとは。フフフ……」
 ベリアルはジータの足元で膝立ちになり、呆気ないまでに簡単に魅了の魔力に堕ちた女神に嘲笑を向けながら上着を脱ぐ。
 ジータは自分の思考回路の変化に困惑しながらもその目はベリアルの股間、革のボトムに窮屈そうに抑えつけられている滾りから目が離せない。
 あれだけ嫌悪していた悪魔の陰茎。それなのに今は欲しくて仕方がない。
 彼との行為の中には口での性行為もあり、そのときは漂う雄臭に吐き気がし、口の中に先っぽしか入らないほどに大きな肉傘、その鈴口から垂れる濃厚な前戯汁だけでも独特の味をしていたのを思い出す。
 間違っても胃の中に入れまいと溢れる唾液と一緒に吐き出していたが最後には頭部を固定されると、口の中を占領する魔羅からは粘度の高い白濁が大量に発射され、その不味さといったら回顧するのも嫌になるはず……だったのだが。
(欲しくて、たまらないっ……!)
 まるで淫魔に成り下がってしまったよう。脳内を占めるのは眼前にある男根のことばかり。ふわふわとした夢見心地の眼差しを向ける女神の姿にベリアルはおかしくてたまらないのか、形のいい唇であざ笑うと片手で自分の股ぐらを撫でる。
 誘う手つきは淫女神の視線を思うがままにし、釘付けにすると焦らすようにジッパーを下げた。
 ジジジ……。無機質な音を立てながら開かれていくボトム。その中身が弾けたとき、ジータ頬は紅潮を極め、目尻は下品に蕩け、微かに開いた唇からはしっとりとした重い吐息が漏れる。
 太い幹には何本も血管が浮き上がり、ベリアルのへそに向かって反り勃つ。その姿の雄々しさに、喉が鳴った。
 待てをされている犬のようにハアハアと呼吸も変わり、全身が甘く疼いて仕方がない。ベリアルに対する嫌悪もすでに消し飛んでいる。
「ぁ……!」
 肉根の先、極小の穴からつぷ、と湧き出る雫を目にすると急激な喉の渇きを覚えた。もし、ジータが最初から人間であればこの程度の渇きは“ちょっと喉が渇いた”くらいなのだが、神であるジータには喉の渇きも初めて。
 意識した途端に激しくなる欲。身体の中に入るのも嫌がっていた先走りも、今では恵みの一滴のように思える。
「いいよ。キミの好きにするといい」
 主から許しを得たジータはだるそうに起き上がると、そのまま四つん這いになってベリアルのもとまで這う。気高き神とは思えないほどの堕ちた姿は彼女の信奉者が見たら絶望のままに命を断つのではないか……それほどの衝撃的光景。
 悪魔のそばまで来ると肉塊の巨大さを肌で感じ、呼吸を忘れてしまうほど。
 布の中で蒸れた太茎からは決していい匂いとはいえない男性器独特の臭いがするのだが、なぜなのか。あんなにも嫌がっていたのが嘘のように今のジータには芳醇な香りに感じられる。
 スンスンと鼻を鳴らしながら顔を近づければ、思考回路がほどけていくような──完熟し、甘さを極めた果実のような強烈な誘惑にジータは虚ろな目をしたまま陽根にキスを送った。
 唇で触れるだけで火傷してしまいそうなくらいの熱。今からその御神体から癒やしの水を頂戴することへの感謝の気持ちを込めて再び口づけを送り、片手をベッドにつき、残りの手で竿を握るもその牡勃起は少女の小さな手では一周すらできない。
 ドクンドクンと手の内側で脈打つ肉の感触や浮き出た血管、熱を感じながら精一杯口を大きく開けて卑猥に輝く亀頭を頬張るも、女神の口が小さいのか、ベリアルのが大きすぎるのか、長大の先しか入らなかった。
