極みジータちゃんと悪魔アバベリの聖夜の話~IF~ - 2/2

 クリスマスイブ。一緒に過ごす相手もいないジータは早々にベッドに入り、夢の中にいたのだが、妙な感覚に目が覚める。
 ぼやける視界でも分かるその姿。悪魔という言葉がぴったりな容貌をしている男がジータの腹部に馬乗りになっていた。
 ナイトテーブルへと伸ばされる腕。手探りで間接照明の紐を引っ張れば温かさを感じる橙色が部屋をぼんやりと照らす。
 短い茶髪にねじれた双角。左右で色が異なる目。はだけたシャツから見えるたくましい肉体。顔や銅、腕に浮かぶ禍々しさを感じる紋。
 彼の名前はベリアル。魔界に住まう悪魔で魔界の王であるルシファーの手足であり、No.2の最上位悪魔。
 なぜそんな悪魔と魔法使いの卵であるジータが知り合いなのかは今は割愛するが、ひょんなことで出会い、こうして奇妙な付き合いが続いていた。
「ウフフ……たまには下になるのもいいと思うぜ?」
 ベッド上での言葉のやり取りのなか、ベリアルはそう告げるとジータのパジャマへと手を伸ばす。黒いシルクの寝間着のボタンを一つ、また一つ外していく。
 その間もジータは抵抗することなく、逆に恥ずかしそうにベリアルから顔を背けて口を真一文字に結び、頬は若干赤くなっていた。
 手慣れた動きで全てのボタンを外したベリアルはジータがまったく嫌がらないことに違和感を覚える。
 いつもならば「嫌だ」と言って逆に押し倒され、彼女を受け入れることになるのだが……。
「珍しいね。キミがオレにされるがままなんて」
「別に……今日はそういう気分じゃないし、たまにはコッチもいいかな、って」
「ふぅん? 男の快楽を知った次は女の快楽か。いいよ。オレが全部キミに教えてあげる。フフ。酸いも甘いもろくに知らないキミが快楽だけは知っている──キミのオトモダチが知ったら驚くだろうねぇ」
 ジータは思春期だ。性への好奇心も十分頷ける。
 彼女はただの人間ではない。ベリアルが今まで生きてきて初めて──事故とはいえ、人間界では言い伝え上の悪魔である彼を召喚した人物。
 さらにその体液はベリアルにとってなによりも甘美なモノ。顔も悪くなく、体の相性もいい。
 他の誰かに女を教えられるよりも、今、この場で己の手で嫌と言うほどに教え込む方がたまらないものがある。そもそもジータを手放すつもりは現時点ではなかった。
 自分の番になるために生まれてきたのではないか、と思ってしまうほどに好相性な人間の少女。
 今まで気まぐれに人間界にやって来ては適当な人間を引っ掛けて遊び、使い捨ててきた彼にしては珍しく飽きずにこうして大事にしている稀有な存在。
「今までキミに抱かれるばかりでじっくり見れなかったが……なかなかイイ素材だ」
「っ……ん、ぅ……」
「恥ずかしい? いつもオレにしていることだろう? こうしてさ……」
「あッ、あっ……!」
 パジャマの下にあるのは黒いタンクトップ。それを捲り上げればほどよく実った二つの果実がぷるん、と揺れながらこぼれた。
 包むものがなくなり、横に流れるたわわな膨らみをベリアルは両手で掬い上げ、指を沈ませ弱く揉みながら薄紅色の尖りを親指で撫でた。
 するのは慣れていてもされるのには慣れないジータはキツく目を閉じて声を我慢する。いつもと違う彼女の反応を楽しみながら先端を弄り続ければ、徐々に硬度が増してきた。
 指を押し上げるように屹立する乳首。白い肌に映える控えめな赤はとても可愛らしく、同時に雄を誘惑する一面があった。
 ベリアルは馬乗りの体勢からジータの脚の間に体を滑り込ませる体勢へ変え、ちゅぅ、と胸の飾りへとキスをすればジータの体が彼の腕の中で跳ねる。
 大人しすぎるのは少々物足りなさを感じるが、下になるのは初めてなのだ。仕方のないこと。
 ウブ過ぎる反応を見ながらジータのトロ顔を想像する。ベリアルを抱きながらナカの気持ちよさに顔を蕩けさすことは何度もあったが、受け身での顔はきっと違うはず。
 早く見たいものだ。なんて思いながら顔を移動させ、色づきのいいぷっくりした唇を食み、間に舌を差し込んだ。
 キス自体は慣れているのでジータからも返される。小さな舌と大きな舌が濃厚に絡み合いながらベリアルは自分の唾液を流し込み、ジータはその度に嚥下した。
 角度を変えながら何度も愛し合い、口周りがベタベタになるのも気にせずにベリアルは少女を捕食する。
 男の手にすっぽりと収まる白桃を強弱をつけて揉み撫で、蕾を捏ねたり押し潰したりとすればずっと攻めの立場だったがゆえに知らなかった気持ちよさにジータは喘ぐ。
「ベリ……アル……その、当たって、る……」
「当ててんだよ。ほら」
「んっ、んぅ……!」
