ファーさんの被造物ジータちゃんを穢したくてたまらない副官ベリアルの話

 無機質な機械が幾つもあるここは研究所の一室。そこに一体の星晶獣がいた。
 肩まで伸びた柔らかな金糸の髪にブラウンの瞳を持つ少女の背中には、研究所にいる他の星晶獣たちと違って羽はない。
 彼女の名前はジータ。天司たちの前身である星晶獣で現在は研究所所長のルシファーの身の回りの世話をしている。それが彼女に与えられた役割だ。
 造られたばかりの頃はひと通りのデータを取った後に廃棄される予定だったが、彼女は星晶獣にしてはあまりにも感情豊かだった。
 人工物とは思えないほどに思考能力もヒトに近いということで廃棄をまぬがれ、ルシファーの世話という役目を得た。
 いまは実験後に出た不要物の片付けをしていて、もう少しで終わるというところで背後から何者かに抱きしめられた。
 彼女は反射的に悲鳴を上げるが己の胸元に回された手がしているグローブを見て落ち着きを取り戻し、その場で顔を上げる。
 触り心地がよさそうな暗い茶髪。なめらかな白い肌に映える柘榴色の二つの目。何度見ても美しいとジータは密かに感嘆しつつ、頬を緩めた。
「どうしたの? ベリアル」
 ──ベリアル。初期に造られた天司の一人。現在は天司長副官として、天司長であるルシフェルとともにルシファーのために働いている。
 自分より高性能でも後に造られた彼らのことを弟みたいだと思っているのはジータだけの秘密。
 人懐っこい笑みを浮かべているベリアルに問えば、彼は少し困ったように太めの眉を下げて体の不調を訴えた。
 ジータは首をかしげる。不調ならば自分より造物主であるルシファーに言うべきだ。
 たしかに彼のそばに長年いるジータはひと通りの作業はできる。
 それでもやはり……と思ってしまうが、頼られて悪い気はしないのでどこが不調なのかを聞けばここでは言えないという。
「オレの部屋に来てくれないか?」
 この場で言えない理由が掴めないがこの後の予定もないのと、造られた存在である星晶獣だというのに極度のお人好しのジータは頷き、残りの片付けを手早く済ませると居住区にあるベリアルの部屋に向かった。

「さあ、入って」
「お邪魔しまーす……」
 ベリアルに促されて部屋に入ったジータは自分に与えられた部屋と比べて殺風景だという印象を持った。冷たい色をした硬い床に置かれているのは最低限の調度品のみ。
 窓からは太陽の光が降り注ぎ、部屋を明るく照らしていた。
 あまりジロジロ見るのも失礼だと思い、視線をベリアルに向ければ人の良さそうなと同時に胡散臭い笑みを浮かべながら腰に腕を回され、ベッドに向かう。
 部屋に雄と雌、ベッド。これらの意味することをジータは知らないので、ベリアルに誘われるがままにベッドの縁に隣同士に腰掛ける。ベッドは大きめなサイズなので二人が座ってもまだ余裕がある。
「それでどこが不調なの? 私で治せればいいんだけど」
「実は……ココが腫れて苦しいんだ」
「ここ? ……あっ、本当だ! すごく腫れてる……」
 ベリアルが指差した先にあるのは股間で、トップと同じ色をしたボトムを押し上げている。
 ジータの知識としてはヒトと同じ姿をした自分たちは細部まで作り込まれているので雌の局部には女性器、雄には男性器がある。その程度だった。なぜ男性器が腫れるかなんて知らなかった。
「ごめんね、ベリアル。ここをどうすれば元に戻せるか私じゃ分からなくて……。お父さまのところに行こう? そうすれば治してくれるよ」
「えぇ……こんな恥ずかしいところをファーさんに見せろだって? キミだから相談したのに……」
 眉目秀麗な顔が悲しそうなものへと変わり、ジータの心が揺れる。大切に思う存在が困ってる。恥ずかしい気持ちを抱えながらも自分に相談してくれた。自分でなんとかできるなら──助けてあげたい。
