触手によるジータちゃん陵辱ショーを楽しむベリアルの話

 災厄を二度も退けたジータの率いる団には様々な依頼が舞い込む。ジータは団長として団員たちに仕事を振り分け、彼らに適度な休日を作りながら忙しく毎日を過ごしていた。
 ──辺境の島。ルーマシー群島のように緑が生い茂り、住民たちは自然と共存していた。
 今回の依頼はこの島に生息する魔物の退治。突如として魔物の数が増え、住民たちでは対処できなくなってきたのでジータたちに依頼がきたのだ。
 ジータにとっては弱い部類に入る魔物でも一般人には脅威そのもの。広範囲に潜んでいるらしいので何人かの団員を振り分け、探索に向かう。
 ジータは一人で鬱蒼とした森の中を歩いていた。最初は一緒に行くと申し出てくれた団員もいたが、この島の魔物ならば一人で大丈夫だと判断したジータは早期解決のほうを取った。
 彼女の思ったとおり、すぐに魔物は鎮静化することができた。ほかの団員たちもそろそろ終わっている頃だろう。
 太陽の光さえもまともに入らぬ深い森の中。来た道を帰ろうと歩いていると彼女の背後に地面を這うなにか。
 それはジータの右足首に絡み、足をもつれさせた彼女は転ぶ──かと思いきや、前のめりになったまま動かない。
 ジータは自分の身になにが起こったのかを知るべく、体に目を向ける。すると片足に植物のツルのような物が巻き付き、同じものが両手首にも絡んでいた。
 新手の魔物かと思い、帯剣している得物を抜こうと腕を動かそうとするが、ビクともしない。がむしゃらに手足をバタつかせても振り解けない。
 つぅ、と頬を冷や汗が流れる。すべすべとした触手はジータの手足に何本も巻き付くと彼女を宙に浮かせた。体に力がうまく入れられず、どうにもならない。
 それでも諦めるわけにはいかない。力いっぱい暴れ、触手をほどこうとするジータの口の中に太めの触手が入り込み、喉奥に向かってブシャリと液体を弾けさせると、身を引いていく。
 突然のできごとにジータは激しく咳き込む。口からあふれる大量の液は白くて粘り気があり、感じる味は甘い。なにをされたのか分からないジータだが、すぐに訪れた体の変化からこの魔物がなにをしようとしているのか理解した。
(体が、熱いッ……!?)
 風邪などによる熱とはまた違う熱さ。腹の奥底が疼き、性的な気配を感じる。いつの日か狡知の堕天司に付与された魅了状態と似ており、ジータは背筋を凍らせた。
 四肢を空中で拘束されたジータの体には無数の触手が這い、気持ち悪いのに、気持ちがいい。矛盾する感情が脳内を支配する。
 すると触手が大きく開いた胸元から服の中へと侵入した。生温い温度を直に感じ、このままではマズイ! と直感的に感じるが、どうすれば脱出できるのか。
 焦る気持ちを表すように手足を暴れさせていると、前方から今、一番聞きたくない声が聞こえた。
「やあ、特異点。まさか──キミに触手と戯れる趣味があったとは驚きだ」
 一瞬、ジータは呼吸を忘れた。
 体を這いずり回るグロテスクなモノに向けていた視線を声が聞こえたほうへと向けると、そこにはいつからいたのか、黒い衣服に身を包んだ不埒な男が気持ちのいいほどの笑みを浮かべながら立っていた。
 二千年という気が遠くなるほどの過去から現在に至るまで造物主、ルシファーのために暗躍してきた堕天司という名の星晶獣。名前はベリアル。
 カナンで戦った際も仲間たちと協力してなんとか退けることができたが、あれは彼の全力ではないとジータは感じていた。
 未だ底知れぬ力を秘める獣。それがなぜ、こんなところにいるのだ。
 一人では到底敵わない敵にジータの心は酷く動揺するが、悟られるわけにはいかないと精一杯の虚勢を張る。
「そ、そんなわけないでしょ! くっ……!」
「触手はいいぞ。オレもたまに遊ぶんだが、奥の奥まで入り込んで……アァ、思い出すだけで勃起する」
「私をあなたと一緒にしないで! ベリアル!」
 相変わらず下品なことしか口にしない男だとジータは嫌悪し、隠すことなく言葉と顔に出す。
 体が動かないのなら魔法で、と魔力を練ろうとするが、練ることができない。あの体液の影響なのか。