 顔を離し、呼吸を整える互いの息がかかるほどの至近距離での会話。むわり、とした熱気とベリアルの口から垂れるどちらのものか分からぬ透明な糸がジータの口元を汚す。
 目尻に溜まった涙と上気した頬。淫猥に濡れた口。お気に入りの人間の痴態はベリアルの雄を刺激し、布の下で硬度を増していた。
 布越しにもかかわらず感じる特有の感触をジータが指摘すれば、ベリアルは当然のように返し、軽く腰を揺り動かす。
 さすればジータの秘められた場所に擦り付けられ、性的な興奮に顔がさらに赤くなっていく。
 ジータがベリアルを抱く際はとても大胆、そして性に解放的になるのだが、やはり攻められるのには慣れていないのか声や気持ちを抑えつけてしまうようだ。
 それを引き出すのも楽しみの一つ。いったい彼女はどんなふうに性歌を唄ってくれるのか。
「やっ、んぅぅ! そんなっ、一度に吸わないでっ……!」
 大きな快楽をすぐに与えるのもいいが、ベリアルはじっくりと調教する方を選んだ。
 体を下へとずらし、年齢の割には大きい乳房を両手で強めに寄せると大口を開けて二つの粒を口に含む。
 煽るように音を立てながら吸引すれば、頭上から甘い啼き声がひっきりなしに上がり、ベリアルのサディズムを満たす。
 厚い舌で舐めしゃぶればジータの脚がもどかしそうに動き始める。本当は擦り合わせたいのだろうが、内側にベリアルの体があるためにそれは叶わない。
「あんっ、あッ! そんなに吸ってもっ、おっぱい出ないよぉっ!」
「魔法で出させてやろうか? キミの母乳で顔射されるのもイイ」
「このっ……変態っ……!」
「そんな変態に舐められてココを濡らしているキミも同じだな?」
「ッ! っ……!」
 ジータの肌を撫でながら片手を下腹部へと移動させ、ズボンの中へ。湿ったショーツのクロッチ部分に軽く力を入れれば溝に溜まっていた蜜が溢れ、布を濡らす。
 膣前庭を数回押せばジータはイヤイヤと首を左右に振り、顔を見られたくないのかシーツへとうずめる。
 セックス自体は初めてではないのに処女らしい反応にベリアルは小さく笑うと体を起こし、上着を脱いだ。
 筋肉質で太い腕が向かう先はジータの寝間着のズボン。ゴム部分に軽く指を引っ掛け、スルスルと脱がしていく。
 徐々に露わになる少女の脚はふっくらと程よい肉付きで健康的。
 最後に残ったのは役目を放棄したショーツ。こちらは脱がす際に若干抵抗されたが、弱々しいもの。
 下半身をベリアルに見せるのは初めてではないが、いつもは男性器が生えており、女性器の部分は見えない。
 なのでなにもない今の状態はジータの羞恥心を煽り、あまりの恥ずかしさに陰部を両手で隠してしまう。
「ほら、隠さない隠さない」
「きゃぅ!?」
 両肩にジータの脚を担ぎ、引き上げ、ジータの手をどかせば控えめなクリトリスの下には男を知らぬコーラルピンクの少女器官があった。
 後天性とはいえ荒々しい男性器を生やし、ベリアルを思うがままに掘ってくるジータがこんなにも慎ましやかなモノを持っているとは。
 加え、ベリアルを誘う魔力の香りが漂い、理性を甘く溶かしていく。
 ジータの魔力はベリアルにとって好物のようなモノ。精液として直接胎に注がれるのも堪らないものがあるが、彼女そのものから摂取したらどうなるのか。
 ぴと、と鼻を押し付け、息を吸い込めばまさかの行動にジータは激しく嫌がるが、ベリアルはやめない。
 嫌だ、やめて、と拒否をするジータだが、ベリアルが陰核に吸い付くと鋭い刺激に声が詰まる。眼下で乱れる少女の姿をじっくりと見つめながら神経が集まった敏感な場所を吸引し続ければ、悲鳴に似た嬌声と共にジータの脚がベリアルの両頬を挟む。
 柔い肉に包まれ、その肌触りを楽しみながら今度は秘裂から滲み出るトロリとした体液をすすれば、ベリアルはその衝撃に目を見開く。
 永い時間の中で男や女、悪魔など様々な種族と交わってきた彼。その分人によって違う魔力を知っているが、ジータの魔力はベリアルによく馴染む。
 偽りの性器からではなく、彼女そのものから溢れる魔の力に魅せられたベリアルは、もっと欲しいという欲望のままに食らいつく。
「きゃひっ!? ベリアル待って、ん、ぁっ……! ぁ、舌がっ、奥までっ……!」
 異物を受け入れたことのない狭い穴に舌を挿し入れ、体液に満ちた膣肉を堪能すれば追い出そうと肉が蠢くが、それに逆らって奥へ。奥へ。
 口を秘部へと押し付け、口周りが甘露でベタベタになるのを気にせずにベリアルはジータを味わう。
 ピチャクチャと聞くに耐えない音にジータは腕で顔を覆い、喘ぐばかり。本当は声も我慢したいところだが、受け身は初めてなので無理な話。ベリアルから与えられる快楽に身を委ねるしかない。