 ベリアル的にはそれでも構わないのか、魅了の魔力に侵されているとはいえ自分の意思で奉仕をしているジータの好きにさせている。
(おっきい……顎が外れそう……。あぁ……私、ベリアルのおちんちん食べちゃってる……。駄目なのに……。ううん、これは魅了のせい……。私の意思じゃない……)
 心の中で渦巻く相反する主張。淫らな行為に耽る己を騙しながらも、吐き出される吐淫を舌で受け止め、飲み下す。
 雫が唾液と共に喉を通ればヒリヒリとした耐え難い渇きが癒えていく。けれどまだまだ足りない。
 さらなる蜜液を得ようと、先端を幼さが残る舌でペロペロと舐める。ぬるついた舌を傘に絡ませ、螺旋を描くようにねぶれば神界で暮らしていた頃は聞いたこともない粘着質な音がジータから発せられた。
 気持ちがいいのか頭上からは男の艶声が漏れ、それがなんとも耳心地がいい。思えばベリアルのという男に対して嫌悪しかなかったので、その声にじっくりと耳を傾けたことはない。まさかこんなにも極上な声をしていたとは。
「ずじゅっ……んふぅぅぅ……! んっ、んっ、れろっ、ぢゅずぅぅっ……ちゅんっ、ん……!」
 どこか他人事のように思いながら、口での性行為に没頭する。手でしっかりと棒を固定し、舐めれば舐めるほど癒やしの体液は溢れ、ジータはそれをゴクゴクと飲む。
 砂漠で彷徨う人間がオアシスを見つけ、その湖の水を一心不乱に飲むが如く啜り、それは激しい吸引快楽をベリアルへと与えた。
「ッ……! ははっ……」
 漏れ出る喜悦の声。髪を優しく撫でる手に顔を上げれば、赤と黒の目が女神を見下ろす。
 熱に浮かされ正気を失ったはしばみ色。欲に忠実になり、片頬を膨らませながら美味しそうに性器を食べる牝顔。あれほどに性行為に対して嫌悪していたというのに、なんて変わりよう。高貴な女神が今ではただの娼婦だ。
「顔はそのまま……そう、オレを見つめて。舌で裏筋を舐めて……あっ、もっと激しくしていい……。口に入らないところは手で扱いてくれ……。っフフフ、キミ、もともと才能があったんじゃないか? はっ……ぁン、っ……一滴も、漏らすなよ? 全て受け入れろ」
 ジータよりも白い頬が熱に染まり、三日月状に歪められた目はどこか楽しげで。ジータもジータでベリアルの言葉に逆らえないのは強すぎる魅了効果のせいにして命令どおりの動きをすれば、雄竿が大きく膨らみ、張り詰めていく。よく知っている、感覚だった。
(ぁ……射精、)
 無理やり口淫させられたときと同じ──。
「ん、んぐっ! ン、ン! んふぅぅ〜〜〜〜っ!!」
 ──ブビュルルルルルッ! ビュッ、ビュビュゥゥ! ドプッ……! ドププッ……!!
 そのときの様子を回想しようとしたが、激しい精液噴出によってそれは中断せざるをえなかった。
 口の中がいっぱいになるほどの大量射精。あまりの多さにむせそうになったが、吐き出すのがもったいないと思い留まる。
 不味かった記憶しかない白濁。それがとんでもなく美味なのだ。粘度はあるものの、舌触りはそこまで悪くない。
 特濃ミルクの味を密かに味わっていると、白露にまみれた口内から男が去っていき、ふにゅっ、と唇に当たる肉感。
 淫茎キスにジータも口先を尖らせて返すと、汚肉塊は鼻へと移動し、整った鼻筋に鈴口を滑らせて女神の美しい顔に汚染液を塗りたくる。
 顔全体が牡液で穢されているというのにジータはぽーっとした顔でされるがまま。どこか嬉しそうに見えるのは、今の彼女にとって雄の香りがかぐわしいモノだからだ。
「んっ!」
 ビュブゥッ!
