バレンタインに甘く蕩けて

(はぁ……今年はゼロチョコか……。いやいや、ジータだって依頼が立て込んで忙しかったんだ。しょうがないって)
 あと少しすれば日付が変わる頃、グランサイファーの一室にて。入浴も終え、あとは眠るだけなので楽な服に着替えているヴェインはベッドでうなだれていた。
 今日はバレンタインデー。男ならばそわそわしても当然な日である。そしてこの男、ヴェインもそんな者のひとり。
 あれはいつのことだったか。バレンタインデーにジータからチョコを貰い、それから毎年のようにチョコをくれる彼女との関係は今では団長と団員を超え、俗に言う“恋人”に収まっていた。
 他の誰にも貰えなくてもジータからは必ずチョコを貰えるという考えにヴェインはなっていたが、今回のバレンタインデーはいつもと少し違っていた。
 朝から依頼が多く、団長としての仕事が次から次へと舞い込み、単純に時間がなかったのだ。きっと今頃ジータは疲れて眠っているはず。
(駄目だな。起きてるとチョコ……というか、ジータのことばかり考えちまう)
 数年ぶりのゼロチョコに少しばかり寂しさを感じながらも、このまま起きていても思考の迷宮に迷うばかりだと考えを切り替え、無理やりにでも寝てしまおうとしたとき。控えめなノック音が響いた。
 周りの人間への配慮なのかとても小さな音だが、ヴェインの心臓が跳ねる。木製の扉の向こうにいる人物を想像してどうしても期待が膨れてしまう。
 緊張の面持ちのまま、ごくりを喉を鳴らすとベッドから立ち上がり、ゆっくりと扉へと近づいていく……。

   ***

「こんばんは、ヴェインさん。……もしかして寝てました?」
「ごめん。ちょっと考えごとしてて……! とりあえず入ってくれ」
「お邪魔しまーす……」
 扉が開くのが遅かったため、もしかして……と申し訳なさそうに眉をハの字に下げながら小首をかしげれば、ご主人様の登場に一気に明るい表情になったわんこ系男子に部屋の中へと招かれた。
 ぶんぶんと勢いよく左右に揺れる尻尾が見えるかのように嬉しそうな彼に、ジータの気分も自然と明るくなる。口元には無意識の内に笑顔が浮かび、優しい気持ちが溢れていく。
 当たり前のようにベッドの端に座ると、ヴェインも隣に腰掛けた。がっしりとした身体はこうしてそばにいるだけで包まれるような安心感がある。ジータがヴェインに抱く好きの一つでもあった。
 ああ、多少無理をしても来てよかった。そう心から思える。
「手作りしていて遅くなっちゃいましたけど……まだ日付が変わってないからセーフですよね? ヴェインさん。これ、受け取ってください」
 ポケットから小さな箱を取り出す。可愛らしいラッピングが施されている中身はヴェインのためだけの本命チョコ。
「チョコレート……! 忙しかったのにわざわざ俺のために作ってくれたのか……!?」
「約束しましたよね? 毎年チョコを贈るって」
「……! 本当にありがとう、ジータ」
 ジータから箱を受け取ったヴェインは手に持つ箱を愛おしそうに見つめる。疲れているはずなのにわざわざチョコを作ってくれたジータの気持ちが心の底から嬉しいのか、そのまなじりには薄っすらと雫が溜まっている。
「ところでヴェインさん。私以外の人にチョコ貰ったりしましたか?」
「そんなわけないって! ランちゃんならまだしも……。俺にチョコをくれるのはジータだけだよ。だから今年はゼロチョコかもって思ってたんだ」
「ふふっ。そっか」
 ヴェインの返答にジータのえくぼが深くなる。彼のことを一人の人間として愛している身としてはやはり嫉妬心はあるわけで。
 彼は優しいから渡されたチョコを断るということはできないだろうし、自分以外の誰かに貰ったという妄想をしただけで胸が重く、苦しくなる。
 少し意地悪な考えかもしれないが、彼のバレンタインチョコが自分の贈った一つだけという事実に安心してしまう。
