ジータちゃんがえっちなお姉さんとソドミーする話

 深夜。いつもなら寝ている時間だけど私は眠れずにいた。天井とにらめっこしてどのくらい経ったのか……。一向に眠気は訪れず、目は冴えるばかり。
 部屋にある窓から外の景色を見る。補給のために寄った島はそこそこ広く、街のほうは夜の顔をしていた。
 窓枠の向こうに見える木の枝は優しく揺れていて、夜風に当たるのもいいかもしれないと思えてくる。……うん。行こう。少し風に当たったらすぐ戻ってくるから。
 行動しようと思ったらすんなり体が動いた。寝間着からいつものワンピースに着替え、念のために愛用の剣を剣帯に差す。他のみんなを起こさないように慎重に歩き、外に出た。
 ひゅう、と風が体を撫でる。夜だから少し肌寒い。辺り一帯を月明かりが照らし、昼とはまた違う世界が広がる。街の中心のほうは……うーん。ちょっと怖いから近づかないでおこう。
 たしかここから遠くない場所に木々が多く植えられている広場があったはず。休むための椅子もあったと思うし、そこまで行ってまた考えよう。
 頭の中で整理し終えると、脳が体に命令を下す。穏やかな風を楽しみながら脚を動かし、周りを見る。中心街から少し外れた場所だから私以外に人はいない。耳に届くのは自分の靴音と自然の音だけ。
 こんな時間に一人で出歩くのなんて初めてで少しワクワクしているのを自覚した。でも早めに戻らないと。私がいないことに気づかれたら大騒ぎになるのは必至。ここまできて簡単なメモを残しておけばよかったと後悔する。
 まあ仕方がない。誰も起きないことを願いつつ、歩を進めると目的の場所についた。
 昼間は憩いの場として人々が多くいる場所に今は私だけ。大きな木の近くに設置してある長椅子に座り、ぼーっと夜空を見ていると不意になにかの気配を感じた。
 反射的に立ち上がり、剣に手を掛ける。
 月は分厚い雲に覆われ、辺りが闇に包まれる。ドクドクと心臓がうるさい。額から嫌な汗が浮き、流れ落ちる。早く、早く雲が流れろと何度も願う。明かりが、明かりがほしい!
「そんな怖い顔するなよ」
「あなたは……?」
 少しだけ低い声は甘さを含み、私の腰にまとわりつく。雲に隠された月が姿を現し、声の持ち主を目視できるようになった。現れたのは──黒い服の女の人だった。
 短い髪は逆立ててあって、紅い目は宝石みたいに綺麗で……中性的な顔は美しく、まさに神に愛された造形美。
 上はドレスシャツを一枚だけ着ていて、紫色の羽みたいなファーを体に巻きつけている。大胆に開かれた胸元は大きく、でも形がよさそうな胸の谷間を恥ずかしげもなくアピールしていた。
 服のボタンはお腹の部分に一個あるだけで見ているこっちが不安になる。腰はキュッ、とくびれていて顔だけじゃなくて体も完璧とか……私と同じ人間なの? と思わずにはいられない。
 すらりと長い脚はピッチリとした革のパンツに包まれているけど上半身と同じように神様に愛されているんだろうなと簡単に想像がつく。
「そっちに行っても?」
「は、はい……」
 ミステリアスな雰囲気を放つ女性に言われ、私は頷く。敵意も感じられないので剣からも手を放した。女性は私が警戒を解いたことでコツリ、コツリと歩みを進めてくる。一歩の幅が広いのですぐに私の目の前に女の人はやってきた。
 近づくことで感じる香水の匂い。嗅いでいると理性がぐずぐずに溶けていくような錯覚に陥る。
 椅子に座った女性に促され、私も隣に座った。どうしてだろう。さっきとは違う意味で心臓が痛い。私と同じ女の人なのに。顔が、熱い……。
「キミのような子供がこんな時間に一人でどうしたんだい?」
「眠れなくて。夜風に当たろうかと」
「ふぅ〜ん……。キミ、顔がすごく赤いね。熱でもある?」