 どう足掻いても自分の力でこの状況を打破することができない現実を突きつけられ、ジータの顔から熱が引いていく。
「このままだとキミ……触手にヴァージン散らされるなァ。助けてやろうか?」
「助けてくれるの……?」
「条件として……オレと姦淫してくれたら、だけど」
「ッ〜〜!!」
 憎たらしいほどに爽やかな笑みで最低なことをサラリと告げるこの男が心底嫌いだ。ジータは歯噛みし、提示された選択肢を取ることをやめた。
 どちらにしてもジータにとっては最悪なことには変わりない。このままだと触手に犯され、助けを求めればベリアルに穢される。
 怒りからなのか、触手に飲まされた白濁のせいなのか。顔を真っ赤にして下唇を噛むと、薄い皮膚からは血が滲み始めてきた。
「んぐぅっ!?」
 口へと無遠慮に侵入する赤黒い物体を拒む術はジータにはない。いっそのこと噛み千切ろうとするが、肉が厚過ぎてできない。表面に歯が軽く食い込む程度だ。
 触手たちは器用な動きでジータの胸に巻き付き、絞り上げる。痛いはずなのにその痛みさえ甘美なモノへと変わり、ジータは体の異変が進んでいることに目を見張った。
「んふぅっ!? ん、んンッ!! んぅ、んーーっ!!」
 次に動きを見せたのは脚に巻き付く触手だ。ベリアルに見せつけるようにジータの脚をM字に広げ、ワンピースと同じ色をしたショーツに隠される局部が男の前に晒される。
 よりにもよってこの男に、布越しとはいえ乙女の秘めやかな場所を見られるなんて耐えられないと、ジータは現実を拒絶するように瞼を強く閉じた。
「面白い触手だ。オレに陵辱ショーを楽しめと言っている」
 引き寄せられるように後ろに倒れ込むベリアルを地面へと突き刺さる三本の赤い魔力剣が受け止め、長い脚を組むと彼は頬杖をつく。
 暗く淀んだ血の目に、普段は性の香りを感じさせないジータの痴態をじっくりと映す。下卑た笑みを浮かべ、舌なめずりをしながら。
「んぐぅ! うっ! んぅぅっ!!」
 今まで出会ってきた誰よりも強烈に記憶に焼き付いているこの男だけにはこんな姿を見られたくない。だが、抵抗してもすべてが無駄に終わる。
 ジータは激しく後悔していた。こんなことになるのなら仲間と一緒に行動すればよかったと。一刻も早く依頼を解決したいという気持ちがアダとなってしまった。
 いまさら後悔しても遅いが、せずにはいられない。
 暴れるジータに向かって無数の触手が迫ると、その小さな先端からノーモーションで白濁液が噴き出し、ジータの全身を濁った白で穢す。
 同じものはジータの口を塞ぐ触手からも吐き出され、体がさらに淫らな熱を孕む。熱くて熱くて仕方がない。
 口から触手が抜かれると、ジータは妙な感覚に己の体を確認し、目を大きく見開く。
 体にかけられたぬるい体液は肌を傷つけずに服だけ溶かす特殊なものだったようで、ジータの柔肌を隠す布は次々と消えていく。
 それは即ち、絶対に見せたくはない人物に全裸を見られるということで。
「いやっ! いやだぁッ! 離してっ! やめてよぉっ!!」
 どんなに叫んでも止まらない。
 ベリアルは徐々に露わになる十代の瑞々しい体に息を呑む。ジータと同じ年頃の男女とベッドを共にしたこともある彼だが、特異点である彼女は格別。
 ついに彼女が纏っていた服は全て消え、裸体が晒された。触手に拘束され、体液で妖しく光る体。成長途中ながらも大きめな実りの先端は美味しそうな薄紅色で芯を持ち、天を仰いでいる。
 誰も知らなかったジータの恥部も汚染液で濡れており、まだソコは暴かれていないはずなのに既に何回も中に出されたような錯覚に陥る。
 たまらないショーにベリアルは口笛を吹いた。
 ジータはというと、全力で抵抗していた。彼女は様々な種族、地位の団員が所属する団の団長ではあるが、まだ十五歳の女の子。
 本能的な恐怖心から手足を縦横無尽に暴れさせるが、触手は彼女が抵抗するほどに動きを封じにかかる。
 M字に開かせていた触手は両足首へと巻き付き、そのまま吊り上げる。体液に濡れて光る淫部をベリアルに見せつけるように。
 どこまでも楽しませてくれる触手にベリアルは嘆声を漏らし、ジータを視姦するようにヒクつく穴をじっと見つめると、なにもない空間に向かって舌を突き出し舐め上げる。