 お父さまと呼び慕うルシファーにも『お前は愚かなほどにお人好しだ』と指摘されたことを思い出しながらジータは決心すると下半身へと向けていた顔を上げて真剣な表情でベリアルを見た。
「私にできることがあるならしてあげたい。どうすればいい?」
「──アリガトウ、ジータ。まず……」
 口元を隠すように手を当てたベリアルは長い脚をベッドに上げると軽く開いた。そのままボトムのチャックを下げ、黒い下着を下ろせば勢いよく陰茎が飛び出す。
(えっ!? ものすごく腫れてない!? 大丈夫なのかなぁ……)
 布の上から見ただけは想像もできなかったモノ。赤黒い怒張は太く、大きく、先端からは透明な汁が滴っている。
 その光景にジータは少し引いてしまうが、ベリアルを助けるためだと己を奮い立たせ、彼の指示を仰ぐ。
「びっくりした? ゴメンネ」
「いいの。それでどうすれば?」
「舐めてほしいんだ」
「な、舐め!? ……分かった」
 顔を真っ赤にしながらもジータはベッドに正座するとベリアルの脚の間に屈み込んだ。血管の浮き出た肉棒に顔を近づけ、恐るおそる舌を伸ばして舐める。
(ビクビクしてる……。苦しいんだ。早く楽にしてあげないと)
 目を閉じて下から上へと癒やすようにぺろぺろと舐める。エグみを感じる体液が止めどなく流れ落ち、ジータの唾液と混ざり合って陰茎を濡らしていく。
 なんとなく別の場所を舐めてみたくなって、ぷっくりと膨らんで丸みを帯びているところに舌を這わせると、ベリアルは脚をびくりと震わせて詰まったような声を吐き出す。
 もしかして痛かった!? そう思ったジータは慌てて顔を股から上げ、ベリアルに謝罪した。
 言われた意味が分からないとばかりにきょとんとした表情をするベリアルだが、ジータの内心を察すると小さく吹き出す。
「ごめんごめん。別に痛かったわけじゃない。逆に……いいや、“治療”を続けてもらっても?」
「うん。任せて」

 再び動き出すジータを見下ろし、ベリアルは手で隠した口を大きく歪めた。崇拝する創造主の庇護下のもと無垢なまま日々を過ごす、見た目は少女でも己より早く造られた存在をいま、自分が穢している。
 まさかここまで知識がないとは。前戯を医療行為だと疑わず、ベリアルのためだと恥ずかしさを押し殺して舌を這わせる少女を蹂躙したくて仕方がない。
 このまま頭を押さえ、乱暴に腰を打ち付けて喉奥まで犯したい。涙でぐちゃぐちゃになるであろう彼女の顔を見ながら射精したい。
 正直誘ったとき、ジータが泣いてルシファーに言いつけて自分が廃棄処分されても、こうして想像どおりの展開になってもベリアルはよかった。
 前者は思慕する造物主によって命を終えることができるし、後者は綺麗なキレイな少女を汚染できる。
「んッ……はァ……そう、上手だねジータ……。キミが嫌じゃなければ口に含んでもらっても?」
 指通りのいい金糸を梳きながら声をかければ、潤んだ目と視線が重なる。舐めるのをやめ、目線をベリアルから逸らしたジータは、数秒思案すると頷いた。
 緊張でガチガチな動きだが、唾液と先走りでぬめったジータの口内に亀頭が包まれる。
 強い刺激と、ずっと犯したいと思っていた少女を自分の意のままに操っている。それだけでベリアルは達してしまいそうだった。
「んっ……うぅっ、んん、」
 小さな口いっぱいにベリアルの怒張を頬張り、モゴモゴと舌を動かすジータだが、それだけでは物足りない。なので更なる指示をベリアルは告げる。
「口に入らないところは手で握って……うん、そうそう。呑み込みが早くて嬉しいよ。そのまま上下に擦って……くッ、」
 ベリアルの言葉を律儀に守るジータは雄のどこがイイかなど知らずに舌でカリ首を撫で、口内に溜まった唾液を飲み込む動作をするときには小さな穴を吸引してしまう。
 手も口の中に入りきらなかった部分を握り、規則正しい上下運動を繰り返している。紛れもなく男を射精へと導く行為なのだが、ジータは気づかない。