「えっ、そ、そうですか? な、なんでだろう? 夜中に一人で出歩いたせい、かな。悪いことしてるーってドキドキしてるのかも」
 指摘されると一気に体が熱くなる。パタパタと手で顔を扇ぎ、誤魔化しているとこちらを見つめる女性と目が合った。
 ──刹那、私の体は動かなくなった。至近距離でルビーの瞳に見つめられ、視線を逸らすことさえできない。石になってしまったかのように動かない体。でも内側は甘美な熱が全身を駆け巡っていた。自分の心臓の音が、うるさい。
「なら……もっと悪いコトをしてみないか?」
 女性の、お姉さんの大人の手が私の左頬を包み、いやらしい手つきで首筋をなぞり、胸に触れた。ただ触られているだけなのに、どうしてこんなにも緊張するの? 村で女友達にふざけて揉まれてもこんな気持ち感じなかったのに。
「フフ……。実はワタシは娼婦でね。キミが望むなら相手をしてあげるよ」
 そう告げるお姉さんの口元は緩い笑みを浮かべている。娼婦──お金を受け取る代わりに、自分の身を売る仕事。故郷にいたら絶対知らない職業だ。
 お姉さんの見た目からして相当な金額が必要なはず。生憎ただの散歩のため、お金は持ってきてない。仮に持ってても払えるかどうか。あれ? なんで私、お姉さんを買おうと思ってるの……?
「ごめんなさい。お金、持ってきてなくて」
「キミはワタシ好みの顔してるからタダでいいよ。むしろ今夜はキミみたいな可愛い子とソドミーしたい気分でね。宿代もこっちで払おう」
 ソドミーの意味は分からないけどたぶんソッチ系の言葉だと思う。
 早く騎空艇に戻らないといけないのにお姉さんの誘惑に負けた私はコクリ、と首を縦に振ってしまった。

 お姉さんに連れられ、繁華街へとやってきた私。街は人々が行き交い、私の知らない大人の世界が広がっていた。
 こんなところ、絶対一人じゃ来れない。お姉さんとはぐれたら大口を開けた闇にぱっくりと食べられてしまいそうで、不安からお姉さんの手を握る力が強くなる。
 するとお姉さんが察してくれたのか「大丈夫だ」と声をかけてくれた。本当に美人はズルいと思う。微笑んだだけでも様になるから。
 歩調も私に合わせてくれるし、気遣いのできる人だなぁと考えていると目的の場所に着いたのかお姉さんは立ち止まった。
「ここだよ」
 赤いレンガが特徴の四階建ての建物。見た目は普通だけど中はどうなってるんだろう。
「……入ろうか」
 とにかく彼女に全てを委ねるしかない私は頷き、手を引かれるまま中に入った。フロントには男の人がいて、こういう場所に慣れてるだろうお姉さんは少し言葉を交わし、お金を払うと鍵を受け取った。
 階段を上り、最上階の一室の鍵を開けると普段見ない光景が広がる。
 高級ホテルのような一室。置かれている調度品も私が泊まるレベルの宿じゃ見たことがない豪華な物。ベッドもすごく大きくてふかふかなのが見て分かる。一つだけ気になるのはベッドの横側の壁が鏡張りになっていることかな。
 手を引かれ、ベッドに座ると想像どおり柔らかさ。でも私にそれを楽しむ余裕はない。お姉さんの二つの鮮紅色が私を見つめる。本当に、綺麗な人。
 故郷を出てまだ短いけど顔が整った人は何人も見たし、団員の中にもいる。でも……ここまで美しい顔立ちの人とは出会ったことがない。ただ見つめ合ってるだけなのに体に甘い痺れが広がっていく。
「んっ……!」
「ハハ、初心な反応だ。もしかしてセックスは初めて?」
 お姉さんの細くて長い指が首を撫で、さらに直接的な言葉を言われてカァッ! と顔が発熱する。だってそのとおりだから。しかも女の人と……。
 でも嫌じゃない。初めては好きな人と、とかなんとなく思っていたけどこの人なら初めてを捧げてもいいと思ってしまう。面食いなのかな、私。