 豊かなまつ毛に縁取られた目は閉じられ、どこか楽しげな雰囲気を纏いながら淫水を文字通り“飲んでいる”ベリアルの立てる湿った音と、ジータの甘い声が混ざり合ってハーモニーを奏でる。
 ジタバタと暴れる脚。やがてピン、と伸びて力が抜けた。
 すっかり意識が魔の力に満ちた淫蜜に向いていたこともあり、ベリアルはジータのこの反応でようやく彼女が達したのだと理解した。
 内部の収縮を感じながら口を離せば、口周りにはべったりと膣分泌液が付き、ベリアルは唇についたそれを舌で舐めとった。
 ベリアルと出会ったときからずっと男根からの射精という形でしか絶頂を知らなかったジータは初めて女の部分で達し、男とはまた違った快感にぷるぷると身を震わせている。
 目は虚ろになり、開いたままの口からは浅い呼吸が漏れている。
「女の快楽の感想はどうだい? いつもと違う感じだろ?」
「う、ん……。なんか、ぽわぽわしてる……」
「そうか。よかったよ。だがキミばかり気持ちよくなるのはフェアじゃない。オレもキミで善くしてくれ」
 担いでいた脚を下ろし、寝かせるとベリアルはジータの腰を掴んで引き寄せた。跪坐きざの姿勢で座るベリアルの体がむっちりとした太ももに挟まれ、互いの熱源が触れる。
 とろり、と愛蜜を垂らす性愛器官と布を押し上げる劣情の塊が触れ、ベリアルは腰を前後させて擦り付ける。
 はち切れんばかりに勃起したペニスをすぐにでも挿入し、ジータを直接感じたいとは思うが、ベリアルは自分で自分を焦らすことにした。
「うぅ……あつい、よ……」
「もう少し前戯を楽しもう。キミはオレに与えられる快楽に喘ぐだけでいい」
「あッ! ぅあ、」
 大きな体で小さな体に覆い被さり、ねっとりと囁くと、濡れそぼった幼い秘処に片手を伸ばす。
 男を知らぬ割れ目に中指を沈ませ、左右に動かすことで花芽を刺激し、時折膣前庭を押せば無限とも思えるほどに淫汁が溢れて指を濡らした。
「きゃぅ!? それっ、強くて駄目っ、んっ! んぅぅ!」
 ジータの顔を至近距離でじっくりと見つめながら手のひらで股間をまさぐり、恥蜜を花全体に塗り広げたのちに肉芽を摘めば、快楽のためだけにある器官が訴える痺れにジータから悲鳴が上がる。
 その声を飲み込むように口を塞ぎつつ、人差し指と中指を挿入すれば十分すぎるほどに濡れた雌肉は容易く男の指を受け入れたが、やはり初物。内部は狭い。
 拡張するかのように指を広げ、空気に晒せば恥ずかしい音となってジータの聴覚を犯す。
 やがて幼い場所に埋まる指は三本にもなり、慣らしはしつつも強く感じるところには触れず、指は不規則な動きでジータを翻弄するのみ。
 悪魔であり、想像を絶する力を有するベリアルにとって人間は思わず慈悲を与えたくなるほどに矮小な存在であり、ただ欲望を解放するだけの行為でここまで丁寧にはしない。
 そもそも相手が初めてであったとしても、今頃はベリアルの腹の上に乗り、踊り狂っている。
 それなのにじっくりと前戯に時間をかけているのは彼女が稀有な存在だからだ。故意ではないとはいえ、自分を召喚した少女。
 二千年以上生きてきて初めて召喚されたベリアルはそれだけでジータを特別視していた。
 長きに渡る歴史。自分を召喚しようとしていた人間が数多くいたのはベリアルも知っているが、誰も成功しなかった。
 彼に向けられた呼びかけに気づきはしたが、そのどれもが人間界へのゲートを開ききる前に消えてしまっていた。
 そもそも最上位悪魔であるベリアルを召喚するには人ひとりの魔力ではとてもではないが足りない。それをジータは一人でやってのけた。内部に絶大な魔力を秘めるが、それを扱いきれていない少女。
 プライドゆえに認めたくはないが、理由はどうであれ、ベリアルがジータを求めていた。
「ひっ……!? そんなの、無理っ……! 入らない……!」
「なに言ってんだ。いつもキミはコレをオレに挿入いれているじゃないか」
 起き上がり、革のパンツを脱げば天高く屹立する雄がジータの前に現れるが、挿入される側の彼女はあまりの大きさに入らないと戦慄き、喉を引きつらせる。
 ベリアルからすれば同じくらいのモノを生やし、躊躇いなくこちらの尻穴に突っ込んでくるのになにを今更、と笑ってしまう。
 怖がるジータの腰をベリアルは自分の方へと引き寄せ、血管が浮き出ている凶悪な勃起ペニスを割れ目にずりゅ♡ ずりゅ♡ と擦り付ければクリトリスも刺激され、シーツを握るジータの手に力が入る。
 狙いを定めるように野太い竿を手にし、ヒクつく穴に先端を添えれば、ベリアルが欲しいと言わんばかりに肉が吸い付き、飲み込まれた。
「ぁ……、あ、あ、ぁ……!」