 尿道に残っていた残滓が顔の中心目掛けて吐き出され、反射的に目を閉じる。肌を滑る粘ついた体液に気を取られていると、ベリアルから声をかけられた。
「口の中にあるザーメン、まだ飲み込むなよ? 歯の間に染み込ませるくらいによく噛んで、オレのを味わえ」
(噛めば噛むほどに美味しい……! この甘さは人間が生み出したお菓子の比じゃない……! すごく甘いのに、飽きない味……。私、魅了でおかしくなっちゃったのかな……? でも、もう……どうでもいいや……)
 ベリアルの指示に従い、口をもごもごさせながら精液を噛み砕くようにして味わう。その味は人間界の菓子に非常によく似ているも、味を知れば知るほどに欲しくなる不思議な味をしていた。
 明らかにおかしい。でも、透明な雫で喉は癒やされたし、精液は美味で、身体が気持ちよくなってきたから難しいことは考えない──否、考える気力すらない。
 堕落した女神は人間の大罪、怠惰の禁を破っていた。
「オレのは美味しいかい? ……そう。それはよかった。口を開けて見せて」
「あ……」
 口を開けば上下の歯に絡みつくドロドロ液が糸を引き、非常にいやらしい光景が広がる。ベリアルはじっくりとその様子を記憶に刻むと、次はその孕み汁を両の手のひらに出すように告げた。
 思考能力を奪われた女神は両手の側面をくっつけ、器のようにすると、その上に汚辱の証を吐き出す。
 口を窄め、少しずつ垂らされていく白いスープは瞬く間に手の器を満たされていき、真っ白な泉が完成する頃にはジータの口周りは雄液でベタベタ。
 背徳的な姿に興奮を煽られたのか、男の熱源はさらに大きくなる。
「まるで色欲の女神だな。いいぜ、そのまま飲み干せ」
 ようやく白蜜を飲めると、ジータは目を閉じると器を傾けながら吐き出した精液を体内へと迎える。喉を通り過ぎて胃へと向かう体液は全身に染み渡るようで、同時に内側から犯されていくような媚電流が走り、華奢な身体が震えた。
 母乳の出もよくなり、ただ漏れ状態で肌を流れ落ちて行く。ジータの乳雫の効能を思えば非常にもったいない。
 最も顕著なのは脚の間にある秘められた場所か。腹を空かせた雌穴は淫裂から欲情の証の分泌量をさらに増やし、女神の女陰は洪水状態。いつでもベリアルを膣内に迎え入れる準備は整っている。
 耐え難い疼きにジータは自分でも気づかないうちに脚を擦り合わせてしまうが、狡猾な男がそれを見逃すわけもなく。
「ふぁぁんっ! んぅぅ……ぁあ……! そこ、触っちゃ、くぅッ……!!」
 背中を男に預ける形で抱き寄せられると大きな手が乳房を揉みしだき、度重なる胸への愛撫によりすっかりと柔らかくなっている肉果実がぐにゃぐにゃと形を変えながら、尖端からは淫女神の雫を噴き出す。
 何本もの線が弧を描きながら噴射され、ミルクシャワーとなってジータの下半身やベッドに降り注ぐ。
 ハリのある白桃にベリアルの手が深く沈み、痛いくらいに盛り上がった乳芯をすり潰すように指先で捏ね回すその動きは、まるで牛の乳搾りのよう。
 母性を感じさせるジータの柔肉は悪魔の手によってすっかりと変えられてしまい、今では性器のひとつに成り果ててしまった。
「へぇ〜、すごい量だな。射精ならぬ射乳は気持ちよくてもっとして欲しくなるだろ? 自分じゃ分からないかもしれないが、肉欲に堕ちきった雌の顔してるぜ? 女神サマ♡」
「ひぐぅぅぅぅ! だめっ、おっぱい、おっぱいらめぇぇっっ!」
 泣きながら母乳を噴射するジータの頬にぴったりと自分の頬をくっつけながらベリアルは揶揄する。
 ジータも口では駄目と言ってはいるが、身体の大きいベリアルに背後からすっぽりと抱かれるというのは妙に安心感が芽生え、香水なのか、彼自身の体臭なのか分からぬ幽香ゆうこうに酔いしれてしまいそう。
 男と密着している小さな身体は快感に顫動せんどうを繰り返し、閉じられた脚の間からは甘露が失禁したように溢れ、お尻まで濡れて羞恥心を煽る。
「ひゃっ!?」
 ベリアルが両手で女神の魅惑的な太ももを広げると、悪魔によって何度も犯されたのが嘘のように美しい女神の中心が晒される。
 無毛の丘を下ると肉芽が顔を出しており、さらに下った先にある形の整った理想的な割れ目の中央からはベリアル以外は味を知らぬ蜜が周囲を濡らしながら、妖しく光っていた。
 開脚したところで片手は桃色の果実へと戻り、下から掬うように揉みながら、母乳に濡れてべとついた指先は乳首を弄るのを忘れない。
「ふぁぁんっっ! んはぁッ、ぁ、あっ! そこ、ふみゅぅぅっ!? ひぃっ! ひぃぃっ!」
 ひんやりとした外気に晒された熱の根源。熟れた肉花に忍び寄る手は花蜜を指に絡ませながら女体の弱点である淫核を扱く。
 メスペニスへの手コキは鮮烈なまでの快楽を生み出し、ジータの身体に雷撃を落とす。甘い痺れにジータは大きく仰け反り、その後頭部はベリアルの肩口にのせられ、視界は逆さまの壁を映す。
(んぁぁ、ああぁぁ! こんなのォッ……! んくぅぅぅぅ……! おかしく、なるぅぅぅ……!!)