 もちろん恥ずかしさは感じている。しかし、それ以上にベリアルを助けてあげたいという気持ちが勝っていたのだろう。
 ベリアルが自分を毒牙にかけるとは……思っていない顔だ。
 込み上げてくる射精感。このまま口の中に汚濁を吐き出そうか。それとも引き抜いて可愛い顔にぶっかけようか。
 どちらも非常に魅力的でベリアルは迷う。
「っ……ジータっ、でるっ……!」
「んふぅっ!? ん、んんーーッ!」
 迷った末に選んだのは口だった。逃げられないように後頭部を押さえ、白く濁った体液をブチ撒ける。
 顔に出すのもいいが、自分の体液がジータに吸収され、一つになるほうがベリアルの仄暗い欲望を刺激したのだ。
 粘性のある苦いものを出されたジータはどうすればいいのか分からず、上目遣いでベリアルを見る。
 ここまでされても泣かずに従順になる少女が本当に愚かで、可愛らしくて、サディズムが満たされていくのを感じながら、ベリアルはようやく口元を隠していた手をどけた。
 現れたのは歪みきり、口の両端を上げて笑うモノではなく、貼り付けたような柔らかな笑み。狡知を司る彼にとっては本心を隠すことなど容易い。
「飲んでくれる? もちろん、キミが嫌なら吐き出して構わない」
 あくまでも、ジータの意志で選ばせる。彼女の性格を知った上での発言。もう、答えなど出ている。
 言われたジータは迷うが、目を伏せると喉を数回鳴らした。
(あぁ、ヤバイ……ジータがオレのザーメンを飲んでる……! 嫌な顔ひとつせずに! なぁ……キミはどこまでシたら拒否してくれる? どこまでイケば、泣いてオレを拒絶してくれる?)
 背徳感がベリアルの脳を刺激し、今すぐにでも口を歪めたくなったが、こらえる。
「ベリアル……この苦いのって、なに……?」
「ホントウに知らないの?」
「うん……」
 股間から顔を離し、上体を起こしたジータは困惑の表情でベリアルを見つめ、無知を晒す。
 彼女の親は性的なことに興味がないし、周りにいる他の星の民もそういう話題を彼女に振らない。また、天司たちもそういった知識が仮にあったとして、わざわざ彼女に対して言う必要がない。
 ゾクリ、と甘美な熱がベリアルの体を駆け巡り、それは一度萎えた男根を再び充血させるには十分だった。
「あっ! また腫れてる! ど、どうしよう、もう一度口でしたらいいかな?」
 驚愕の声を上げ、慌てたジータは再び股に顔を埋めようとしたが、ベリアルに両肩を掴まれたためにその動きは止まった。
「なぁジータ……」
 猛毒を含んだ甘い声で彼女の名前を呼ぶ。
 自分の顔はいま、歪んでいないか? いつもの笑みを保っているか?
 自分自身のことだというのにベリアルは分からないでいた。己の表情より、今は彼女がどこまで自分に対して許容してくれるかが知りたかった。
 男の濁った欲望が渦巻く。
「今度はキミのその胸でシてくれないか」
「へっ!?」
 ベリアルの爆弾とも思える発言にジータは胸を隠すように両腕で自分を抱きしめた。林檎色に染まる顔。ベリアルからすれば性器を口でしゃぶったのになにを今更、な心境である。
「恥ずかしい?」
「あぅ……でっ、でも……」
「オレも脱ぐからさ……」
 ジータの答えを待つ前に軍服の上着と黒のインナーを脱ぎ、床に放る。正直この服は窮屈であまり好きではないが、白というのはなにかと都合がよかった。
 少女の前に現れるのは程よく引き締まった大人の男の体。イケナイものでも見ている気がするのか、ジータは視線を逸らす。
 初心過ぎる反応が新鮮でベリアルは気持ちがいいのか、楽しそうにジータを見つめている。

(胸でしてって、恥ずかしいよ……。口だけでもすごく恥ずかしかったのに。でもベリアルのあそこ、また腫れてるし、私で治せるならやっぱり……)
 ジータはというと迷っていた。治療なら口でできることを知った。
 ならばもう一度口ですればいいのだが、違う方法を彼は提案した。これも治療法の一つなのだろうか。