 だけどこの気持ちは止まらない。お姉さんに触ってほしい、女同士のセックスというものを教えてほしい。色んな欲求が心の中に渦巻く。
「処女ねぇ……。イイじゃないか。ワタシが導いてあげるよ」
「お、お願いします……!」
 緊張から声が上ずり、お姉さんに少し笑われてしまったけど私は真剣だ。
「キスも初めて?」
「は、はい……」
「ならしないでおこう。上の口の初めては好きな人間とするといい」
 私の顎に手を当て、親指で下唇を撫でられ告げられた言葉に、私は深く考える前に“残念”だと思ってしまった。
 お姉さんの言うとおりなのは分かる。でも私はお姉さんにキスも教えられたい。
「全部……あなたに教えられたいって言ったら、笑いますか?」
 お姉さんと出会ってから私はおかしい。こんな大胆じゃなかったはず。
 私の言葉にお姉さんは片眉を上げると、いじわるっぽく口角を吊り上げて「いいや」と顔を近づけてきた。
 眼前に迫る赤。恥ずかしくて目を閉じればふわりとした感触とともに唇同士が触れる。ちゅぅ、と下唇を食まれ、少し開いた隙間から温かい舌が入り込んでくる。
「ふぁ……あっ、む……」
 唾液で湿った分厚い舌が私の舌に絡んできて口内を犯していく。上のざらざらした部分を舐められるとあまりの気持ちよさに体が反応してしまう。
 遠くのほうでゴトリとなにかが落ちる音がした。腰の重さがなくなったので剣帯を外されたんだと理解した。上半身も布の感触がなくなり、脱がされたことを知る。腰まで下ろされたみたい。
 さすが慣れてるなぁ、なんて思いつつもキスなんて初めてでやりかたを知らない私はあっという間に酸欠になって、お姉さんの胸を押すことで顔を離した。
「はぁ……はぁ……」
「小ぶりながら形がイイ。将来が楽しみだな」
 生理的な涙で視界が滲むなか、彼女が見つめている物を知って咄嗟に両腕で隠してしまう。恥ずかしくてお姉さんの顔を見ていられず、俯く。
「いまさら隠すなよ〜。これからもっと恥ずかしいコトするんだぜ?」
「だ……だったらお姉さんも脱いでください。私だけ……恥ずかしいです」
「ならキミが脱がしてくれよ」
 蠱惑的な笑みを浮かべながら私の手を取ったお姉さんはボタンへと導く。これを外して脱がせる。それだけなのに呼吸が乱れ、頭が変になる。熱い吐息が口から漏れ、興奮の涙がこぼれ落ちた。
 手を震わせながらもゆっくりとボタンを外し、お姉さんの肩へ手を伸ばす。服を肌から取り去ると極上のカラダが現れた。
 白い肌に女性的な肉付き。一番目を惹かれる胸は大きくて、形も整ってて、ふわふわだった。触りたいという欲求がずくり、と湧き上がる。
「おいで」
 お姉さんが両腕を広げて私を誘う。その誘惑に勝てるならそもそも私はここにいない。誘われるがままにお姉さんに抱きつき、肩口に顔を乗せると背中に腕を回した。
 むにゅりとお姉さんの胸が私の胸を優しく押し、その柔らかさに安心感を覚えつつも理性を奪う香りが鼻孔を擽り、正常な意識を奪っていく。
「んっ……! あぁっ……!」
 お姉さんの指が私の背中を撫でるとうっとりするような心地いい電流が走る。胸の先端同士も触れ合って弱いながらも気持ちよさを感じる。なにもかもが初めてな私はどうすればいいのか分からず、お姉さんに身を任せるしかない。
「キミはどこを触っても敏感だね。淫乱の素質がある」
「そんなこと、言わないでっ……!」
 ただ背中を撫でられているだけなのにビクビク体を震わせているんだから説得力なんてない。でも言わずにはいられなかった。
「キミみたいな子はじっくり調教してワタシ好みのオモチャにするのもいいんだが……ふふ」
「ひゃっ!?」
 なにか不安になるようなことを言ったかと思ったら私の体はぐるんと反転して今、お姉さんの脚の間にある。