 そのまま腰を前進させれば狭い穴をメリメリと亀頭が押し広げていき、ジータの目は見開かれ、閉じることができない口からは途切れながら声が漏れる。
「きっつ……! ほら、ちゃんと息して。大丈夫だから」
「ひっ、ぃ……! ぃい゛っ……! ぁが……っ……!」
「いい子だ。全部挿入はいったよ」
 腹の圧迫感にこれでもかというほどに目を見張るジータのブルーサファイアの瞳からは雫が止めどなくこぼれ、口ははくはくと短い呼吸を繰り返すばかり。
 繋がっているところにある出血にどこか満たされるのを感じながらも、見たことのない顔と弱々しさにジータがただの人間の子供ということをベリアルは思い出す。
「あぐっ……!」
「手はこっち。爪を立てたっていい。キミに傷つけられるなら本望だ」
 覆い被さるときに内部の肉も動き、ジータの顔が歪む。
 顔を真っ赤にし、泣きながら苦悶の表情をするジータの額にキスをし、シーツを握る両手を取ると、ベリアルは己の背中へと回させた。
 大丈夫だと言い聞かせながら唇を重ね、涙をぬぐったり、頭を撫でたりとジータが落ち着くまで動かないでいると少しずつ彼女の呼吸が平時と同等までに戻ってきた。
 ベリアルを見つめる濡れたブルースピネルには戸惑いの感情がありありと浮かんでいる。
 それは「どうしてこんなに優しいの?」という言葉になってベリアルへと問われる。
 言われたベリアルも考えてしまう。ここまでサービスするとは自分でも思わなかったし、今までしたことがない。
 たどり着く答えはやはり一つ。ジータだから。
 ベリアルにとって特別は悪魔たちの王であり、己の上司であるルシファーしかいなかった。それが偶然とはいえジータに召喚され、気づけば──二番目にはなるが、彼女が特別な存在になっていた。
「オレにとってキミは特異な人間……“特異点”だから。……そろそろいいかな?」
「うぅっ……! っ、はぁ……あっ、ぁっ!」
 セックス自体はジータが挿入する側で何度もベリアルとしてきた。痛みはなく、気持ちよさだけがあった行為。それが受け入れる側になるとこんなにも違うなんて。と、ジータは苦しげに息を吐く。
 彼女の様子を見ながら探るように浅い抜き挿しを繰り返していると、ジータが強く反応する場所をベリアルは見つけた。
 あとはそこを重点的に突いてやれば、突き上げに合わせて上がる嬌声に砂糖菓子のような甘さが含まれてくる。
「はっ、あっっ! そこ、ばっかぁ……! ひゃんっ、ぁ、あんっ、」
 肉襞がペニスを包み込み、扱き、たまらない感覚にベリアルも熱っぽい息を吐き出す。
 顔をジータの肩口にうずめ、彼女を抱きしめながら欲望のままに抽送を繰り返せばぐちゅぐちゃと互いの体液が混ざり、泡立つ。
「ベリアル、なんか変だよおっ! お腹きゅっ、ってしてっ、ひっぁ、あぁァっ!!」
「ッ……!」
「ぁう……出てるっ……私のお腹にっ、いっぱい……!」
 背中に立てられる爪が皮膚を破り、若干の痛みを感じると、内部が急激にうねり、ジータが達するのとほぼ同時にベリアルは欲望の種を爆発させ、彼女の胎へと注ぎ込んだ。
 抱えるように抱きしめ、汚染液をすべて流し込むと肉壁に塗りつけるように腰を動かし、彼女から離れた。
 今まで塞がれていた穴は小刻みに反応しており、中心の穴からは赤と白が混ざる体液が会陰を通って不浄の穴まで垂れている。
 体を痙攣させ、ぐったりするジータの姿は他の者と同じで見慣れた光景のはずなのに、ベリアルの劣情はすぐに兆し始め、彼女を求めた。
 ジータを起こし、あぐらを掻いた己の膝へと座らせると残っている衣服を脱がせ、抱きしめれば男の胸筋と少女の丸い脂肪が互いを押し、乳首同士が可愛らしいキスをする。
 硬くなっているそこを絡ませるようにベリアルが体を揺らせば、こそばゆい感覚にジータはいやらしい声を出し、ベリアルの肩に顔を押し付けた。
「あっ!? 待って、ベリア、ぁア゛っ! 奥までっ、挿入はいって……!」
 ジータの腰を持ち上げ、反り立つ熱杭へと下ろす。彼女自身の体重によって先ほどよりも深いところへと肉棒が届き、ジータの息が詰まる。それでも苦しさよりもベリアルに満たされているという悦びの方が強かった。
「分かる? キミの子宮が下りてきているの」
 精を搾り取ろうと吸いついてくる女の子だけの器官。腹の上からトントンと押せば悩ましげな声が耳元で上がり、少女の新たな一面にベリアルはもっと啼いてくれと下からの突き上げを開始した。
 部屋に響くのはベッドの軋む音とジータの淫声。与えられる快楽に訳も分からず喘ぎ、ベリアルの首に腕を回してしがみつくジータの瞳の奥にはハートが見え、舌はだらしなく垂れている
 ただひたすらに揺さぶられ、下半身から脳天へと這い上がる官能熱に合わせて彼女の熱く蕩けた肉がうねりながらベリアルを包み込む。