 お尻を浮かせ両の乳首からミルクを噴射しながら、その身を激しく震えさせる女神の膣穴からは内部に溜まっていた愛液が水鉄砲のように飛び出し、シーツに小さな水溜まりを作るその様子は神聖な女神ではなく、女の快楽という奈落へ突き落とされた雌神。
「ふ、ふぁ……はひっ、ひッ……! ンぁああぁッ! もう、やめ……てぇっ……!!」
 屹立する薄紅乳首を扱き上げながら、ベリアルは指を濡れそぼつ穴の中へと無遠慮にねじ込む。親指と人差し指はずっぽりと濡れ花に沈み、肉襞をなぞるように蠢く。内部の圧迫感と、恥部からの水音はジータを苛み、魅了付与の状態も相まって狂おしいほどの快楽へと変換される。
(なんとかぁぁ……! み、魅了をっ、解除……でき、ればぁッ……!)
 一時的に理性が戻ってきたジータだが、冷静に思考しようとしても母乳によってヌルヌルとした男の手がまろい膨らみへと伸び、搾乳するようにマッサージしていく。ビュビュゥと下品に感じるほどの噴乳は視覚的に女神の心を掘削していき、乳牛になってしまったような気分になってくる。
 下半身も下半身で卑猥に輝く蜜壺の中身をベリアルは掻き出すと、秘芯に塗りたくり、人間の身での性行為に慣れていないジータは波のように押し寄せる手淫快楽に背中をわななかせる。
 ──このままでは、完全におかしくなってしまう。
 あんっ、あんっ、と甲高い嬌声を上げ、目と口から止めどなく体液を垂れ流しながらも残された少量の力を使い、ジータは自らに回復魔法をかけるが……。
「くふぅ、ふぅぅッ……! ウィータ……ブレ、ウィス……!」
 ひと握りの力では弱体効果を回復する効果しか持たないが、今のジータにとってはそれが一番重要。しかし。
「無駄だよ。キミ自身分かっているはずだ。魅了の魔力を凝縮したアナゲンネーシスは──消去不可、だ」
「……! ……!!」
 背後から鼓膜に直接吹き込まれるのは絶望。しかもとびきり優しい声で。
 ベリアルの一言を理解した瞬間、ジータの中に宿った希望の光は闇によってかき消され、真っ黒に染まっていく。
 もう光すら芽生えることのない暗黒に囚われたジータだが、打ちひしがれている余裕はない。
「あッ!? いやっ……!? 裂けちゃう! そんなおっきいの入らないからあァァッ……!」
 一本の杭を打たれたような衝撃が下半身へと走り、ジータは顔を下へと向ける。そこには穴に突き刺さる極太の肉杭があり、ジータの重さによって少しずつ奥深くへと飲み込まれていく。
 薄い腹部はベリアルの雄肉の形に膨らみ、手で触れれば薄皮一枚挟んだ向こう側に悪魔の存在がありありと感じられた。
 視認した途端に内臓が引っ繰り返りそうになる息苦しさ、このまま身体を貫かれて殺されるのではないかという恐怖がジータを襲う。
 怖いのに、今までの度重なる陵辱によって肉壁はベリアルの形に変えられており、足りないものが満たされるような不思議な感覚もあった。
「ふぁぁぁっ!?」
 ベリアルを求めるかのように細かい膣襞は肉勃起へと絡みつき、精をねだる。ベリアルも気持ちがいいのか湿った吐息が耳にかかり、ジータの気分を熱していく。
「ンあんっっ! あはぁっ、んん〜〜っっ!! はぐぅ、あ……ぁぁっ……!」
 肉傘が子宮の入り口へと細やかなキスを繰り返し、甘い痺れが血液の流れにのって全身を駆け巡る。
(耐えられない……! ベリアルのおちんちんにごつん、ごつんってされるの気持ちいいよぉ……! ……あれ? 私、なんで耐えないといけないんだっけ……?)