 それを見たジータは実際には触れられていないはずなのに、ぬめった快感が下半身に走ってしまったのを認めたくなくて泣き叫ぶ。
「やだ! 見ないでベリアル! いやあぁぁっ!!」
 泣き叫ぶジータの口に再び触手が入り込み、声を殺す。ジータの胸に細い触手が巻き付き、伸びてきた触手の先端が口のように開くと、勃起している乳首にそのまま吸いつかれる。
 激しく吸引され、濡れた声を出すと別の触手がジータの後孔へと伸びた。そこは排泄する場所。ベリアルならまだしも、自分のに入るわけがないと思ったジータだが、その考え虚しく極細の触手が何本か入り口を撫で、固く閉ざされた蕾をゆっくりと開いていく。
 内部を拡張する感覚。激しい異物感に大きく開かれた瞳からは雫がこぼれた。
「んうぅぅ! んっ、ンッーー!」
「先にソッチを選ぶとは意外だな。どうする特異点。助けてやろうか?」
 たしかにベリアルならば簡単に触手を葬れるだろう。しかしその代償に彼と姦淫しなければならない。このまま触手に奪われるか、人の形をした星晶獣に奪われるか……。
 どうしても決心できないジータはギュッと目をつむり、顔を背けた。
「フフッ。オレは別にいいけどね。じっくり楽しませてもらうよ」
 この間にもアヌスに入り込む触手は肉壁を拡げるように動き、ジータを追い詰める。性器ではない場所を弄られて、気持ちいい場所ではないはずなのに、触手が蠢くたびにお腹の奥が熱くて仕方がない。触手に飲まされた体液の影響なのだろうか。
 あまりの気持ち悪さに吐き気が込み上げてくる。早く終わってほしい。それだけを願っていると不意に触手たちが尻穴から一本、また一本と抜けていくではないか。
 開眼してソコを見れば、ジータの腸に埋まっていたグロテスクな生物はだいぶ減っていた。
 が、抜かれるたびに排泄感が下半身を襲い、妙な快感に電流を流されたように体がピクピク反応してしまう。
(終わった、の……?)
 すべての触手が抜け、ほんの少しだけ安堵するジータだったが、すぐさま絶望へと逆戻り。
 細い触手たちが引いていくと、新たに一本の触手が伸びてきた。それは今までの触手よりもだいぶ太く、先端は男性器のようにエラが張っている。
 きのこの傘のように丸みを帯びている場所の中心にある矮小な穴からは透明な汁を垂れ流していて、これから自分の身に起こることを想像してジータは口を引きつらせ、戦慄わななく。
「んぐ……!? んっ、んン゛っ! んぐぅぅ!!」
 全力で暴れるジータを抑えるように太ももと脛を触手は何重にも巻きつけ、再びM字に開脚させると、一気に極太触手が入り込む。狭い穴を穿たれ、本来ならば痛みを感じるはずなのに痛みはない。ただ圧迫感と熱だけが支配する。
「アナル処女卒業オメデトウ、特異点。ソドミーの感想はどうだい?」
 こんなの異常だ。性交する場所でないところを穿たれたジータは年相応の顔をしながら涙を流すと、抵抗する気力も失った彼女の口から触手が抜かれた。
「ひぐっ……もうやだ、気持ち悪いのに……体が、熱い……」
「触手に媚薬を飲まされたのか。ならあんな凶暴なモノがすんなり入るのも納得だ」
 一人納得するベリアルを置いて、腸内に埋まっている触手は動き始めた。
「ひぎっ!? あっ、あ、熱い!! 動かないでっ! 動かないでぇぇッ!」
 ボジュ! ボジュ! と激しく抜き挿しされ、抜かれるたびに下半身から脳天へと雷が突き抜ける。自分で出しているのが嘘のような甲高い悲鳴が森に響き渡る。
 ベリアルは世界の中心である少女の嬌声に目を閉じて感じ入っていた。そのかんばせは音楽を嗜む貴族のように高貴な雰囲気を纏っている。
 止む気配のない淫らな歌声。そこら辺の女よりも長い睫毛をふるりと震わせ、ベリアルは開眼し、深く……深く、ゆっくりと歌姫へ感嘆の声を漏らした。
「特異点の悲鳴は心地いい……サディズムがこれでもかというほど刺激される」
「アっ、あっ、やらぁ! そこやらっ、やらってばぁ! はッ、あ゛、ひぅぅ!」
 容赦なく串刺しにされ続け、両胸の腫れた蕾も吸引され、体にはぬめった気持ち悪いものが這う。このままでは肉体も精神もおかしくなってしまう。
