異父姉弟ファージタ

 毎週金曜日。時計が定時を告げ、オフィスの中はようやく一週間の仕事が終わったと社員たちが帰り支度を始め、親しい者を飲みや食事に誘う者たちの姿はもはや定番。
 ジータも仕事が終わったと、席に座ったまま伸びをして帰り支度を始める。この会社に勤めて数年。仕事も人間関係も順調。さあ家に帰ろうとお尻を浮かせようとしたところで、
「あのあのっ、ジータさん。今からご飯行きませんか?」
「あー……」
「ジータ、金曜日は駄目なのよ〜。彼氏が家で待ってるから」
 ジータの席にやって来たのは後輩の女性だった。人懐っこい雰囲気を纏う彼女は目をキラキラと輝かせるが、金曜日はどうしても駄目なのだ。どう断ろうかと間延びした声を上げたところで、後輩女性の肩を叩きながら助け舟を出すのは先輩の女性だ。
 ──彼氏が待っているから。それは正確には間違い。「ちょっと変な言い方しないでよ。彼氏じゃなくて弟!」
「ジータさん、弟さんがいるんですか?」
「そうそう。モデル並みにカッコイイから二人で並んで歩いているのを最初見たときは彼氏かと思ったわよ。んで、聞いたら弟だって」
「わ〜! 一度見てみたいかもです!」
「そんなことだから、ごめんね! じゃあまた来週!」
 話をそこそこにジータは彼女たちに別れを告げてオフィスを出た。心なしか早歩きなのは一秒でも早く家に帰りたいからだ。
 ジータには父親違いの弟がいる。ジータの父親は彼女が産まれてすぐに死んでしまい、しばらくして母親が再婚、弟が産まれた。年齢差はそこまで大きくないが、彼はまだ十代後半。高校生である。
 ジータがこの会社で働き始めてすぐに両親が不慮の事故で他界し、それからは親が残してくれた家で彼とふたりで暮らしていた。
 そんな姉弟には誰にも言えない秘密がある。
 ジータは弟である──ルシファーのことをひとりの異性として愛し、またルシファーもジータを姉と同時に女として見ていた。両親が亡くなり、少ししてルシファーから男として迫られ、ジータはもともとブラコンの気質があったのとむしろ彼なら身を委ねてもいい……大切な人たちを喪った寂しさを埋めるように、血の繋がった弟と男女の関係になった。
 なので正直、他人に彼との関係を恋人だと思われるのは悪い気はしない。むしろ嬉しかった。
 オフィスが入っているビルを出て寄り道をせずに電車に揺られ、自宅の最寄り駅に降りるジータは家に近づくにつれて気持ちが昂ぶるのを抑えられない。
 毎週金曜日には労働のご褒美だとでもいうように、たくさん彼が気持ちよくしてくれる。もはやパブロフの犬。金曜日というだけで仕事にも身が入るし、終わったあとのご褒美が早く欲しくてジータは誘いを断って帰宅するのだ。

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「ぁ……ルシファー……、っ……あ、」
 ジータを組み伏せたルシファーは白い首筋に吸い付き、舌で舐め上げる。首に広がるにゅるりとした生温かい感触に、ぢゅっ、と所有物の印を刻まれると背筋に沿って流れ落ちる快楽電流にジータはその身を震わせる。
 ジータ自身特殊な癖はないのだが、どうもルシファーがナチュラルにS気質なので自然とMっぽくなってしまう。彼に滅茶苦茶にされたい。声が枯れるまで抱き潰されたい。ルシファーのことだけを考えていたい。
 脳内がピンク一色に染まってしまうのもルシファーの調教の賜物。
 密着することで彼の低めの体温とひんやりとした彼自身の香りにジータの子宮がキュン、と疼く。もっとあなたを感じたいとジータからも抱きしめ、さらに引き寄せれば血を分けた弟の存在に精神が安らいでいくのを実感する。