「あ゛っ! んァ゛ぁッ! ひぅぅっ♡」
「あァ……よく締まるッ……! 男は名刀、女は名器とは恐れ入ったよ……!」
 ボジュッ、バジュッ、と粘着質な水の音を立てながらジータを甚振いたぶっていると、ベリアルを抱きしめる力が急に増した。それは膣内も同じでギュゥッ……! と太茎を締め付ける。
 肉襞がもたらす圧にベリアルも我慢することなく吐精するとジータの体から力が抜け、彼にもたれかかる形になる。
 汗ばんだ肌の奥に感じる熱が、体温の低いベリアルにとって心地よかった。
「っ、ふぁ、ぁ……」
「オレたち本当に相性がいいな。突っ込み、突っ込まれ。どちらも最高だ」
「んぅ……!」
「ウフフ。キミの可愛いこの口でお掃除してくれないか? オレがキミにやってあげているように」
 膝に乗せているジータから萎えた自身を引き抜き、どこを見ているのか分からないとろん、とした目を向ける少女の唇を親指で撫でながら、甘ったるい声で誘惑する。
 ベリアルを穿ち、内部に精を吐き出したジータのモノを綺麗にする──というよりかは、もっと行為をしてほしいからとベリアルはフェラをよくする。それと同じことをジータに要求した。
 イッたばかりで体も精神も夢心地。ジータは頷くとベリアルから下り、彼も咥えやすいようにとその場で膝立ちになった。
 ジータの子供の手には余るほどの雄。優しく握りながら大きく口を開けると先端にキスをし、舌でひと舐め。ベリアルも射精したばかりで性器が鋭敏になっているため、ビクッ! と体を揺らした。
「そうそう……っ。その調子……」
 ベリアルがしてくれるときのことを思い出しているのか、ジータは目を閉じながらベリアルを雄を口に含む。頬の柔いところに亀頭を押し付け、口に入らない部分は手で扱き、二つの玉を揉み転がす。
 ジータが優位での攻めとはまた違う手の動きで、ベリアルの腰が重たくなる。
 温かく、ぬめった口内。膣とは違った気持ちよさがあり、硬度を失っていた陽根は少しずつ硬さを取り戻していく。
 性的な熱を宿す空の色で見つめながらジータは尿道に残っている精子を吸い出し、ベリアルに見せつけるように口を開けると、赤く濡れた舌の上に少量ながらも白濁が存在していた。
 淫蕩にまみれた笑みを浮かべると、躊躇いなくごっくんと喉を鳴らす。
 雄を喜ばせる自主的な行動にベリアルが髪を撫でれば、ジータは嬉しそうな顔をし、それがどこか犬っぽさを感じた。左右に振る尻尾まで幻視できそうだ。
 撫で終わるとジータの顔は再び陰茎へ。じぃっ、とベリアルを見上げながらぱくり、と丸い笠を食べ、飴を舐めるかのように舌を動かす。
 さらには裏筋を下から舐め上げたり、血管の浮いた竿にキスをしたりとジータはベリアルの射精を促す行為をやめない。
 彼女以外の相手で数え切れないほどに見てきた場面のはずなのに、ベリアルは普段とは違うジータに激しく欲情していた。
 艶がある息を吐き出すと、射精を訴える分身をおもむろに手に取る。逃げないようジータの頭を固定すると、彼女の顔に向けてそのまま欲望を弾けさせた。
 びゅるるるるっ♡ びゅぅっ、びゅっ♡
 そんな間抜けな音が聞こえてきそうな射精。三回目だというのに量は減ることはなく、ジータの可愛らしい顔に白く濁った化粧が施される。
 白濁は彼女の蒼海色の髪まで汚染し、どろりとした粘性の体液は顔のラインに沿って流れ落ち、ジータは反射的に閉じていた目を開眼させる。
「……おいしい」
 頬に付いた白露を指で掬い、口に運んだ際の言葉。ふにゃりと笑いながらの甘言にベリアルの感情が揺さぶられる。
 最高位の悪魔である己が、人間の少女に乱されることなどあってはならない。分かってはいるが、どうにもコントロールが効かない。
 ジータが欲しい。もっと深いところまで繋がりたい。
「なあジータ……ソドミーしないか」
「ソドミーって……まさか」
「そう。いつもキミとオレがしていること」
 不気味なほどににっこりとしながら言うベリアルにジータは我に返り、ぶんぶんと首を横に振る。無理だと。
 柔軟性のある膣も彼を受け入れるのに苦しかったのに、それよりも狭いアヌスに挿入いれられたら壊れてしまう。
 ベリアルは行為に慣れているので極悪な滾りを受け入れられるが、ジータは突っ込むのは経験済みでも突っ込まれるのは初めて。
 半泣きになって怖がるジータを「大丈夫だから」と頭を撫でながらあやし、ベッドにうつ伏せにすると尻を突き出す体勢にした。
 二つの穴が丸見え状態のこの体位。前の穴からは孕み汁が重力に従ってベッドへと流れ落ちる。
 体に力が上手く入らないジータはされるがまま。首だけで振り返り、ベリアルを見つめる眼差しは不安一色。