「食べさせてあげる」
 ヴェインが持ったままの箱を開け、一口サイズのハート型のチョコを摘むとそのまま彼の口へと持っていく。恥ずかしそうにしながらもヴェインは小さく口を開けてくれ、その中にチョコを押し込む。離れる際に唇の感触を確かめるように人差し指の腹で軽く触れたが、彼は口の中にあるチョコに夢中で気づいていない。
 少々かさついた唇ながらも、ふにっとした感触はジータに至上の幸福をもたらす。この人のことが好きで、好きで、好きすぎて。どうにかなってしまいそうだ。
「ん〜〜っ! ちょっぴりビターな味に口の中でほどける食感が癖になる〜!」
 真夏に咲き誇るひまわりのように快活な笑顔。美味しい美味しいと言いながら一つ、また一つとチョコを食べていくヴェインを見ているとジータの中で劣情がムクムクと顔を出す。
 もごもごと動く口。服を押し上げる分厚い胸板。しっかりと筋肉のついた太い脚。
 見ているだけで唾液が口の中に溢れ、呼吸も徐々に熱く、荒くなっていく。
 全身の血が下半身に集まっていくような感覚。ドクンドクンと脈打ちながら重たいその身を起こしていく。
「ん? どうしたジータ……、あ……」
「……ごめんなさい。勃っちゃった……」
「えっ、えぇっ? そんな要素あったか!?」
 隣に座る少女が自分のことをジッと見つめてくるのに気づいたヴェインは彼女のとある一点から目を離せない。
 その理由は一目瞭然。彼女の股間には女性ではあり得ない山が盛り上がっていた。
 ジータは女性器と男性器を持つふたなりだった。ヴェインもそれを承知の上で恋人になったが、やはり今の雰囲気にそういう気分になってしまう要素が見つけられないため、戸惑ってしまった。
 それでも熱っぽい顔と目、苦しげな様子を見て放っておくという薄情なことをする男ではないため、ヴェインは数秒逡巡し「よしっ」となにかを決めた様子を見せると、ジータを引き寄せつつ脚をベッドに引き上げた。
 ヴェインの行動によりジータは現在彼の脚の間にすっぽりと収まり、その頬にはムチッとした柔らかな膨らみが当たっていた。男の大きな片手はジータの腹部に回され、残りの手は股間へと伸びている。
 スカートの上から撫で撫でしてくる手にジータの腰が切なげに揺れた。
「ヴェインさん……上脱いで……」
「っ……分かった」
 潤んだ瞳で上目遣いでおねだりすれば、ヴェインは分かりやすく赤面しながらもジータの言うとおりにする。
 現れる筋肉質な身体。割れた腹筋はとても男らしく、力を入れていない状態だと意外と柔らかい双丘の中心は見ているだけでしゃぶりたくなる。
 頬を胸に押し付ければ感じるふんわり肉感にジータは湿った息をこぼす。また、体温も高めなのでこのまま寝てしまうのも……という考えが一瞬浮かんだが、腰にまとわりつく重たい感覚を解放したいという欲望の方が強かった。
「ちゅ……ちゅっ……ヴェインさんのおっぱい……」
 目と鼻の先にある薄紅色の尖り。それを吸わないというのは逆に失礼に当たりそうなくらいにジータにとっては魅力的なモノだった。
 赤子が母親の乳をねだるように優しく咥え、乳輪ごとちゅうちゅうと吸い上げれば、それだけで安心感が湧き上がるのだから不思議だ。
「っ、は……男の胸なんて吸ってもっ……! くうっ……!」
 強弱をつけながら吸引し、段々と主張してきた乳首を小さな少女舌で押し潰しながらコリコリとした触り心地を堪能する。優しい乳愛撫が続くなか、時折歯を立てればヴェインの大きな身体がビクッ! と跳ねた。それがまた愛おしい。
「ねえヴェインさん、このままおちんちん触って……」
「本当に好きだよな、俺の胸吸いながら手でされるの……」
 苦笑しながらもヴェインは嫌がることなくジータが望む行為へと挑む。