 この体を見せたことがあるのは創造主であるルシファーのみ。それも定期メンテナンスなどで見せるだけで、そこに今のようなイヤラシさはなかった。
 また、ルシファーもジータに触れるときは極めて淡白で作業的。自らの作品の具合を確認するためだけに触れていた。
(それにしてもベリアルの体、すごく綺麗……。さすがお父さま。完璧な黄金比……)
 ルシファーはルシフェルを最高傑作と称えるが、ジータからすれば彼と同時期に造られ、能力差もあまりないベリアルもそれに準ずるものだと思っていた。
 天司の前身として造られた自分にはない羽、力、美しさ。どうしたって焦がれてしまう。
(コアが……熱い……)
 自分そのものでもある心核。それの温度が急激に上昇し、内側から強く鼓動を繰り返す。コアの異常。早くお父さまに見てもらわなければ。
 でも、ベリアルを放っておけない。治療とはいえ、もう恥ずかしいコトはしてしまったのだ。いまさら胸で恥ずかしがっていても仕方がない。
 己を奮い立たせ、ベリアルと向かい合う。どうすればいいのか教えを請えば、彼は慈しむような表情をすると卑猥な言葉を平然と言ってのける。
「胸でオレのペニスを挟んでほしいんだ」
「挟む……? こう、かな……」
 ワンピースタイプの服を肩から落とし、お腹辺りまで下ろすと形のいい二つの膨らみがぷるん、とこぼれる。
 他の女性体の天司はみな胸が大きく、ジータは自分の胸が少しばかりコンプレックスだった。
 屈み込み、胸の谷間にベリアルの屹立を迎える。肌越しに熱を感じ、それだけで変な気分になってしまうのか、ジータの顔は熱に浮かされたようにボウっとしていた。
「ジータの胸は可愛いね。形も整ってキレイだ」
「かっ、かわ……!? そんな、私の他の子に比べて小さいし……」
「小さいのが悩み? キミは人間に近い存在だからもしかしたら揉め……いや、なんでもない。それよりそのまま胸を寄せて、上下に擦って」
 ベリアルがなにを言いかけたのかは分からないが、ジータは彼の指示を忠実に守る。
 胸を寄せ、そのまま上下運動を繰り返す。慣れない動きに戸惑いながらもジータは真面目な表情でコトに及んでいた。
 ぬるぬるした色のない体液が矮小な穴から滴り、潤滑油代わりになって動きをスムーズにしていく。
 胸で擦る度に粘着質な音が響き渡り、ジータの耳をも犯す。
(本当にこんなので治るの……? うーん、ココもまた口に含んだほうがいいのかな)
 ちゅ。
「っ!? ッ……! オイオイ、そんなこと教えてないぜ?」
「え? だって口でしたら治ったでしょ? だから……」
「フフフ……いいよ。指示を守るだけじゃなくて、自分の頭で考える子は好きだ」
 嬉しそうな顔をしながらベリアルはジータの頭を優しく撫でる。そんなに褒められることをしたのかな、とジータは疑問を覚えつつもベリアルの治療を続けた。
 柔らかな媚肉で彼の分身を包み、口では吸ったり舐めたりを繰り返す。テクニックもなにもない単調な動きだが、ジータの頭上からは艶の含まれた声が降ってくる。
 チラリと目を向ければ、ベリアルの紅玉と重なり合う。口を片手で隠しているものの、吊り上がったソレは完全には隠せていない。
 ジータよりも白い肌に赤みが差し、明らかに興奮している。その顔を見ていると己の腹部に異変を感じた。
(なんか、変な感覚……おなか、熱い……)
 今まで生きてきて体験したことのない感覚。
 変だ。確実におかしい。コアも、この体も。
 自分に一体なにが起きているのか。狭い世界しか知らないジータは分からない。
 ベリアルなら教えてくれるだろうか。空の民の進化のため、狡知という名の知性を司る彼ならば。
 ずちゅずちゅと水音を立てながら医療行為を続けるジータの顔は熱があるかのように赤く染まり、お腹の奥もじんじんと疼きを訴える。