 理性は闇に堕ち、魅了に支配されて生まれた性的欲求が顔を出す。正常な思考回路ができなくなった脳は耐える必要がないと判断を下し、それは清らかな女神を再び快楽堕ちさせる。
「ほら、見てみなよ。オレのペニスをぐっぽりと咥え込んで、隙間からはよだれを垂らして……。随分と気持ちよさそうだな? いやらしい女神サマ」
(私っ……こんなえっちな顔してたんだ……。アソコにはベリアルのおちんちんが埋まってて、上下に動く度にお汁が噴き出て……)
 魔法で出したのだろう。ジータの目の前にはオーバル型の鏡が浮かび上がり、女神の痴態を鮮明に映す。
 男らしいながらも美しい身体に抱かれ、M字に開かれた脚の間にはジータの腕よりも太い剛直が淫壺に挿入されている。
 突かれるとグチュッ、グチュッ、と音が鳴り、亀頭が子宮口に軽く埋まるとじんわりとした肉悦が堕ちた身体を喜ばせる。
 雄マラが身を引くと、吸い付いて離さない膣粘膜も引っ張られる感覚を感じ、まるで自分自身がベリアルを求めていると言わんばかりだ。
「ンッ! んぅぅ……っ! ぼこっ、ってしてるとこぉ……! らめぇっ……らめなのぉ……!」
 巨大な楔を打ち込まれ、膨らんでいる腹部をベリアルは撫でたり押したり。特に押されると苦しみを伴った気持ちよさが湧き上がり、茹だったような赤みが広がる魅惑的な肉体が小刻みに振動し、下品に舌を突き出して喜悦の涙を流す。
「全身性感帯になっちまったようだなぁ? 呂律も回らなくなって……。もう元には戻れないな? 淫乱女神サマ」
 もはや言葉責めではなく、耳孔じこうに吹き込まれるわずかな風だけで濡れた身体は波打つ。
「はんぅ! はぅぅ……!! お腹のおくぅ、気持ちいい、よぉ……! ぁ、なにか出──あぁァぁぁぁァんっ!!」
「クッ……ハハハハッ! ハメ潮のサービスまでしてくれるのかい?」
 一定のリズムで女神穴を蹂躙され、感じていた尿意にも似たなにか。正常な思考であれば漏らしてしまう気配に──結果がどうであれ、全力で抵抗していたはず。
 だが今のジータには抵抗するという考え自体浮かばない。気持ちよくなりたい。それだけが支配する脳は堕ちた表情をするように命令し、悪魔に媚を売ると、結合した部分の上部に鎮座する尿道からは透明な体液がプシャァァァァッ! と壊れた水道のように噴き出す。
 ガクガクと激しく身を震わせながら、ベッドを濡らしていく様子は圧倒的のひとこと。ベリアルも自分の腕の中で愛おしく存在する淫らな雌に満足そうに口元を緩めると、挿入したままジータの身体を反転させ、向き合う体位へと変更した。
 ただでさえ神という至高の存在から人へと堕ちた身。体力の消耗が激しいのかジータはベリアルにくったりと寄りかかり、柔らかな胸同士が互いを押し合うと膨れた乳種は母乳に濡れたディープキスを交わす。
 イタズラをするようにベリアルが上半身を揺すれば、敏感になっている乳首がこすれてミルクを滲ませ、ジータはどこまでも甘ったるいメス猫の啼き声を上げた。
 男の豊満な双丘も女神汁によって白に染まり、円を描くように押し付けるとクチュッ、クチュッと水の交わりを奏でる。
「ほら、ジータ口開けて」
 言えばジータは緩慢な動きながらもベリアルの言うことを聞き、顔を上げた。清らかな光を失った目の奥には色欲が宿り、下がりきった目尻には雫が溜まっている。
「ふぁ……あふ、ちゅるっ……じゅっ……んふぅ、ふぁぁ……!」
 悪魔の口づけを受け入れ、交わる舌と舌。身体は互いを求めるように抱き合い、絡まる性愛器官はどちらのモノか分からぬ唾液で二人の肌を濡らしていく。
 まるで恋人同士の触れ合い。ベリアルとジータの立場からしてあり得ない光景が今まさに繰り広げられている。
 ベリアルによって口の中を犯され、脳髄が溶けていくよう。身体の熱も相まって、彼と一体化していくような、ふわふわとした非常に心地のよい快楽にジータは酔っていた。
「なあジータ……キミのココ、まだまだ満足してないだろ? オレにどうされたい? その可愛いおクチで教えてくれよ」
「あっ、んん……! 私の……アソコ……」
 唇愛撫の残糸が切れ、ジータの胸元に落ちる。
 男の手は腹部越しに主張する己の分身に触れ、ジータに問う。すっかりと欲望に堕ちた女神はどんな答えをくれるのか。
「そう。マン汁まみれになって男を咥えて放さないキミのいやらしい穴のことさ」
 これに答えればもっと気持ちよくなれる……!