「もちろんちゃんとココはほぐしてあげるさ。特別な潤滑剤も用意してある」
 ジータのまろい尻を撫で、小さな穴を人差し指で軽く撫でると、ベリアルの本気が伝わったジータは息を呑む。
 なにもない空間。握っていた手のひらをベリアルが開けば、宙に大きめな試験管が現れた。
 中を満たすのは毒々しいピンク色。ベリアルは宙に浮くそれを手に取り、コルク栓を抜くとジータのお尻の穴へと垂らしていく。
 潤滑剤と言っていた通り液体は粘度があり、本当にお尻でするのだとジータの体がこわばる。
「冷たくはないだろう? 温かいローションにしたんだ」
「んっ、あったかいけど、なんかッ……ひぅっ、ア゛っ!?」
「さっそく効いてきたかな?」
 中身を出し切ったガラス容器はその姿を霧散させ、初めからなかったように消えてしまった。
 温感ローションを丁寧に窄みに塗りつけながら、試しに人差し指の第二関節まで挿入すればすんなりと入り、ジータは不意打ちに喘ぐ。
 それでも痛みはないようで声には悦が含まれていた。ベリアルは潤滑剤の成分を脳内に浮かべながら満足そうに笑い、緩慢な動きで指をさらに埋めていく。
「ねえ、んぅっ♡ お尻って、あっ♡ 初めてでもこんなにっ、気持ち、いいの……? それになんだかっ、お腹も、ひっ♡ 変なの……!」
「普通だったら難しいが……言っただろう? 特別な潤滑剤だって。コレにはオレの魅了の魔法が込められている」
「魅了……?」
「キミに話したことあったかな? 魅了はオレの専売特許。もっとも得意とする魔法なんだ。初めてでも善がり狂えるほどに快楽を増幅させる。現に痛みなんてなくて、気持ちよさだけを感じているだろう?」
「ん゛ぎっ!?♡ お、おッ゛!?♡」
「ほら。もう二本目だ」
 絡みついてくる肉をぐちぐちと拡張しながら中指も挿入すれば、ジータは今まで出したことのない声を上げ、恥ずかしさだろうか。枕に顔を押し付けて声を殺した。
 変な声が出てしまうのは仕方のないこと。悪魔の王、ルシファーに次ぐ力を持つベリアルの魅了が込められた液体を粘膜から直接摂取したのだ。処女でも娼婦のように狂うというもの。
「あ゛ぅ゛ぅ!♡ 声っ、変なこえっ! でちゃ、やだぁ、やだぁっ!」
「我慢しなくていい。全部曝け出しな」
「お腹の奥があつい、あづい゛のっ! やだやだやだァっ! べりある助けてぇっ!」
 ベリアルに助けを乞うのは白く濡れた頬を紅潮させ、涙と鼻水を垂らした少女。澄み渡る空を想像させる蒼にはハートの形がはっきりと見え、瞳からは大粒の真珠を幾つもこぼしながらひたすらに助けを求める。
 薬指も挿入し、トロトロにほぐれたアヌスを前の穴と同じ要領で慣らしていく。火傷しそうなほどに熱を持った内部はベリアルを求め、肉が指に吸い付いてくる。
 彼女に攻められるのもいいが、こうして攻めたときの反応もベリアルの性欲を激しく掻き乱す。もっとジータの獣じみた反応が見たいと唇を舐め、顔が押し付けられている白い枕の上で揺れる蒼髪を見ながら、じっくりと少女を視姦していく。
 男の指を三本も受け入れているジータだが、疼きを感じる場所までは届かないようでかぶりを振りながらベリアルを求める。
 解決する方法はただ一つ。指では届かない場所をベリアルの雄勃起でぐちゃぐちゃにかき混ぜればいい。
「もっ゛、やぁ! 早くっ、はやぐぅっ!」
「早く、なに?」
 ジータがなにを求めているかなんて分かっているのに、ベリアルはわざと気づかないフリをしながら指を動かし、拡張するだけに留まる。
「いじ……わるっ! あなたがっ、ッん♡ したいって言ったのにぃッ……!」
「オレとしてはキミのアヌスが裂けないように、もう少し拡げた方がいいと思ってるんだが?」
 食い意地の張った尻に指の根本までずっぷしと食わせながら涼しい顔で答えていると本当に限界なのか、ジータはなにかを葛藤するように目を強く閉じた。数秒の沈黙のあと、決意したのか開眼する。
 快楽に染まり、暗く濁り堕ちた瞳をベリアルへと向けながら片腕を伸ばし、尻穴をほじくる手を掴んだ。
「おねが……い。ベリアルの、挿入いれて……。奥まで満たしてっ……。そうじゃないと私、本当におかしくなっちゃう……!」
 可愛い可愛いおねだりにベリアルの口の両端が上がる。
 彼としてはもう少し淫乱めに求めてほしかったが、及第点。よしとしよう。
「ぃ……! ァ、ぁ゛、はひ、ゃ゛、は、はぃ゛っ……! はぃっへ、う゛ぅ……!」
 指の代わりに何倍もの質量を持つ肉の塊が狭い入り口を通り抜け、肉の広がりに包まれる。望み通り奥まで満たされたジータは美味しそうにベリアルのペニスをアヌスで食べていた。