 ベリアルの声もより一層苦しげなものに変わり、心配になって目で訴えれば彼はまたジータの頭を撫で、甘ったるい声で「そのまま続けて」と促す。
 彼がそう言うのならとジータは柔い膨らみで雄を刺激し続けた。血管が浮き出る陽根は先ほどよりも太く、今すぐにでも暴発してしまいそうだ。
 胸の間から顔を出す先端をたっぷりと唾液の溜まった口の中に迎え入れ、舌で丁寧に舐めれば彼の気持ちのいい場所に当たるのか、脚が震える。
「上手だねジータ……。ハァ……オレもそろそろっ……!」
「きゃっ!?」
「おおっと、悪いわるい」
 口の中から先っぽを解放した途端、ジータの胸をベリアルの加虐的な欲望が穢した。
 至近距離で受けたので顔にも少し掛かり、独特の匂いにジータの意識が持って行かれそうになる。
 更に熱くなるコアと疼く体。彼女の目はとろんと蕩けたものへと変わっているが、本人が気づいているかどうか。
(終わった……? 早く、お父さまのところに行って、それで……)
 体を起こしたジータの目はベリアルに向けられているが、彼を見てはいない。思考能力が低下し、単純なことしか考えられない。
 そんな彼女を現実に引き戻したのは、汚染液で濡れた頬に舌を這わせるベリアルだった。
「ひっ……!? なに、してるの、ベリアル」
「ナニって、汚してしまったから綺麗にしているだけだけど」
「ひぁぁっ……!? や、やめて、布で拭けばっ、あぅっ……!」
 さも当然だろうという口調でベリアルはジータの頬をもう一度舐め、下へと移動した。首から胸、そして一番汚れている谷間。
 丁寧に舌で舐めとり、時折キスを織り交ぜる。彼に触れられる度、ジータの体はがくがくと振動を繰り返す。
 神経が過敏になったかのように強い反応。ベリアルを止めればいいのだが、彼の手が背中と腰に回されていてどうしても体が動かない。

(あぁ……とってもイイ反応だよジータ……)
 吐き出した体液を己の体に戻しながらベリアルは恍惚な表情をする。自分の腕の中で震えるしかない彼女が本当に可愛らしくて、とても愛おしくて。
 ──もっと酷いことをしたくなる。
 このまま思い切り歯を突き立てて傷をつけたい。滲み出てきた真っ赤な鮮血を味わいたい。だが、それらは妄想するだけに留める。
(蕩けた顔をしているの、気づいてる? けど、快楽を知らないキミじゃ分からないんだろうな)
 喉の奥で笑い、最後にコアがあるであろう胸の中心に口づけ、ようやくベリアルはジータを解放した。
 支えをなくした小さな体はよろめきつつも、ベッドから下りようと這いながら移動する。
 ここで終わりにするのもいいが、彼としてはやはりこの先の反応も見たいわけで。
「はぅ……!? べ、ベリアル!?」
 後ろからジータを捕らえ、その背を自分の体に押し付ける。筋肉の凹凸をなぞるように滑らかな肌がぴったりと張り付き、密着すると、微かに彼女のコアの脈動を感じた。
 父親と対の金色の髪に鼻を埋めれば、雄の醜い欲望を沸き立たせる香りが鼻孔をふわりと刺激し、わずかに開いた唇の隙間から獣そのものの唸り声が漏れ出てしまう。
 彼の右手がジータの胸の中心、へそを通ってワンピースの中に吸い込まれていく。
 誰もまともに触れたことのない、彼女だけの場所は、下着越しに軽く触れただけなのに粘っこい感触があった。
「やだっ……! そんなところ、お父さまだって、あっ……!?」
 着けている意味がない布の上から膣前庭を押せば溜まっていた蜜が染み出てくる。ぬちゃぬちゃと粘り気のある音を奏でながら中指で行き来を繰り返せば、ジータが身悶えし始めた。
「ベ、ベリアル、背中に硬いものが……! でっ、でも私もさっきから変なの、だから一緒にお父さまのところに行ってっ、治してもらおう?」
 ずっと無知のままでいるジータも魅力的だが、ハジメテを己が教えて内部から染め上げるのも一興。
 ベリアルは口をいびつに吊り上げ、ジータの鼓膜に囁きかける。