 目の前には壁一面の鏡。そこに映るのは半裸の私と、そんな私を後ろから抱きしめているお姉さんの姿。
「こうすれば自分のいやらしいカラダがよく見えるだろう? ほら、もうここがこんなに硬くなってる」
「ぁ、そんなぁっ、んっ! ん、はぁっ……!」
 悪い毒のような甘さを孕む声で囁かれながら赤く腫れた突起を指先でなぶられ、知らない感覚に鳥肌が立つ。痛いのにもっと触ってほしいと本能が訴える。
「カラダをくねらせて……そんなにイイのか?」
「ふぁぁあっ!? だめ、だめですそんなぁっ……!」
「駄目じゃない。気持ちいい、だ」
「ひっ! い、いたい!」
 イイのか? と耳を舌で舐められ、大きな声が出てしまう。なにが駄目なのかも分からず否定すれば両方の飾りを引っ張られ、痛みに呻くのと同時に涙がこぼれた。
「イイ声で啼く……。サディズムが擽られるよ」
 ちゅう、と涙を吸われ、痛みを癒やすように優しく胸を揉まれる。ヒリヒリする乳首の刺激とマイルドな刺激が混ざり合って不思議な感覚が体を走り抜け、幸せな気持ちが溢れてくる。そっか。これが……。
「気持ち、いい……」
「そう。気持ちいい」
 よくできましたと頭を撫でられる。こんなふうに甘やかしてもらったことないから……この温かさに溺れてしまいそうになる。
 私より歳上の仲間もいるからたぶん、甘えたら受け止めてくれると思う。けどできない。私は団長だから。一人の女の子の前に、みんなを纏めるリーダーだから……。
 でもこの人は違う。私のことを知らないこの人なら甘えられる。むしろ甘えたい。
 体の力を抜き、お姉さんに寄りかかれば彼女はなにも言わずに腕を私の胸と腰に回し、強めに抱きしめてくれた。裸の触れ合いってこんなにも安心できるんだ……。
「甘えたいの?」
「甘えちゃ……駄目、ですか?」
「いいや。素直な子は好きだよ」
「ん、あっ……! そこ、はぁっ……!」
 腰に回されていた手が私の太ももを撫でながらスカートの中に消えていく。自分でもお風呂で洗うときにしか触れないところをショーツ越しに触られ、体をくねらせてしまう。
 ぐっしょりと濡れているのを確認するかのように数回撫でると、お姉さんの大きな手がおへその下辺りへ移動する。そこからショーツの中に侵入し、直接触れられるとぞくぞくと芯から込み上げるものがあり、はしたなく濡れた声が止まらない。
「自分でココを弄ったことは?」
「な、ない、です……」
「性的なこと全てが初めてなんだな」
 意外だと言わんばかりに驚かれる。だってしょうがないよ。私の故郷は閉ざされた島と言われる場所だもん……。性知識だってたぶん、同年齢の子たちと比べると乏しい。かと言って団員の人に教えてなんて言えない。
「はぁっ、はぁっ……っ、ふぁ、あァっ!?」
 繊細な指先がとある場所を摘むと体を貫くような快楽が走った。自分の身に起こったことがよく分からなくて目を白黒させているとお姉さんは鏡を見るように言った。
 恐る恐る顔を上げ、目の前の鏡を見る。そこに映るのは顔を赤くし、恍惚な表情をする私と赤い目で鏡の中の私を見つめるお姉さんの姿。
「脱いでしまおうか」
 お姉さんの両手がスカートの中に消え、ショーツを脱がされる。膝まで下ろされたショーツはクロッチ部分が濃い染みになっていて、羞恥心から自分の意志で脚から抜いて床に放った。ついでに履いていたブーツも脱ぐ。
 次はなにをするんだろうと待っていると、お姉さんは自分の脚に私の脚を引っ掛けるようにしてM字に大きく開いた。
 体勢が悪くなったために全体重をお姉さんに預けることになったけど彼女の姿勢は揺らがない。
 ベッドの縁に踵をつき、大きく股を開かされ、鏡には私のあそこが映し出される。まともに見ることなんてなかったけどこんな形してるんだ……。