「お゛っ♡ あ゛っ♡ あ゛ぁっ! おひりっ、くぅ゛しぃのにっ♡ ずぼずぼされてっ♡ んぁ゛っ、ぎもぢっ、いい゛よぉ♡♡」
「おいおい、女のコが出しちゃイケナイ声が出てるぜ? そんなにソドミーが好きかい?」
 ついに声を我慢することをしなくなったジータを揶揄しながらベリアルはバックの体勢から身を屈め、耳元で囁やけば些細な刺激も大きな快楽へと変換されるのか、ジータの体は波打つ。
 獣の体位なので今、ジータがどんな顔をしているのかは見えないが、想像するのは難しくない。ベリアルの魅力の力が込められたローションで内部をほぐされた影響で理性など吹き飛び、メス犬と化した彼女はようやく性を解放し、ベリアルを抱くときと同じレベルまで堕ちてきた。もしかしたらそれ以上かもしれない。
 ああ、たまらない。平時は性の香りなど微塵も感じさせない少女のあられもない姿。知っているのはこの世でベリアルだけ。
 この先もきっと……。
 そこまで考えてベリアルは自嘲する。自分で思っているよりもジータに入れ込んでいると。今まで誰も向けたことのない独占欲。この先もずっと自分だけしか知らなければいいのに。否、自分以外は知らなくていい。
 彼女が望むのならば抱かれることも、抱くことも厭わない。ジータが欲しい。その理由は彼女の持つ魔力に惹き付けられたせいなのか、それ以外なのかはベリアルには分からなかったが、どうでもよかった。
 己がこの人間を渇望している。それだけで。
「ぉ、ごっ!? う゛ぐ、ぅ゛ぅ゛♡ ぐりゅ♡ て、おぐ、だめぇ゛っ! ひんっ♡ お腹ぼこっ、ってしてぅ♡♡」
 人としての尊厳を捨てた獣に対してベリアルは無性に愛おしさと征服欲を感じ、その思いのままに下腹部に手をやれば彼女の申告通りに不自然な膨らみがあった。
 前の穴では痛がっていたのに、それ以上に狭いアヌスでは善がり狂っているところを見ると魔力の量を間違えたかな? と思ったが、普段よりも激しい乱れ方に興奮が留まるところを知らない。
 すりすりすり。まるで妊婦の腹を撫でる手付きでさすり、軽く力を入れれば、ジータはそれだけで喉を反らせた。
「ンひい゛ッ! 押しちゃ、お゛しちゃやら゛っ!♡ ぁア゛ああッ!!」
「キミってこんなに淫乱だったっけ?」
「お゛ッっ……!♡ 淫乱じゃ、ン゛ぁっ゛♡ ない、もん゛……! ひっ、ぉ、お゛♡♡」
「フフ。そういうことにしておいてあげるよ」
 ローションを内部で撹拌するようにピストン運動をすれば内蔵が引っ繰り返りそうな衝撃に、ジータは枕に顔を伏せながら濁点混じりに否定する。
 ベリアルはここまで乱れてもなお、認めようとしないジータに笑みをこぼしながら腸内の締め付けを味わい、獣の如く遠慮なしに腰をぶつけた。
 汚濁にまみれた喘ぎはベリアルを満たし、昂ぶらせる。今日はなんてラッキーな日なんだ。まさかジータを抱けて、前後の処女も貰えるなんて。
 ベリアルにとってジータを無理やり抱くことは難しくない。ただ、良好な関係にヒビを入れたくなかった。それほどにベリアルはジータに魅せられていた。
 またいつ抱かせてくれるか分からないのだ。今のうちに可能な限り彼女の穴で感じていたい。
「や゛ッ、 そこ、まっ、ア゛ぁ゛♡ そこ、そこぉ゛ッ♡ おかひく、なあ゛ッ、ん゛ぉ、お、ォっ゛!♡♡」
「ははっ、すっげー声。本当にケダモノだな」
「あ゛ぅっ♡ も、ぎもちい゛いの、い゛らな゛い゛ぃッッ♡ ふぁ、あ゛あっ♡♡ や゛らあぁッ♡ イくっ、イグぅぅ゛ゥッ!♡♡」
「フフ……さあ受け取ってくれ。ホワイトクリスマス。ジータ」
 雌肉の蠕動ぜんどうに搾り取られそうになるが、耐え、腰を引くとジータを素早く仰向けにしし、その胴体目掛けて雄汁をブッかけた。
 ジータの体液やローションで濡れた長大から吐き出された濃厚汁が赤みを帯びた体を白く染め、少女のぐちゃぐちゃになった姿にベリアルは熱くて重い息を吐く。
 体を震わせながら気をやっているジータの顔はベリアルが顔射した精液や、自分の涙、涎でとてもではないが人に見せられる状態ではない。
 だらしなく投げ出された脚の間にある脂肪の割れ目も白で汚れ、まるで陵辱されたあとのような光景で非常にそそられるものがあった。
 ベリアルが挿入される側だとジータの気分しだいでもう何回戦かするのだが、それは彼が悪魔という人外でさらに最上位種という並外れた体力があるからできること。
 今回される側のジータは人間。同年代の女よりも体力はあるが、それでもこれ以上は難しい。
 いつもならば行為が終わればベリアルが浄化魔法を使い、ベッドや体の汚れを取り除くのだが、白濁まみれになっているジータをもう少しばかり見ていたいと、彼女の横に寝転ぶと肘枕をして見下ろす。