「ジータ。キミ、セックスって知ってる?」
 聞き慣れない言葉にジータは顔に疑問を貼り付けたまま、ベリアルを見つめた。
 予想どおりの展開過ぎてベリアルは笑いを堪えきれない。
「研究と実験にしか興味がないファーさんにべったりだし、キミの周りの存在たちも知っていたとしても、キミに教えてはくれないもんな」
 今度は強めに押せば、ジータの体はガタついた。未知への恐怖に彼女の双眸は濡れ、今にも零れてしまいそうだ。
「その、せっくすっていうのは知らないけど、すごく恥ずかしいから、もう……」
「狡知を司る天司として、キミに新しい知識を授けてあげようか?」
 問えば、彼女の瞳は揺れた。
「いつかファーさん……キミのお父さまの役に立つかもしれない」
「お父さまの、役に立つ……」
 口にはしないが、ジータは誰よりも造物主であるルシファーの役に立ちたいと思っていた。その姿は親を求める子供のそれ。
 お父さまの役に立ちたい。お父さまに褒められたい。お父さまに必要とされたい。
 ベリアルはジータが心に秘めている、決して満たされず、貪欲に求めるばかりの偏った感情を見抜いていた。だからこそ、ルシファーの存在を出して揺さぶってみた。
「ベリアル、お願い。私に教えて」
「なにを?」
「っ……! その……せ、セックス……」
 最後の言葉は小さすぎて微かに聞こえる程度だったが、ベリアルの加虐心を満たすには十分だったようで、ジータを軽々と抱き上げると枕の上に頭がくるように仰向けに寝かせた。
 ところどころベリアルの唾液で淫猥に光る、未だに穢れきってないカラダ。
 今からその身を内側から穢し尽くすと思うと痛みを感じるほどにベリアルの欲望が大きくなる。
 だがこれは合意の上のモノ──つまり和姦なのでしっかりと受け入れる準備をしてやらねば。
 彼女の記憶に刻み付けるように、優しく、蕩けるような甘さをあげる。雄の汚い感情は隠したまま……。
「ひっ! ベリアルっ、そんなところに顔を近づけてなにするの……!?」
「セックスというのは男のペニスを女の膣に挿れて、生殖器同士で交わること。そして膣内に射精をすれば確率で子供ができる。まぁ、オレたちは造られた存在だから生殖機能はない。だから心配しなくていいよ」
「それは分かったけど、顔を近づける意味が……!」
「いま言っただろう? キミのココにオレのペニスを挿れるんだ。たくさん濡らしてあげないと、ツライのはキミだぜ?」
 言いながら股を大きく開き、本来のピンク色から一部が濃いピンクに染まっているショーツをずらし、蜜の源泉へと唇を寄せる。
 人間や魔物たちとの姦淫を楽しんできた彼にとって女のソコに対して特に感情を抱く、ということはないと思っていた。
 だが実際に触れてみて、それは違うのだと思い知る。中身の年齢と釣り合わない幼い性器。ずっと穢したいと思っていた人物だからこそ、内側から突き上げる激しい感情が芽生える。
 あぁ、駄目だダメだ。落ち着かなければ。優しくしてやりたいのと同時にサディスティックな考えが浮かび、ベリアルは自嘲する。
 たった一匹の獣にここまで感情を乱されるなんて。
「ひ、ぁ、ぁっ……! やだ、そんなっ……!」
 指で触られるのとまた違う感覚が走るのか、ジータは両手でシーツを握る。幾つもの皺が生じ、握る力の強さが伺える。
 小陰唇を舐めたり唇で軽く食んだりと細やかな愛撫を加えれば、造られたときから空いたままの小さな穴からトロみのある液体が滴る。
 一滴も無駄にしたくないと音を立てながら吸い付き、飲み下す。ずっと堕としたい相手だったからか、花蜜はとても甘く感じた。
「あぁぅ、いやなのっ、そこっ……! へん、変になっちゃう、からっ」
「変になりそうなのはオレのほうだよジータ。少し触っただけでこんなに溢れさせて……あぁ勿体無い」
「ひっ! ひぃぃぃ……! 強く吸っちゃいやぁっ!」