 中心の小さな穴はヒクヒクしていて、濡れている。お姉さんの手が伸びてきて穴の上側の飾りを掠めるとそれだけで反応してしまう。
「ここがクリトリス。神経が集中していて快楽を得やすいところ」
「あぅっ! や、気持ちよ、すぎ……てっ……!」
 割れ目からだだ漏れ状態のぬめった体液を指で掬い、クリトリスに塗りつけられる。ぬるぬるした指で摘まれたり、左右になぶられたりして目の前に星が散る。背中が反り、頭がお姉さんの肩に乗ってしまう。
 お姉さんは素直な反応が好きみたいだから与えられる快楽を我慢することなく体と声に反映する。もっと褒めてほしくて、恥ずかしさなんてもうなかった。
「ひゃぅぅっ! なにかきちゃう! 怖い、怖いよぉ!」
 下半身を中心に凄まじい快感が走り、頭の中に火花が散る。なにも考えられなくなり、訳も分からず首を振る私の耳に湿っぽい吐息と共にお姉さんが新たな道しるべを示してくれた。
「大丈夫。なにも怖くない。オーガズムを迎えるときは“イク”って言うんだ」
 甘やかな熱を孕む大波に押し流されそうになりながらお姉さんの言葉を理解しようとする。
 今こうしている間にも膨らみ続けている風船が弾けるのがきっとオーガズム。そしてそれを迎えたらイク。
 甘い甘い砂糖の海に溺れ、獣のような息を繰り返しながらもがく。底に引きずり込もうとお姉さんの指の動きが激しくなり、口を塞がれる。唾液をぼたぼた零しながら舌で愛し合う。
「いくっ……! イッちゃ……! やっ、も、イくっ、イクーーッ!!」
 快楽を詰め込んだ風船が弾け、下半身を中心にぶわりと淫らな熱が広がる。体の境界線が分からなくなるほどに蕩けてしまいそうなくらい熱い、熱い……。
 鏡の中の私は生まれたての子鹿のように震え、お姉さんは面白そうにそれを見ている。
「ちゃぁんと言えたな。いい子いい子。それにしてもすごいイキっぷりだ。ワタシも昂ってきたよ」
 お姉さんに褒められ、撫でられて自然と顔がほころぶ。
「──さて。次はキミの処女を貰うとしよう。マァ、男みたいにするわけじゃないからキミの考えかた次第では処女のままさ」
「ふ……っ、」
 余韻に浸っているとお姉さんの指が小さな穴に伸びる。ちゅく、と中指がゆっくりと侵入してくるのが鏡越しに、そして内部からの感覚で分かった。
 お姉さんのしなやかな指が私の中に入ってくる。たくさん濡れているせいか痛みはなかった。感じるのは異物感だけ。
 呆気ないほどにハジメテを奪われたけど体の奥底から多幸感が溢れる。お姉さんは私の考えかたによっては処女喪失じゃないと言ってくれたけど私はあなたの手で喪失したと思いたい。
「ハァ……その顔、やはり初物はいい……。未知の行為に期待と不安が織り混ざったイイ顔をする」
「ん、あっ……はぁ……」
「痛い?」
「痛くない、です……」
「フフッ。ならもう一本イけるな?」
「ああっ……!」
 ずぷり。と、人差し指が追加された。お腹の中が苦しい。でもお姉さんがナカを触ってくれて嬉しい。歓喜の涙が頬を流れる。
「うぶっ!?」
 空いているほうの手が私の口の中に入り込む。親指、人差し指、中指で舌を掴まれ揉まれる。上も下も弄られて私の思考回路は焼き切れる寸前だった。
 じゅぷじゅぷと粘着質な音が聞こえるけどどっちの音なのか、それとも両方? もういいや。どっちでもいい。お姉さんの指に集中しよう。
「ひっ!? ひょこ、ひもひいいれふぅ……!」
 根本までナカに埋まっている指がお腹側を擦ると異物感が快感に変わった。私の訴えを聞いたお姉さんはそこばかりを刺激するようになり、あまりの気持ちよさに腰が浮いてくる。
 またさっきと同じように風船が膨らんできたけど今度は尿意も感じる。駄目、こんなところで漏らすわけにはいかない!