 きっとこれは他の男では得ることができない気持ちだ。実際、大学生のときに相手から告白される形で、当時のジータもいい加減に弟離れしなければという強迫観念に似た感情に流されて付き合ったが、ハグをしても今のような感情は抱かず。
 結局はなかなか身体を許さないジータに飽きてあっさりと相手に振られたが、悲しみもなにも感じなかった。あぁ、そう。と、未練もなにもなかった。そういえば彼と付き合い始めたときはルシファーの機嫌が悪かったように思う。別れたのと報告したときには「そうか」と一言だけだったが、薄っすらと口角が上がっており、いま思えば嫉妬してくれたのかな? と、もしそうだとしたら嬉しい気持ちでいっぱいだ。
「ジータ……」
「ん……、」
 顔を上げた冬の輝きを閉じ込めた青い瞳がジータを見つめ、近づいてくるにつれて目を閉じる。直後に唇に少々かさついたルシファーの唇が重なり、ジータの方から口を開いて舌を伸ばし、弟の舌を絡めとる。唾液のヴェールをたっぷり纏った舌は部屋の明かりに照らされて淫猥に光り輝き、淫靡な音を立てながら蛇の交尾のように濃厚な愛を交わす。
 互いに互いを貪るように深く、激しくなるキス。酸欠気味になって涙が目尻に浮かぶもジータはさらに彼が欲しいと両腕を彼の背中に回し、両足を彼の腰に絡ませて引き寄せた。その際に濡れ花に彼の硬くなっている陰部が重なり、興奮しているのは自分だけではないのだと、最愛の弟がお姉ちゃんの身体に劣情を抱いている──ルシファーが、私に欲情しているのだとジータの胸を歓喜が満たす。
 誰だって心を寄せる相手が自分に獣の欲を向けているのだと思うと嬉しい。それが血の繋がりのある実弟か、血の繋がりのない全くの他人かの違いだけで。
「お前は発情期の犬か」
「わんわん♡ ……ふふ。あなたがそう仕込んだんでしょ? 金曜日に必ず抱いて、金曜日になれば必ず気持ちいいことをしてくれるって刷り込んで……。ね、私が今日一日どんな気持ちで仕事していたと思う? ルシファーに労働のご褒美を貰えるって、オフィスであそこを濡らして……帰りの電車じゃ垂れてこないか心配だったんだから」
 互いの息遣いが感じられるほどの至近距離での会話にジータはルシファーを捉えている足を手前に力を入れることで自分の大事なところがルシファーの逞しい雄に押し潰されながら、腰を揺する。それは会社では清純なイメージの彼女とは真逆の行為。
 好きな男のためならば女はいくらでも変われると、艶然と笑う。
「変態」
「ッ……♡」
 蔑む目をしながら冷たく切り捨てる発言にジータのヴァギナがキュッ♡ と締まる。罵られて感じるなんて。とんでもない変態になってしまったとは思うが、どうにもならないのだから仕方がない。
「俺の許可なく淫情に身を委ねる変態女には罰を与えてやろう」
 その身を起こし、ジータの拘束を解いたルシファーは彼女の程よい肉付きの太ももを乱暴に掴むと大きく開脚させた。
 上は大人の色香漂う黒のベビードール、下も黒のショーツを着用してはいるが、その形状に問題があった。ルシファーの見つめる先にある下着はオープンショーツでクロッチ部分に布がなく、まさに行為を盛り上げるためのセクシーランジェリーの類だった。
 丸見えの秘裂からは愛液が滴り、周囲の頼りない布も水分を吸い込んで重たそうだ。この様子からして即挿入しても問題ない、むしろジータは罰として慣らしもせずにブチ込まれると思っていた。が、ルシファーは彼女の妄想を無視して顔を恥部へとうずめて産道へと続く矮小な穴に尖らせた舌を突っ込んだ。
「……ルシファー? っ、ひああぁぁぁっ!?」
 彼のふわふわのプラチナブロンドが恥ずかしい場所にあるとジータが認識した瞬間に強烈な快楽が電撃のように女陰から脳天へと突き抜ける。雷に打たれたようにガクガクと全身を痙攣させ、白い喉をさらけ出すジータをよそにルシファーは冷めた目で姉の痴態を眺めながら両手を乳房へと伸ばす。