 ピクピクと小刻みに体は反応しているものの、ジータが目覚めることはない。きっと朝まで起きないだろう。

「やあ、オハヨウ」
「ベリアル……?」
 ぱちり、と目を開ければいないと思っていた人物が真横におり、なおかつ抱き寄せられている状態にジータは困惑する。
 部屋は寒く、薄暗い。きっと外は雪が降っていて天気が悪いのだろう。
 ふと、机に置いてあるデジタル時計を見れば休日に起きるにはちょうどいい時間だった。
 時刻を確認したところで隣の男へと視線を戻す。何度濃い夜を共にしても朝になればいないこの男。それがなぜ今日はいるのか。
 それはいいとしても、ジータは己の声のしゃがれ具合に喉に手を当てた。彼女の少し高めの声は今では風邪を引いたときのような声に変わっている。
「昨日はすごかったからなぁ。覚えてる? まさかキミのあんな乱れた姿を見れる日が来るなんて……思いもしなかった」
「思い出したくない。……うわぁ、なにこれ」
 ベリアルの魅了の魔力が含まれた潤滑剤。腸粘膜から吸収した瞬間、羞恥心もなにもかもが吹き飛び、与えられる欲望にケダモノの声を上げるばかりになって──。
 ジータはあまりの恥ずかしさにぎゅむ、と目をつむり、倦怠感が残る体を起こせば顔や体、脚の間の違和感に顔をしかめる。
 特にお尻はムズムズとして変に意識してしまい、無理やり違うことへと逸らす。
 体中に残るベリアルの残滓ざんし。微かに残る記憶には最後、体に向かって射精されたことを覚えているが、これは明らかに何度も射精された。
 人が気を失っている間にこの悪魔は白く粘った体液を何回吐き出したというのか。乾き、違和感しかない体を思いながら未だにベッドに寝転ぶ男を見下ろすとニヤニヤとした笑みが視界に入り、角を引っこ抜いてやりたくなる衝動に駆られる。
「オレのザーメンまみれになったキミを見ていたら勃起が治まらなくてね。ついつい一人アソビに耽ってしまった。あぁ、ナカには射精してないからそこは心配しなくていいよ」
「悪魔と人間。そもそもの種族が違うんだから妊娠しないでしょ」
「どうだろうなあ……。キミとオレ、相性が良すぎるくらいにイイからもしかしたら、の可能性もある」
 起き上がったベリアルに背後から抱きつかれ、背中に筋肉の凹凸を感じていると子宮部分へと伸ばされる手。
 すりすりすり。後孔を犯されていたとき、腹部の膨らみを撫でられたときと同じ手つきで撫でられ、ジータは震えた。
 人間と悪魔の歴史は古いが、その中で異種族の間に子供が生まれた記録はジータの知る限りない。だが、仮に宿ったとしてその子はいったいどんな形で生まれてくるのか。
 ヒト型? 異形? 己で扱いきれぬ魔力を秘める少女と、魔界の王に次ぐ力を持つ悪魔。その二人を親に持つ子の力は?
「……って、なに自分だけ水飲んでるのよ、んぅ!?」
 ベリアルを見上げれば彼の手にはいつ出したのか水の入ったワイングラスがあった。色のない飲み物を見て、ジータは喉が急激に乾くのを感じ、グラスに口を付けるベリアルに自分ばかりとなじる。
 すると彼は最初からそうするつもりだったかのようにジータの顎を掴むと唇を重ねた。流し込まれるひんやりした液体。目を皿にして驚くジータだが、吐き出すわけにもいかず、喉を数回鳴らして飲み込んだ。
 ひりついた粘膜が潤い、もっと欲しいと思うが。
「ねえ、普通に飲ませ、んふぅぅ!?」
 水を口に含み、ジータに口移し。それを何回か繰り返し、グラスの水が空になるとようやく解放された。軽く咳き込むジータをよそにベリアルは手に持っていたグラスを消すと、軽々とジータを抱きかかえ、ベッドから下りた。
 今日のベリアルは変だ。頼めばしてくれるとは思うが、普段は自分からこんなことはしてこない。
「どこに行くの?」
「風呂。浄化魔法で綺麗にしてやれるけど寒いし、風呂場で熱く絡み合おうじゃないか」
 人ではない彼が寒さを感じるのか疑問ではあるが、ジータはされるがままを選んだ。そもそも体を動かすのが酷く億劫なのだ。全部ベリアルに任せることにした。
「……どうして今日は優しいの」
「普段から優しいだろ? オレ」
「だっていつもはいないじゃない。魔法で綺麗にして、あなたは帰っちゃう」
「まあ……今日はクリスマス、ってやつだからな。今日一日オレをプレゼント」
 ベリアルの答えにジータが感じた感情は嬉しさだった。
 ジータの父親は冒険家で彼女が小さい頃にはもう行方不明。母は数年前に亡くなり、一人には慣れているつもりだった。
 けれど、こうして人──ではなく、悪魔であるが、気まぐれでもそばにいてくれて胸が温かくなる。
 今までとは違うクリスマスにジータはくすぐったそうに笑うと、ベリアルの胸に顔を寄せて甘えるのだった。