「ひゃめぇ! もれひゃう! やらぁ!」
「尿か? それとも潮か? フフ、なんでもいい。出すモンは出しちまいな。我慢することはない」
「ふぅ゛ぅっ! まひゃ、まひゃ、イッひゃうぅぅううっっ!!!!」
 閉じた目の裏側にバチバチと閃光が散り、下半身からなにかがプシャッ! と勢いよく吹き出す。強めの痙攣とともに何度か体液がピュッ! ピュッ! と吹き出し、全てを吐き出すと体の力が抜け、ぐったりすると口から指が抜かれた。
 支えをなくした唇が閉じ、気だるけに両目を開けば鏡に映る私は唇の隙間から唾液を滴らせ、体は微弱ながらも未だに震えていた。
「まさか潮を吹くとは……ハジメテとは到底思えないな。なあキミ、もう少し頑張れそうか?」
「がんばる……もっとお姉さんと、シたい……」
「くくっ……ハハハハハッ! ついさっきまで処女だったとは思えないほどの淫乱さだ! いいぜ、熱く絡み合おうじゃないか!」
 ベッドに放り投げられ、血のように濃い色の目を爛々とさせて興奮しているお姉さんが覆い被さってくる。
 呼吸を奪うような荒々しいキスに胸を揉む力も強い。でもそれが気持ちいい。お姉さんになら、なにされても嬉しい……。
 とろとろに溶けてしまった頭では、もうなにも考えられなかった。
「ふぁっ、お姉さん、おねえさぁん……んむ、ちゅ、ふっ、あ、」
「腰が動いてる。そんなに欲しいのか?」
「欲しい……お姉さんがほしい、ですっ……!」
 繋がっていた口が離れればお姉さんと私の唾液が絡み合って、私の口の中に消えていく。お姉さんが欲しくてたまらない私はそれをしっかりと飲み込み、体の中に収める。たったそれだけで頭の中が痺れて視界が潤む。
「じゃあ今度はソドミーの快楽を教えてあげよう」
「ソドミー……?」
「色んな意味があるがこの場ではオーラルセックスだな」
 疑問を浮かべる私を見てお姉さんは笑うと、べろりと舌を出した。他人の舌なんてこんなふうに見たことないけど、少なくとも私の舌よりかは長いと思う。
 さすがの私もここまでされればなんとなく分かる。たぶん、その舌であそこを舐めるんだと思う。それがオーラルセックス。
 唾液に濡れて妖しく光る真っ赤な舌。それが私のモノを舐める。想像してお腹の奥がキュン、となった。
 指でも気持ちよかったのに、舌で触れられたら……ああっ、まだなにもされてないのにえっちなお汁が股の間から溢れてきちゃう。
「ワタシの舌は好評でね。キミに耐えられるかな?」
 頬を舐め上げられて、その感触に鳥肌が立つ。体をこわばらせる私を見てふっ、と目を細めて笑うお姉さんの顔は捕食者のソレだ。
 お姉さんが体を起こすと私の脚を大きく開いて腰を持ち上げ、そのまま折り畳んだ。自分の恥ずかしいところが目と鼻の先にある。
 体勢からして苦しいけど、それよりかもあまりの羞恥心に目を逸したいのに、お姉さんのギラついた瞳からは逃げられない。その気持ちがあそこにも現れているのか、ひくひくと穴が開いたり閉じたりしている。
「あ……あぁ、そんな、わたし、」
「よく見るんだ。まだ舐めてもいないのにこんなに蜜を溢れさせて……」
 お姉さんの言うとおり、奥からイヤラシイつゆが溢れて止まらない。お腹の奥もじんじん熱い。滲む視界。
「ひぅ……う……!」
 お姉さんの顔が割れ目に近づく。吐き出した息が当たり、たったそれだけで震えてしまう。早く触ってほしい、気持ちよくなりたい。
 情欲にまみれた想像をしているとお姉さんと目が合った。レッドスピネルのまなこが私を見つめている。