 彼の大きな手がスカートの裾を捲れば、桃色ショーツからは巨大なきのこ傘が顔を出していた。
 かわいい女の子にしては極悪なカリ高ちんぽの圧倒的な存在感をヴェインは何度も見ているが、やはり緊張してしまうのか表情にはこわばりが感じられる。
 鈴を想像させる先端からは我慢できないと訴えるように透明な汁が滴っており、欲望の解放を今か今かと待っていた。
「下着おろすぞ」
 そう言って下着に両手を伸ばす彼の顔は童貞のように──実際童貞非処女なのだが、真っ赤になりながらジータの陰部を守る布を下げれば、ガチガチに屹立する砲身や重たそうにぶら下がる陰嚢が露わになる。
「ねえヴェインさん。今日は両方触ってほしいの……」
「お、おう……」
 乳しゃぶりを一旦やめて喋るジータだが、その吐息が敏感になっている尖りにこそばゆい快楽を与え、ヴェインは声を上ずらせながら竿と玉を握った。
 男の手でようやく一周できる巨砲を上下にこする動きは単調なものだが、ヴェインがオナニーするときの手の動かし方と想像すると信じられないくらいに気持ちがいい。
 ヴェインの体温に包まれ、先走りで濡れた手が動く度にじゅぷっ♡ じゅぷっ♡ と艶やかな音が鳴る。淫乱気分が際限なく上昇していき、それはふたなりペニスの硬度をさらに高めた。
「どんどん硬くなってる……気持ちいいのか? ジータ」
「うん♡ ヴェインさんの大きな手でぐちゅぐちゅされるの気持ちいいのぉ♡ んちゅっ、おっぱいもコリコリしておいひぃ……♡♡」
「っ……っ……!♡ 乳首っ、両方はやばいって……!」
 腫れぼったい乳蕾を吸い上げ、残りの乳頭も指先で摘んだり、親指と人差し指で押し潰すように挟んだり、カリカリと引っ掻けば彼の身体が分かりやすく震える。
 ジータから与えられる快感に悶えつつも決してそれに溺れず、手淫を継続する彼の献身力の高さに射精したいという欲が急速に高まっていく。
「あぅぅっ♡ 先っぽぐりぐりダメぇぇ〜♡」
 竿を扱きながら親指で先端を弄られ、玉も優しく揉み込まれると痺れるような快楽が襲い、甘い少女声で啼きながら腰が勝手に揺れてしまう。
 大好きな人の手で、大好きな人の胸を吸いながらの行為はジータに多大な幸福感を与え、絶頂へと一気に押し上げる。
「あぁん♡ あんっ♡ もうだめいく……イクっ……♡ ヴェインさんっ♡ 私のイクところ見ててっ……!♡♡」
 とろとろに蕩けた雌顔をしながらジータの下半身がカクカクと揺れる。ヴェインもジータのお願いに関係なく下半身に視線が釘付け状態。まるで自分のを扱いているように息を荒げ、腕の中の少女の欲望を解き放つために一心不乱に手を上下に振る。
「はひゅぅぅぅ♡ ふぅぅ♡ はぁっ、んぁぁ……! でるっ、うぅぅぅぅッ!!」
 ジータが腰を上へと突き出すとヴェインの手の中で白濁が弾け、肉棒の脈動とともにびゅるびゅると体液が吐き出された。
 ねっとりとした大量の精液は男の手をまたたく間に白に染め上げ、窓から差し込む月明かりが淫らに輝かせる。
 ぐったりと寄りかかるジータを受け止めながら、ヴェインは搾り出すようにさらに淫棒を扱き上げる。
 イッている最中だというのにやまない刺激。ジータは快楽の涙で顔を濡らし、いやらしく身体をくねらせつつもヴェインの手コキに矮小な穴からは喜びの白残滓を噴き出した。
「少しはすっきり……できてそうにないな」
「ヴェインさん……次はヴェインさんのナカに挿入はいりたい……」
 熱せられた空気がほんのりと冷え、ヴェインは声をかけるも、手の中にある陰茎の硬度は衰え知らず。苦笑しながらその先の展開を予想していると、ジータの口からは彼の思った通りの言葉が出てきた。
 ヴェインはジータよりも少しお兄さん。その年齢差がジータに対する“可愛い”という感情をさらに煽り、そんな彼が出す答えはただ一つ。
「嬉しい……! ありがとう、ヴェインさん」