 本能で察知するも、それをしてしまったが最後。もう這い上がることすら不可能な奈落の底へと落ちてしまう気配も感じる。
 だが、一人の女の性格までも大きく歪めてしまう悪魔の術に屈してしまったジータにとっては、ここに留まるという選択肢はない。ただただ悦を求める。そのためならば堕ちるところまで堕ちよう。もう、この身体と心はベリアルの手中。
 堕落した女神は肉襞で扱き上げるように膣壁に力を入れ、ペニス全体を愛してやる。ウネウネとした肉が雄を喰らう勢いで襲ってくる快感は、ベリアルの表情からほんの少しだけ余裕を奪う。
「わた……わたしのぉっ……! エ、エッチなおま○こをっ、ベリアル……ベリアルさまのっ、逞しいおちんちんでっ……! いっぱい掻き回してっ、子宮に赤ちゃんの種を恵んでくださぃぃ……!」
 双眸から流れる涙に対して顔の下半分は笑っており、相反する気持ちは上下に分かれて現れていた。
「……男を誘うための話術なのか、それとも完全に頭がイカれたか……。まあいい。試してみよう。堕ちた悪魔と神聖な女神の間に子どもはできるのか、興味がある」
「きゅふぁぁぁんんっ!? ひきゅぅッ、ぃぃ……! ベリアルさまのっ、おちんちんッ……! 赤ちゃんの部屋、ノックしてるのぉぉ!」
 再開する律動。愛液で満たされた胎内を肉棒で撹拌すれば粘水音が嬌声と共に部屋に木霊し、内部に収まりきらない蜜が弾け、互いの恥部に淫らなコーティングを施す。
 まるで愛する男にするようにジータはベリアルの首に腕を回し、ベリアルもベールによって覆われている背中を片手で抱く。その肌触りを確かめるように這う大きな手は鋭敏になっている肉体を悦ばせるスパイス。
 残りの手はすっかりとほぐされた乳房へ。癒やしの乳汁がローション代わりになり、淫猥に輝く肉の果実はヌルヌルとぬめりを帯び、男の手の中でぐにゃぐにゃと形を変えながら歓喜の白い涙を流す。
「さっきよりも締まりがよくなった。やっと自分の気持ちに素直になれたようで嬉しいよ」
「あっああぁぁぁぁッ!! はひゅ、はふぅぅ……! ベリアルひゃまのおちんちん、ンぁぁ! きもひいい、いいよぉ……!!」
 女神としての矜持も、なにもかもを捨て去り一匹の雌になったジータは圧倒的な快感に押し流される。愛する人同士が想いを通じ合わせ、その絆を次世代へと繋ぐための神秘的な行為のはず──だったモノをまさか自分が経験することになるとは神界にいるときには思いもしなかった。
 それなのに理由なき、ただ快楽を貪るためだけの性行為がここまで開放的で気持ちのいいことだなんて。
 ベリアルが肉壺を突き上げると、それに反応して上下する身体。まろい膨らみ、そのピンク色の尖りから漏れ出す母乳を男の舌が掬い上げ、先端に吸い付く。
 終わらぬ雌快楽。ベリアルがひと突きすればジータは二回も三回も絶頂を迎え、もう膣は馬鹿になったように痙攣のしっぱなし。
 無尽蔵に思えるほど駄々漏れ状態の母乳の量もさらに増え、胸は大きく膨らみ、若干の苦しさを感じるほど。
「ふぅ、ふぅぅぅぅっ……! あっぁ、おっぱい射乳るぅぅぅぅ!!」
「っ!?」
 ジータ自ら腫れぼったい乳房を手で持ち上げ、その際にベリアルの口から今の今まで咥えていた乳嘴にゅうしが離れたと思った瞬間、甘いミルクが思いきり弾けた。
 目と鼻の先。ベリアルの顔に向かって噴き出す白濁によって彼の整った顔は乳臭い液で汚染され、髪の根本にも染み込む。
 ポタポタと真っ白な雫を顔や頭部から滴らせる男はいきなりの顔射に一瞬だけその目を瞠目させたが、すぐに己を取り戻すと雌射精の疲れなのか、肩を上下させているジータの顎を乱暴に掴む。
「まさかキミに顔射される日が来るとは思わなかった。……なにをボーッとしてるんだ? キミが汚したんだ。舐めて綺麗にしろ」
「ふぁ……ふぁい……」
 我を失っているジータはベリアルの手が顎から離れると、彼の顔に向かって小さな舌を伸ばす。頬を流れる甘露を舐め取れば口の中にまろやかな甘みが広がり、もっと、もっとと欲しくなる。