 もうやめてほしい。艇に、仲間たちのもとに帰りたい。帰って、体を清めて、温かいベッドで泥のように眠りたい。
 どうしてこんな辱めを受けなければならないのか。どうして自分なのか。目の前の堕天司ならば喜んで受け入れるであろうこの状況は、ジータには到底受け入れられるものではない。
 朦朧とした意識のなか、体を喰らう触手たちをボウっとした目で見ていると、白く染まった花に近づいてくる触手が一本。
 胸に吸い付いている触手と同じくらいの細さか。くぱっ、と開いた先端の奥には幾重にも重なった襞が見えており、そんな触手が向かった先にあるのは快楽の種だった。
「ひぁぁぁっ!? そこ、やだ、やだぁっ!! へ、ん、へんに、なるぅ゛う! あ、や゛ぁっ、またっ、も、だめっ! だめえぇ゛ぇッ!!」
「わーお。生娘とは思えないすごいイキっぷりだな、特異点」
 痛いほどにクリトリスに吸い付かれ、内部の襞で扱かれる。気持ちよくなるだけに付いている女の子の小さい小さいペニスは薬漬けのジータを簡単に陥落させる。
 うねりに飲み込まれたソコから痺れに似た痛みを感じるが、たまらなく善くて。強すぎる刺激はジータを瞬く間に天上へと導き、彼女は昇天した。
 触手も達したのか、彼女の蕩けた肉筒の隙間からはボタボタと精汁がこぼれ落ちていく。
 可哀相なくらいに体を引きつらせ、法悦に浸るジータは弛緩しきった体を触手に委ね、光を失った虚ろな目はどこを見ているのか分からない。
 彼女のアヌスに嵌っていた触手が抜かれると、勢いよく粘り汁が噴き出す。人間とは比べ物にならないほどの大量射精。
 次いで触手は上のほうへと移動する。会陰を撫で、着く先は未だ誰も貫いたことのないジータの秘門。
 柔らかな割れ目に擦り付けるように上下運動をする触手にジータは我を取り戻す。──次は膣を貫かれる。
 嫌だ。それだけは嫌だ。人の姿すらしていない生物に穢されるなんて!
 恐怖が大波となってジータを襲い、その現実に耐えられなくなった彼女は……喉が裂けんばかりに声を張り上げた。
「いや……いやだっ……! 助けて! 助けてベリアルっ!!」
 屈強な精神を持つはずの彼女も尋常ではない恐れに負け、目の前の男に助けを乞う。その意味を深く考える余裕はなかった。
 刹那、ジータを貫こうとした触手は彼女のナカに侵入することはなく、地面に落ちる。ジータを拘束していた触手の束たちも途中で斬り落とされ、同じく土へ。
 周囲にはベリアルが椅子代わりにしていた剣たちが浮遊しており、彼がやったのだと分かった。
 姿を見せぬ本体からは新たな触手が伸びてくることもなく、綺麗な切断面を見せる触手を激しくうねらせながら引っ込んでいった。
「怖かったね。もう大丈夫だよ」
 体を宙に固定していたモノがなくなり、重力に抗うことなく小さな体は地面へと吸い寄せられるが、それが地へと叩きつけられることはなかった。
 硬い感触と香水の香りがジータを包み込む。震えが止まらない彼女をベリアルが受け止めたのだ。
 額に口付けながら極めて優しく囁くベリアルにぼうっとした目を向けると、彼は口の両端を酷く愉快そうに吊り上げた。
「だが特異点。キミはオレに助けを求めた。その意味、もちろん分かっているよな?」
 ベリアルの言葉にジータはこれでもかというほどに目を開き、戦慄すると、彼とのやり取りを思い出す。
『条件として……オレと姦淫してくれたら、だけど』
 姦淫。同じ犯されるという意味でも、その違いはなにも喋らぬ、見た目も気持ち悪い生物に穢されるか。見目麗しい下劣な星のケモノに嬲られるか。
 条件としては後者のほうがいいが、ベリアルのことを嫌っているジータからすればどちらも拒絶したい。
 急速に頭が冷えていくが、抵抗しても逃げられないだろうし、そもそもその力も残されていない。
「だけど今はオヤスミ。次に目覚めたら──オレと遊ぼう。特異点」
 なにもかも疲れた。ジータは途切れそうになる意識のなか心で呟き、闇に引き寄せられるままに意識を手放した。
 そんな彼女を見てベリアルは冷笑すると、その表情とは裏腹にジータをしっかりと抱きしめ、六枚の被膜型の羽を広げると空へと舞う。
 大きな鳥から小さな鳥へ。彼とジータの姿はあっという間に見えなくなった。