 ジータの顔をしっかりと見ながら頷く彼の面持ちは緊張と、彼女に教え込まれたアナルセックスの快楽を期待していた。
 彼の了解を得たジータはヴェインをうつ伏せにすると手慣れた様子で彼の下半身を隠す布を脱がし、全裸にする。
 月光に照らされる肉体は後ろから見てもたくましく、美しい。特に二つの山は丸みを帯びており、思わず鷲掴みしてしまう。
 手に吸い付く尻肉の触り心地は胸と比べるのが悩ましいほどに良く、手の中で形を変える尻たぶを熱心に見つめているとヴェインからは羞恥心を訴える言葉が漏れた。
「ふふっ、ごめんなさい。ヴェインさんのお尻の形、結構好みで……」
 茶目っ気たっぷりな声音で小さく笑いながらも、ぐにぐにと揉む手は止まらない。
 ヴェイン本人に自覚はない魅力的なヒップを堪能しつつ、その奥に隠された窄まりを見るために媚肉を開帳すれば慎ましやかな穴がひとつ。それを見て思い出すのは彼の締め付けの強さと胎内の温かさ。
 特に体温は彼と混ざり合っていくかのような感覚に陥り、本当にそうなってしまえばいいのにという危険な域まで感情が暴走してしまう。
 痛みを感じるくらいに勃起し、我慢の限界までくるとジータも生まれたままの姿になり、まずは尻谷間に分身を擦り付けた。尻を乳に見立てながら煽るように押し付ける度に彼の肌との触れ合いに視覚的興奮があふれ、健康的な色をした臀部を白に──自分色に染め上げたいという暴力的な欲望が心を突き上げる。
 薄っすらと白が混ざる体液がローション代わりになって滑りがよくなってきた。彼のナカで果てたいと思っていたが、程よい尻圧快楽にこのまま射精するのもありかも……と考えていると、ヴェインの腰がもどかしそうに揺れる。
「な、なあジータ。その……入れないのか……?」
 バックの体勢かつ、枕に顔を埋めてなのでジータからはヴェインの顔は見えない。しかし彼が挿入を強く望んでいることは容易に理解できた。
 最初の頃は受け入れるのに精一杯だった彼。だが排泄するための穴がジータによってもう一つの性器へと変えられてからは尻穴快楽の虜になってしまった様子。
(どうしよう……今のヴェインさん、すごくいじめたい……)
 どうも彼に対してはSの気質が出てしまう。
 ジータは彼から見えないのをいいことを悪戯っぽい笑みを浮かべると、その大きな背中の中心を人差し指で撫でた。
「ねえヴェインさん。エッチな言葉でおねだりして……?」
「っ……! …………ジ、ジータの、その……デカイちんこを俺の中に、ぃ……入れて……く、れ……」
「ん〜。その言い方も可愛くて好きだけど今回はもうちょっと下品な言葉で淫乱めに言ってほしいなぁ。あ、私の方をちゃんと見て言ってくださいね?」
 普段は品行方正なジータではあるが、ヴェインとの蜜事は別。大好きな彼のいやらしい姿を見たいがために彼の限界のラインを慎重に探りながら、欲深い夜に溺れていく。
 ヴェインもジータと同じように恋人を大切に想っているため、彼女のためならばとぎこちない動きで振り向き、口を開けたものの言い淀む。
 だが本人もこのままの状態はつらいのか、意を決するとその口を開く。
「ジータの……ジータのふたなりちんぽを俺のナカに挿入いれてっ、腹の奥の奥まで精子ブチ撒けて……くれっ……!」
 自ら尻肉を横へと開き、杭を打たれるのを今が今かと待っている牡穴をさらけ出す。
 言葉はまあまあだが、恥ずかしさと身体の疼きによって潤んだ瞳でのおねだりはジータの背中に背徳的な媚電流を流し、自然と口角が上がってしまう。
「はい! いいですよ♡」
 甘えた声を出すと後孔に肉鈴を押し付ける。肉の穴に軽くめり込む槍の先の姿はまるでキスをしているかのよう。
 数回後孔とキスをしたのち、ゆっくりと腰を落としていき、狭い穴を割り開いていく。