「ひ、ぃ……あぁぁっ……!」
 長くて厚い舌が秘所を舐め上げ、声が引き攣る。背中に甘い電気が走って腰が引けてしまう。だけどお姉さんが両手で私の太ももを抱え込み、自分のほうに引き寄せて固定したために動けない。
 お姉さんの舌先から滴る唾液が私の体液と混ざって溶けていくのを見ていると次は舌を尖らせ、小さなびらびらを小刻みに刺激し始めた。
 下半身から広がる痺れにも似た快楽に悲鳴を上げながら体は逃げようとするけどそれは叶わない。
「ふぁぁぁっ! んぁッ、や、やめ、ひぅ、う、ぅぅッ……!」
 気持ちよすぎておかしくなる。あそこがじんじん熱くて訳が分からない。頭の中が明滅し、その切り替わりのスピードが速くなる。
 この感覚は覚えている。さっき教えてもらったばかりだもの──。
「こんなに押しつけて……もっと欲しいのかい?」
「き、ひぃっ!? だ、だめ、だめぇっ! 喋らないでぇっ!」
 言われて気づく。お姉さんを引き剥がそうと頭に伸ばした手はもっと欲しいと言わんばかりにあそこに押しつけていて、恥ずかしいところにぴったりとお姉さんの口が当たっている。
 その状態で喋られたら口の形が変わる度、呼吸をする度にナカが切なそうに収縮を繰り返して彼女を求めてしまう。
「や、あ、あァっ──しっ、舌がぁっ……!」
 ナカに感じる異物。指と違って柔らかくて長いそれは私の内部を舐め回し、あまりの快楽に涙が溢れる。シーツを力いっぱい握ることで切れてしまいそうな意識を繋いでいる状態。このままじわじわとされ続けたら私、どうなっちゃうの?
「っあ、ぁあ……! ン、あっ……! また、イッちゃう……!」
 下半身が電流を流されたみたいに震えて止まらない。どこまでも卑猥な感覚に本当におかしくなってしまいそう。
 お姉さんは私がイキそうになるのを見て、脚を押さえつける手の力を込めた。痛いけど今はそれさえも快楽のスパイスになる。
 悶えていると、急にどこかでなにかが切れるような音がした。その瞬間内部が思い切り締まり、体から力が抜ける。思考能力も溶かされ、なにも考えたくない。ただこの身を駆け抜ける甘美さに酔っていたい。
 ずるり、とお姉さんの舌が引き抜かれ、口周りは粘着質な体液で汚れている。──綺麗に、しないと。わずかに残った思考能力で考え、私は自由になった体を起こすとお姉さんの頬を両手で包んで引き寄せた。
 自分の舌を出し、ぺろぺろと舐める。その姿は飼い主に甘える犬のようなものなんだろうな。
 お姉さんが口を開けると唾液の糸がいやらしく繋がって、切れる。さっきまで私のナカに入っていた舌を伸ばし、私はそれを口に含んだ。
 ちゅるっ、ちゅ、ちゅぱっ、ちゅぅ。
 お姉さんの温かい舌を吸い、自分の舌と絡めると後頭部に心地よい痺れが走る。目を閉じてそれに浸っているとお姉さんの舌が離れていってしまった。それが寂しくて目を開ければ、繋がっていた証がお姉さんの胸に垂れた。
 改めて見るとお姉さんのおっぱい、本当に気持ちよさそう……。
 気づけば両手で触れていた。少し力を入れるだけでむにゅりと形を変え、汗ばんだ肌が手に吸い付いてくる。触っているだけなのにまたお腹が熱くなって、私は脚を擦り合わせた。
「お姉さんのおっぱい、柔らかくて気持ちいい……」
「フフ、そうだろう? あの人、肝心なところは適当だったりするのにこういうところは細部にまでこだわって……あぁ、気にしなくていい。コッチの話だから」