 バタつく脚を下から抱え込むようにして固定する。子供と大人の体格差。星晶獣としての能力差もあり、ジータはベリアルから逃れられない。
「クリトリスも剥いてあげよう」
 隠された粒を指で剥くと、ぷっくりとした肉芽が現れる。指で触れるのもいいが、その前にソフトな刺激で慣らしてあげようとベリアルは口をもごもごと動かし始める。
 溜まっていく唾液。そろそろイイかと小さな芽を口の中に招待してやれば、ジータの背中が弓状に反った。
 悲鳴に似た嬌声はベリアルのコアを満たしていく。
 痛みを与えないように、極めて優しく舌で撫で、ときたま押し潰す。敏感な性感帯に触れられ、ジータは込み上げてくる甘い快感にかぶりを振る。
「こ、これ以上はだめっ! 頭がまっしろに、ひ……あァぁぁッ!!」
 ジータの制止むなしく体が痙攣し、少女は大人の女性へと開花を始める。
 口内にある大量の唾液を飲み込み、クリトリスを解放すると小さな入り口は収縮を繰り返していた。
 今すぐにでも挿入して揺さぶりたいが、指で内部を慣らしてやらねば。
 ぐったりとするジータをよそにベリアルは中指を侵入させる。今まで異物を迎えたことのないナカは狭いが、彼の愛撫によって粘性の液で濡れた肉襞は指を奥の奥までいざなう。
 この調子ならもう一本追加してもよさそうだ。薄い笑みを浮かべると人差し指を差し込む。
 内部をマッサージするように全体をくにゅくにゅと指の腹で引っかいたり、二本の指を広げたりして拡張を図る。
 無限に溢れてくるのではないかと思ってしまうほどにジータの蜜壺からは愛液が零れ落ち、ベリアルの手を濡らす。
「はっ、あぅっ……うぅっ……ベリ、アルっ……」
「オレの指を離したくないって締め付けているの、分かる?」
「分かんないっ……そんなの知らないよっ……」
 快楽に落ちきれない少女は目をきゅっ、とつむり、切なげな声を絞り出す。セックスを教えてほしいと言ったのは自分だろうに、と答えを誘導した張本人は嗤った。
「さて……オレももうはち切れそうなんだ。イイだろ? キミのナカに入っても」
「ひっ……!」
 へそまで反り返った凶器を握るとジータの割れ目に擦り付ける。彼女の体は「そんなモノ入らない」と訴えるように小刻みに震え、歯もカチカチと音を立てた。
 魅了を使って痛みや恐怖を上回る快楽を与える、という方法もあるが、ベリアルは浮かんだそれを両断する。
 ハジメテの記憶を残したいのだ。彼女の魂に。いつまでも忘れず、覚えておいてほしい。
 無垢なキミを穢したのはオレなのだと。
「──あ、あぁっ……! 痛いっ! お腹、苦しいよぉ……!」
「っは……! さすがファーさん。ちゃんと細部までこだわってるっ……! ハァっ……ほら、ジータ。全部入ったよ」
 肉竿を全て受け入れた場所からは出血があり、ベリアルは興奮が抑えられない。彼女の処女を奪い、少女から女にしてやったのだと。
 浅い呼吸を繰り返すジータの片手を恋人のように絡め、屈み込む。内部で新たな動きを見せる陰茎に小さな悲鳴を上げる彼女の唇に吸い付き、舌を割り入れた。
 内部の締め付けを心地よく思いながら軽く腰を打ち付け始める。口内に吐き出される声。
 未だ慣れぬ痛みから少しでも意識を逸してやろうと、ベリアルは舌を絡めたキスを繰り返す。
 ジータは最初はされるがままだったが、たどたどしいながらも自分から舌を絡めるようになってきた。体の緊張も和らいできたのか、残っている片手でベリアルの背中を抱く。
「どう? 少しは落ち着いた?」
「う、うん。……ぁう! そこっ……!」
「キミの弱点はココか」
「あ……っっ……、は……っぁ……っ、あぁぁ……! うっ……!」
「声、我慢しないで。オレに聞かせてくれよ」
 目を閉じてイヤイヤと首を振るジータにしょうがないなと苦笑すると上体を起こし、抜けるギリギリまで腰を引くと、思い切り打ち付けた。
 しなる小さな体。開かれた双眸がベリアルの鮮紅色と交わる。彼女の弱いところばかり突き上げると少しずつ変化が現れた。