 もう何十回とジータの昂りを受け入れてきた菊門は巨大な肉塊をすんなりと迎え入れ、性器がヴェインに包まれたことでジータは満足そうに深い息を吐き、背後から密着すると抱きしめるように彼の胸へと両腕を回す。
「はーーっ……うッ……。どんどん、挿入はいってきてるっ……!」
「ヴェインさんのお尻あったかくて、おちんちん溶けちゃいそう……はぁぁ……♡」
 極悪な魔羅が腹の中を満たしていく感覚にヴェインは眉をきゅっと寄せ、苦しそうだ。
 反対にジータは堕ちきった表情でわざとヴェインの耳に向かって湿った息を吐き出し、自分よりも大きな身体が震える様子に内心彼への可愛らしさを募らせる。
 そんなことをしていれば太茎はみっちりとヴェインの雄肉の奥深くまで入り込み、腰を小刻みに揺すれば組み敷く彼からは控えめな嬌声。
「もっと声、出してもいいんですよ?」
「は、恥ずかしいからむり……、うぁっ、ン、ンッッ!」
 囁やけば耳まで赤くし、今にも消え入りそうな声量でやんわりと断られるが、その決意を崩すかのように彼の尻谷間に下半身を何度も押し付けて両手で乳嘴にゅうしを引っ掻けば、枕に顔を押し付けながらヴェインは悶える。
 肉縁にも力が入り、その心地よい締め付けは気を張ってないと思わず射精してしまいそうなくらいだ。
「はぁ……。すぅぅ〜……。ヴェインさんいい匂い……」
「ぁ、う……ぐぅ……! ちょ、ジータ……! 匂い嗅がなくていい……から……っ!」
 顔を首筋にうずめればほのかな汗の香りに石鹸の清潔な匂い、彼自身の幽香ゆうこうに心臓が興奮に脈打ち、性的な気分が盛り上がる。
 好きな人の香りは媚香となって全身を駆け巡り、雄穴を甘く犯す滾りがさらに巨大化し、ヴェインを陥落させていく。
 普段は正義感の強い少女の変態的行為に言葉でこそたしなめているが、彼の瞳の奥には確かな熱が宿り、本心からの言葉ではないことは明白。
(ああもう射精したい……! ……そうだ)
 胎内の肉が雌肉棒に絡みつき、ちゅうちゅうと吸い付いて放さない。手コキによって射精したばかりだというのにもう新たなザーメンがせり上がる感覚に、ジータの脳内は射精したいという欲望が埋め尽くす。
 このまま解き放ってしまおうかとも思ったが、どうせなら彼の顔が見たいと本能で感じたジータは一旦抜去すると大男の重たい身体を軽々と反転させ、正常位の形をとった。
 向き合う体位になったことで見えた彼の顔は朱に染まり、目は快楽に濡れ、恥ずかしさゆえに顔を逸らしている。
 汗ばんだ男の身体に凝り固まった乳首、痛いほどに勃起している竿は悦楽を得たいと訴えるようにビクビクとその身を震わせていた。
「……いつも受け身になってくれるけど、ヴェインさんは私に挿れたいとか思わないんです?」
 ヴェインの脚を大きく開き、ぽっかりと不自然に大口を開けたままの肉の輪に剛直を突き入れる。赤くぽってりとした口は瞬く間に亀頭を飲み込み、牝竿も容易く包んでいく。
「あッ……! ぅ、そっ、それは……その……俺も男だからそういう欲がないかと言われると嘘になる……けど、やっぱりジータの年齢を考えると……」
 こうして身体を重ねるようになりそこそこ経ったが、ヴェインがジータに挿入することは一回もなかった。前戯で身体に触れることがあっても女の方には触れてこない。男の方ばかり。
 互いに想い合っているとはいえ年齢的な負い目がヴェインにはあったのだ。ジータもそれが分かってるので今まで黙っていたが、思い切って聞いてみれば予想通りの答え。
 年齢を気にするのならば肉体交渉はどうなのだという話になるが、ふたなりの性欲が強いことを理解してくれているからこそ、自分が挿入される分にはいいとヴェインは考えてくれたのだろう。どこまでも優しい人。
(……結婚しよ)
 ジータのヴェインに対する愛情ゲージがマックスを超えてオーバーしてもなお、留まるところを知らない。