 薄い布の上からなかなかに大きい果実の感触を確かめるように揉み、硬くなっている先端を人差し指で弾いたり、ときに親指で押し込んだりしてジータに快楽責めの罰を与える。
 内部の襞を丁寧になぞるように蠢く舌はルシファーとは別の生き物のように思え、普段あまり舐めたりしてこないことからクンニの悦に慣れていないジータは釣りたての魚のようにぴちぴちとベッドの上で跳ね回った。
「あぁぅっン! 舌ぁ、うねうねって……♡ はふ、っう、ぁ……!! ふ、おっぱい……ちゃんと、さわってぇ……♡♡」
 シーツに深い皺が刻まれるくらいの力で握っていた両手を使ってジータは器用に胸元をはだけさせる。布に包まれていた隠れ巨乳が煽情的に揺れながらルシファーの前に晒され、胸丸出しの半裸の状態で彼の手を自らの生乳に触れさせた。
 彼が手中にあるマシュマロを軽く握ればぐにゃりと形を変え、指の間にはみ出た肉が盛り上がる。今のジータは淫らな淫らなルシファーだけの雌。これでも最初は恥ずかしがったりもしたが、よだれを垂らす犬よろしく金曜日という条件反射も相まって現在はルシファーをかどわかす魔性の女になっていた。
 ルシファーもルシファーで姉という垣根を超えて劣情を抱き、両親の早すぎる死への悲しみに漬け込んだ果てにモノにした女が自分のために欲を誘う下着や行動に悪い気はしないのか、股間に口元が隠れているのをいいことに歪んだ笑みを浮かべる。
「い……く……っ、こんなのぉ……あああっ……! クリらめぇ……! っひ!? はっ、うぅ……! ゆびぃっ、そこ、気持ちいい……♡」
 熟れた水密桃の上部に鎮座する快楽神経が詰まった場所は大きく膨らみ、可愛らしい顔を出していた。ここも可愛がってやるとルシファーはジータの愛液で汚れた口元のまま唇を窄めるようにして吸い付くと、乳首を吸うのと同じ要領で口を動かす。
 コリコリした淫核をぬめついた舌で左右に弾きながら不意打ちのように片手の人差し指と中指を挿入すれば、下腹部の苦しみに喘ぎながらもジータのイイところを知り尽くした指捌きで瞬く間に彼女を絶頂へと追いやる。
 あられもない声で魅惑的な肢体を揺らしながら乱れるジータのとある一点を集中的に攻めれば水っぽい音が大きくなり、ぷしゃぷしゃと蛇口が壊れた水道のように体液が淫裂から噴き出し始めた。
 ルシファーは自分の顔が汚れるのを承知で、むしろ至近距離で浴びたいのか攻めの手を緩めることはせず、激しい罰を与えていく。
 もうこの頃にはジータからはケダモノの声で叫び、かぶりを振りながら腰を何度も浮かせる。
「や……だめ、くる……♡ おっきいの、きちゃ──うううっッ!!♡♡」
 大きく背をしならせ、快感の大波にさらわれるままにオーガズムに身を委ねる彼女の淫らな割れ目からは水鉄砲のように透明な体液が放出されて、中性的な顔を濡らしていく。
 弟の綺麗な顔を自分で汚している背徳感にジータは背中をぞわりとさせ、駄目とは思いながらも止めることはできなくて。最後まで出し切ったところでジータの身体はルシファーのベッドに大きく沈んだ。
 肩で呼吸をしながら息を整えるジータは氷の視線を感じ、夢うつつの蕩けた眼差しを正面にいるルシファーへと向ければ、彼はいつの間にかその身を起こしており、顔からは雫が滴っていた。
「この程度で達するとは。我慢というものを知らんらしいな」
「……っ♡」
 あなたがそうさせた癖に、とは目だけで訴えることにし、目線は顔から下がっていき彼の下腹部へ。ゆったりとしたスウェットには不自然なテントが張ってあり、硬くて太い彼の分身に犯される妄想をして口の中にじゅわりと唾液が溢れ、音を立てて飲み込む。
「はーっ♡ はーっ♡ ルシファーっ♡♡」