 もともと赤かった顔が更に赤くなり、額からは汗が滲み、頬を伝う。か細い声は甘さをふんだんに含むようになり、雄を誘惑する。
 星晶獣にとって必要でない子宮が下りてきて、ベリアルの精を求めるように吸い付いてくる。
「はっ……ジータ、こんなに締め付けてっ、もう達してしまうのかい……?」
 返事の代わりにコクコクと首を縦に振りながらジータは喘ぐ。彼女の膣はベリアル専用へと形を変え、彼を温かく包み込む。
「はっ、はぁっ……! あぁァ……あっ、あ……ぁっ! ん……んぁ、ベリ、アルぅっ!」
 ベリアルを求めるように伸ばされる腕。それを拒むことなく受け入れれば、無意識なのか意識してなのか、ジータの両脚がベリアルを離したくないと交差する。
 理由がどうであれ、求められて悪い気分にはならない。逆に悦楽のスパイスとなりベリアルを高揚させる。
 彼もそろそろ限界なのか悩ましげに眉間に皺を寄せると、ジータの唇を塞ぐ。
 抽送も激しくなり、肉と肉がぶつかる音が部屋に響き渡る。ようやくこのときが来たとベリアルは打ち震える。
 彼女を穢し尽くし、内部を自らの精で汚染する。清らかな少女を地に堕ちた己で満たすのだ。
「べりある、ベリアルっ……! 私、もう……!」
「んっ、アァ……オレも限界だよ。しっかり受け止めてくれよ? ジータっ……!」
「──あ、」
 収縮に耐えられず、彼女の子宮に汚辱のしるしを吐き出すとジータの声はつり、絶頂感に目を見張った。
 ベリアルは吐き出しただけでは足りないのか、刻み付けるように腰を動かす。
 どぷどぷと胎内を満たすベリアルの実らぬ子種を受けて、少女は完全に開花した。
 体を起こしてジータから離れるとドロリとした粘液が膣口から漏れ出て、長年くすぶり続けていた目的を果たせたのだとベリアルの目は熱を帯びて輝き、口角が邪悪に上がる。
 ぐったりする彼女の目はほんの少しだけ濁っているが、ベリアルの姿を認識した途端その暗さは蠱惑的なものに変わり、彼は目を離せなかった。
「ジータ……賢いキミはもう理解していると思うけど、オレが治療といったあれらはセックスの前戯だよ」
 横に寝て、未だに愛おしく震える彼女を抱き寄せる。
「うん……。今なら分かる……」
「怒った? 無知なキミを騙してさ。ウフフ。ファーさんに言えばキミを大事にしている彼だ。すぐにでもオレを廃棄処分してくれるよ」
「そんなことしないよ。それに私はきっとあなただから……。それより、もうお父さまのところに戻らないと。でも、なんだか気だるくて……」
「なになに? オレだからシてくれたってこと? オレ以外が頼んだらキミはシなかったってこと?」
 穢したいと思っていた人物の意外な発言にベリアルのコアは激しく反応した。
 ジータはしまった……! と己の軽率な発言を後悔し、鈍い動きでベッドから下りようとするが、ベリアルが許すわけがない。
 彼女の体に腕を巻きつけ、逃げられないようにする。答えを聞き出すまで解放しないつもりだ。
 見つめ合い、少しの沈黙。耐えられず、先に折れたのはジータだ。観念したのか、諦めの息を吐くとベリアルの手を取り、己の胸に当てた。
 彼女そのものであるコアが埋まっている場所。肌から伝わるのは仄かな熱と力強い鼓動。
「あなたなら分かる?」
「なっ……!」
 ジータに掴まれている手がズブズブと胸に沈んでいく。コアへのアクセスを本人が許可しているため、血も痛みもなく彼女そのものに触れることができた。
「あっ、ぁ……! コアが、熱くて、ドキドキするの。あなたなら分かる? この意味が」
 ジータの心核から伝わる熱や心音がベリアルのコアに影響を与え始める。彼自身である球体が熱を発し、ヒトの心臓のように鼓動を刻んでいると錯覚してしまいそうだ。
「ねえ、ベリアル」
 彼女に名前を呼ばれ、ドクン! とコアが力強く脈打った。