 男の肌はムダ毛一本もないシルクのようになめらかで、その舌触りは極上。
 ぴちゃぴちゃとベリアルの顔中を這う舌はミルクに夢中になる子猫のようだ。
 ここに監禁されてから今日に至るまで、どんなに身体を穢されようが高潔な精神を保ってきたジータ。そんな存在が簡単に陥落してしまったことがおかしくて仕方がないのか、ベリアルの口元は緩みっぱなしである。
 ペロペロと舌を忙しなく動かし、母乳は綺麗に舐めとられたものの、代わりに唾液で顔は濡れたまま。ジータも挿入されたままの状態でこれ以上はつらいのか、ベリアルの肩口に顔を埋めると苦しげな呼吸を繰り返す。
 息をするだけで子宮口に密着している肉傘がしっかりと感じられ、腹の奥がじんじんと甘く疼く。熱が蓄積されていく身体。あと少しでその先に行けそうな気もする。
 全てがどうでもよくなるほどの開放感。早くあの快感を味わいたくて、ジータの腰は勝手に揺れ始める。
「はぅぅっ……はぁぁぁんっ! おちんちん、きもちいぃ……! もっと、もっとぉ!!」
 男の筋肉質な身体に腕を巻きつけ、抱きしめながらその身を縦に動かすとぱちゅん、ぱちゅんと陰部からは粘った音。
 神の力があったときからベリアルの陰茎を挿入され続けた膣穴は彼の形にフィットし、最奥の快楽に飼い慣らされた女神は徐々に浅い動きから大きな動きへとシフトし、抜けるギリギリまで腰を上げると、叩きつけるように腰を落とす。
 エラが張った亀頭が内部の肉を広げていく快感。子宮口と深いキスをした際に生じる快楽衝撃にジータは元の人格が力と共に流れ出てしまったかのように下品に喘ぎ、女神の品格など微塵も残ってはいない。
 悪魔によって与えられるエクスタシーに狂う色情魔に変わり果てていた。
「あはぁ! あっアッああアぁぁァっ! いっ、いぐぅぅぅぅ! おぐぅ、きもちいいのぉっ、とまんないよぉ!!」
「すっかりとポルチオに魅了されちまってまあ……。もう元には戻れないな? キミのカラダ。とりあえずこの先のことは心配しなくてもいい。こう見えてオレは面倒見がいいんだ。飽きるまで使ってやるし、女神の肉体だ。ファーさんが実験体に欲しがるかもしれない」
 ベリアルによってベッドに押し倒されると、脚を胸側へと持ち上げられ、大きく開いた淫性器に異形の肉塊と一緒に悪魔の体重がのしかかる。
 より深く突き刺さる熱茎は子宮リングを押し開き、先端が神秘の部屋へとめり込む。常人では悶絶するするほどの痛みがあるはずなのだが、狂人と化したジータは未知の快楽と悪魔に支配される精神的な快楽により、涙を流しながら雌嬌声を上げるばかり。
「きゅふっ……ぁぁぁんっ! しきゅー、ベリアルしゃまのおちんちんでっ、あんっ! いっぱい、ついてぇ!!」
「ご主人サマに命令するなんて、自分の立場が分かってないようだな?」
「んぎゅぅぅっっ……べりあるしゃま、のぉぉぉっ……! ぶっといおちんちんでっ、わたしのおま○こにたねつけ、してぇっ……! びゅー、びゅーってせーしをおめぐみ、くだしゃぃぃぃっっ!!」
 肌と肌がぶつかる乾いた音。泉のように湧き上がる蜜壺を雄槍が掻き回す水の音。ジータの悲鳴。それぞれが重なり合ってまるで淫欲にまみれた演奏会。
 ベリアルの雌に堕ちたジータはご主人様の身体に腕や脚を絡ませ、かわいくおねだり。
 引き寄せたベリアルの頬を両手で包み込むと、その潤んだ唇に吸い付き、自ら舌をねじ込み男の口内を舐め回す。そうしている間にも肉粘膜を襲う激しいピストン。肉棒が押し込まれると内部に溜まっている愛液が隙間から噴き出して止まらない。
「ハァ……そろそろイキそうだ。ほら、もっと締めろよ。オレの精子が欲しいんだろ? ジータ」
「ほ……しい……! べりあるしゃまのこだね、おなかにいっぱい、あぐぅっっっ! ひっ、ひぃぃぃ〜〜っ! また、いきゅ、いぎゅぅぅぅっっっっ!!!!」
 ブビュゥゥゥゥッ!! ドプッ! ドプゥゥッッ!! ドクンッ……! ドクンッッ……!!