 ヴェインを異性として意識し始めたときから将来絶対に一緒になろうと決意していたジータだが、改めて結婚を意識する。もう絶対に逃さないという執着心が彼女の中に芽生えているとはヴェインは露知らず。
「はぁ……はぁ……俺よりもデカいんじゃないか? ジータ……」
 ジータに何回も挿入されているヴェインではあるが、やはり巨大なイチモツが身体の中に入ってくるのは苦しい。それは彼の手に握られ、いくつもの皺になっているシーツが物語っている。
「ヴェインさん。島によっては十五でも成人なんですよ? でも……私が一般的な成人年齢に達するまで挿入はしない、代わりに自分には挿れていいって考え、好きです」
「あっあぁぁッ……!! 待ってジータもっとゆっくり……!」
 下半身をぶつければ肌と肌がぶつかる乾いた音が響き、ヴェインは肉悦に酔う。待ってと言うその顔はだらしなく蕩けており、ジータ以外には誰にも見せられない表情だ。
 甘泣きをしながら抽送に合わせて女のような声を上げる彼は雄というよりかは雌。ジータ専用の肉オナホ。
「ヴェインさんのナカすごく気持ちいい……腰が止まらない……!」
 太肉を離そうとしない肉壺は腰を引くときでさえ絡みつき、行かないでと訴えてくる。出しては入れて出しては入れて。その繰り返しだというのに結合部を見ているだけで心臓が痛いくらいに興奮し、それはさらにヴェインを求める気持ちへと変換される。
「ちゅっ、ちゅぅ……キス、ひながらだとぉ……もっときもちぃ……♡」
 倒れ込めば手や脚がジータへと回され、それがヴェインも求めてくれているのだと分かってもう爆発寸前。彼の首に両腕を回してぎゅうぎゅうと抱きつきながら口の中へと舌を突っ込み、濃厚に絡ませれば激しい快楽電撃がジータの身体を走る。
「はぁ……うぅッ……♡ ジータ、イキそうなのか……?」
「うんっ♡  うんっ♡ ヴェインさんっ、もっとぎゅうって、抱きしめて……っ、ンっ♡♡ しゅきぃ♡♡、ヴェインさんだいすき──あぁぁぁあんっ!! いっぱいっ、射精てるぅ……♡ ヴェインさんのナカにびゅーっ、びゅーっ、って♡♡」
「ッ゛……ッ〜〜〜〜!!!!」
 大量中出しに小さな身体を抱きしめる手足の力が強まる。正直痛いくらいだが、今はこの痛みさえも甘美なモノとなってジータの心身を満たしていく。
 仮にヴェインが女ならば妊娠確定なほどの濃厚精液をこれでもかと注ぎ込まれる胎は喜びに打ち震え、うねうねと蠢くと一滴も残さずに搾り取ろうとしてくる。
 肉体的快楽だけでも陶酔してしまうほどだというのにキスハメによる精神的な快楽も相当なもので、ジータは種付けを終えてもヴェインの上から動けないでいた。いいや、動きたくなかった。
 抱きしめて、優しく頭を撫でてくれる大きな手。団長という立場から誰かに甘えるということがあまり得意でないため、ヴェインがくれる大きな愛はジータの心を鷲掴みにして離さない。
「ヴェインさん……大好き……」
 彼の首筋へと伏せていた顔を上げて告白すれば、性熱により顔を上気させたヴェインが微笑む。
「俺も…………って、おいおい! あんなに出したってのにまだ元気なのかよ!?」
 甘い雰囲気も束の間。ヴェインは自身のナカに挿入されたままの雌槍が硬度を取り戻していく感覚に驚愕してしまう。休憩を挟みながらなら分かるが、休憩なしでこの性欲の強さ。並の男を超えている。それでも。
「ヴェインさんももう分かってますよね? ふたなりの」
「ふたなりの性欲は強い。だろ? ……よし! 今夜はヴェインお兄さんがとことん付き合ってやる! 体力には自信があるんだ。ジータがもう出せなくなるまで相手するぜ」
 アウギュステに広がる海の如く深い心意気にジータの胸の奥底から喜びが突き上げてくる。その言葉がどれだけこちらを煽る言葉なのかも知らずに言えるのだから恐ろしい。
 恋人たちの甘い甘い夜はまだまだ続きそうだ。