 瞳の中にハートが見えるほどに興奮しながらジータは足を立てて自ら開脚する。その中心には咥えるものを今か今かと口を収縮させながら待つ雌穴があった。
 小さな穴を強調するように両の指で広げ「お願い……♡」と彼にだけ発する媚びた声でおねだりすればルシファーは艶っぽく微笑し、前を寛げると──怒張を一気に押し込んだ。
「あぁぁっ♡ っ、お腹がっ……いっぱい♡」
 自分の身体の中に異物が入り込み、内蔵が押し上げられて正直苦しいが、ルシファーがようやくハメてくれた悦びの方が大きいか。
 ルシファーはくびれた腰を両手で掴み、内部を掘削するようにスローな動きでエラの張った亀頭で膣内を押し広げ、最奥まで到達すると子宮口をノックするように腰を揺らす。
 ジータの甘える嬌声や軋む音を立てるベッドをBGMにしながら、ルシファーはほんのりと赤くなった顔をしながら口の端を歪ませる。
 軽く突き上げているだけだというのにルシファー専用の肉筒は襞をいやらしく絡ませながらギュウギュウと締め付けてきて、早く精を吐き出せと言わんばかりだ。
(子宮っ♡ ゴンゴンされておかしくなるぅぅ……! ンぁあああっ♡♡ 弟との背徳えっち、どんどん好きになっていってるよぉっ……!)
 ルシファーに抱かれるようになってから明らかにバストアップした淫乳の片割れを揉まれながら腰をぶつけられ、ジータはだらしない顔をしながら背徳という名の底なし沼にさらに堕ちていく。
 最初の頃は精神的に参っており、流されるように弟と肉体関係を持ってしまったことに冷静な思考を取り戻したときに激しい自己嫌悪に陥った。
 だがその後もやんわりと拒否をするが結局はずるずるとルシファーに流されて許してしまい、今ではむしろこの関係をいいものだと思う始末。
 全身で幸福を感じるジータの若い雄を受け入れる雌はどちらのものか分からぬ体液が抽送によって撹拌され、泡立ち、非常に艶めかしい。
「はひゅ♡ ぅあああ……♡ ぁ……っ、ルシファーっ、いきそう? ……えいっ♡」
「っ゛!? …………お前……」
 特に言葉を交わすこともないルシファーだが、内部に迎えている彼の分身の膨張を感じてそろそろ一回射精させてあげようと、ジータは悪戯っぽい笑みを浮かべると膣に力を入れて締め上げた。
 何度抱いても初物のようなキツい雌穴の圧は我が物顔で蹂躙していた雄槍を、最後は手玉に取るように呆気なく子種を搾り取り、ジータは最奥で放出される熱に身を任せるように顔を恍惚なものへと変貌させる。
 中出しされるのは好きな方だ。最後には吸収され、ひとつとなる。まるでルシファーと一緒になれるような気がして。
 少し前まで家族に対して健全な愛しかなかったというのに、彼の手に堕ちてからは誰にも言えないような想いばかりが募る。
 きっと自分は死んでも天国には行けない。地獄行き。それでもいいと思ってしまうくらいには、ルシファーはジータにとってのオム・ファタール。破滅を齎す者。
「フン……随分と余裕があると見える」
「ぁう♡」
 一度ルシファーが腰を引けば、ぽっかりと彼の形に空いたままの穴からは真っ白な体液が溢れ出し、肛門まで垂れていく。その卑猥な様子をルシファーは目を細めて見つめ、おもむろに片手を伸ばすと流れ出した精液を指で掬うと膣内へと押し込む。まるで一滴も漏らすなというように。
 彼の無意識の行動ながらもジータからすれば愛撫に変わりなくて。骨ばったルシファーの指が内部に何度も挿入され、まだイッていなかったというのもあり、指で絶頂させられてしまう。
 雄を誘惑する声を上げ、ガクガクと震えが収まらない。柔らかな乳房が踊り、両手はシーツを握って快楽を逃がそうとしていた。
(ルシファーっ♡ 駄目なお姉ちゃんでごめんなさい……♡ でももっと、もっとあなたを感じたいの……!)