 そう言うお姉さんの顔は寂しそうで、遠いどこかに思いを向けているようだった。今の話の内容は私にはチンプンカンプンだけど、詳しい説明はないみたい。
 そうだよね。だってこれは一夜の関係だから。別れたら、もう終わり。私が自分の名前すら話さないように、お姉さんも自分のことを話す必要はない。
 白い双丘に映える綺麗な色をした乳首をぱくり、と食むとお姉さんは少しだけ声を出してくれた。それだけで私の女の子の部分は反応しちゃう。
 ちゅうちゅう吸っていると赤ん坊に戻った気分になる。
「そんなに吸っても母乳なんて出ないぜ? ──そうだ、こうしたらもっと赤ん坊みたいになるな」
 喉の奥で笑ったお姉さんは軽々と私を横抱きにして、今まで吸ってたほうの胸に顔を押し付けてきた。
 唇に触れる硬い尖り。拒否する理由なんてない。大きく口を開けて食べ、舌で転がす。
 これは私がお姉さんを攻めている……というよりかは奉仕の気持ちが強い。私をたくさん気持ちよくしてくれたのだから、私もお姉さんに少しでも気持ちよくなってほしい。
「んむぅ!? ひゃ、そ、そこ、触られたらぁっ……!」
 愛液が太ももを伝うほどにしとどに濡れたあそこをお姉さんの指が撫で、指でたっぷり掬った蜜をクリトリスに塗りつけられると体を貫く快感に頭がおかしくなる。
「可愛いね。ついさっきまでヴァージンだったのに今ではもうこんなにクリトリスを大きくさせて。……今夜キミを誘って正解だったよ。たまには蕩けるような甘い快楽の坩堝にオンナノコを堕とすのもイイ」
 円を描くように触れていた手は離れ、中心の割れ目に入ってくる。やっと戻ってきてくれた。もう離したくない。そんなふうに思うほどナカは彼女の指を締め付ける。
「あっ、そこ、そこきもちよくてっ、はぅ……うっ……」
「容易く二本呑み込んでいるね。もう一本増やしてあげよう」
「あ──あっ、も、お腹、いっぱいでっ……! 苦しいのに、お姉さんがもっと欲し、んんぅ……!」
 頭を支える腕をぐい、と上げられ、唇を塞がれた。口内粘液によって湿った舌が縦横無尽に暴れ回る。窒息してしまいそうなくらいに激しいキスで頭が痺れてくるけど、私は途方もない幸福感を感じていた。
 今までの人生で感じたことのない感覚。こんなものを知ってしまったらもう戻れない。お姉さんの手で少しずつ、でも確実に私は変えられている。
 下は細いとはいえ三本も指を咥え、上も塞がれ、絶え間なく攻められてあっという間に全身から力が抜ける。ふわふわした不思議な感覚に浸っていると、お姉さんの濡れた手が私の顎を乱暴に掴む。ちょっと痛いけどキモチイイ。
「いいねぇ、そのトロットロな表情。サディズムが刺激される。フフ……もうワタシ以外とセックスしたいなんて思えなくなるほどの快楽を叩き込んでやるよ、人間」
 ちかり、とお姉さんの二つの真紅が光り、私の意識は弾けた。

「う、ん……」
 ぱちり、と目を開くと目に入ったのはいつもの天井だった。窓からは太陽の光が入り、朝を告げている。……あれは夢だったの? そう思ってベッドから下りると私の服は抜け出したときのままだった。
「あ……!」
 理解したことで気づく体の違和感。お姉さんに組み敷かれたあと何度も、何度も体を重ねて、混ざり合って──どうやって戻ってきたのかは覚えてない。
 艇内の静けさからして特に騒ぎにはなってないみたい。それだけはよかった。
「お姉さん……」
 また、会えるかな。名前も知らない綺麗な人。その人の手で私は変わってしまった。もう昨日までの自分には戻れない。
 彼女を思い出してじんわりと、下腹部が熱くなった。