 男を受け入れる性器へと変貌した子宮に爆発的に注がれるベリアルの精液。肉のゆりかごは瞬く間に白露に満たされ、数え切れないほどの精子が女神の卵へと群がっていく。
 肉体の奥深いところが大好きな人で満たされながらその背を何度かしならせると、糸を切られたマリオネットのようにベッドへ沈むも、全身に快楽電撃が走るジータの身体は震えが止まらない。
 声も出せない中ジータは愉悦の涙を流し、今もなお注がれる性汁の圧倒的な存在感に全神経を集中させる。
 内側から変えられていくような感覚。ふと、一瞬胎内がキュンと反応を示すのが感じられたような気がしながら、ジータは至上の幸福に満たされつつも意識を飛ばした。
「……意識を飛ばすのが早すぎないか? 人間の身体だから仕方がないとはいえ」
 若干呆れながら口にし、射精を終えたというのに萎える気配のない怒張をベリアルは前後に擦り付け始める。グプッ、グプッ、と音を立てながら精液と愛液を掻き混ぜ、意識のない女の肉筒を思うがままに蹂躙する様子はジータをただの性具としか思っていない。

   ***

 ルシファーは肩書きは魔王となっているが、城の玉座に王として座っている時間よりも、研究者として実験室にこもっていることが多い。
 荘厳な造りの広い空間。その奥まったところにあるのは魔王のために用意された椅子。部屋の出入り口から椅子に向かって伸びるのは血を吸ったかのように真っ赤な絨毯。ひと目で上質なものと分かる。
 今日は珍しく玉座の間にいるルシファーだが、それには理由があった。己に付き従う男が見せたいモノがあるから、と玉座の間を指定してきたのだ。
 大体の予想はつきながらも玉座に座り、目を閉じて待っていると部屋の外から微かな金属音と靴音。
 ようやく来たかと開眼すれば、部屋の扉が開かれ──ベリアルがその姿を現した。片手には鈍く光る銀の鎖があり、その元をたどれば、ベリアルの後ろを歩く女神の首輪に繋がれている。鎖を引かれ、連れられる姿はまるで犬だ。
 清らかなで神秘的な雰囲気を纏う衣服を着ているものの、腹部は重たそうに丸く膨れ、なにかを孕んでいる状態。
 腹の具合からして出産が近いのか、ジータは苦しそうにしながら、ゆっくりと這うようにベリアルのあとを追う。
「やあファーさん。ご機嫌いかが? 今日はキミにオレのペットを紹介したくてね。存在自体は知っているだろう? 癒やしの女神パナケイア──ジータ」
「ふっ……ふぅぅ……お初に……お目にかかります。魔王、ルシファー……さま。ジータ……はぁ、はぁ……です……」
「もう産まれそう? 随分と苦しそうだ」
 ルシファーもパナケイアの存在は知っていた。癒やしを司る女神ながらも決して非力というわけでなく、非常に厄介な女。ベリアルが捕らえ、監禁しているのは把握していたが……。
 その存在が今はどうだ。両膝をつき、こうべを垂れる女神からは神の威厳など微塵も感じられない。
 こちらに向ける濡れた眼差しの奥には決して消えることのない熱が秘められており、情婦のよう。
「癒やしの女神も堕ちたものだな。悪魔の子を孕むとは」
「神と悪魔の子ども。出てくるまではナニが腹の中にいるのかは分からないが……場合によってはファーさんの役に立つんじゃないかな? 彼女の出産のときはファーさんも見においでよ。女神の穴から子をひり出す公開出産。他のコたちも堕落した女神の姿に沸き立つだろうさ」
「くだらん見世物には興味はない。が、女神がお前の種を受精した点には興味が湧いた。女の腹が空になったら俺に寄越せ。実験に使ってやる」
 正直ベリアルのショーはどうでもいいが、堕ちた存在が女神を孕ませることができる点には興味を引かれた。
「オーケイ。よかったねぇ、ジータ。ファーさん直々の指名だ。くれぐれも粗相するんじゃないぜ?」
「はいっ、ベリアルさまっ……!」
 頬を赤らめ、ご主人様を見上げ返事をする語尾にはハートマークが見えるよう。ここまで堕ちてしまったらもう元には戻れない。ただひたすら、底のない深淵に向かって堕ちていくだけ……。

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